【87点】ブライトリング/ ナビタイマー ラトラパンテ

FEATUREスペックテスト
2018.05.04

クロノグラフとラトラパンテ

 ところで、現在クロノグラフとしてよく知られているのは、2時位置のプッシュボタンで計測をスタートするタイプだ。ブライトリングでは1915年にそれまでリュウズと同軸に組み込まれていたプッシュボタンを2時位置に独立させたスタイルを導入した。さらに1934年からスタート/ストップボタンと兼用だったリセットボタンを4時位置に設け、ふたつのプッシュボタンのスタイルを採り入れている。

 ラトラパンテもしくはスプリットセコンドクロノグラフと呼ばれるものは、クロノグラフ秒針の下に重ねて置かれたスプリットセコンド針がクロノグラフスタート時に連動する。途中で中休みが発生する場合、動き続けるクロノグラフ秒針に対して、連動していたスプリットセコンド針が停止することで、ラップタイムが計測できるものを指す。ラトラパンテを搭載した腕時計でよく見かけるのは、その機能のために追加されたプッシュボタンが10時位置に配されたタイプだ。しかしブライトリングはスプリットセコンド針用のプッシュボタンをリュウズに組み込み、今回取り上げたモデルを作り上げている。リュウズと同軸では互いの機能を邪魔し合うのではと、案じる向きもあろう。だが、そこは心配に及ばない。クロノグラフのスタート後にラップタイムを計測する場合、通常はそのためにプッシュボタンを押すことをかなり意識してはっきり操作する必要があるが、このモデルではスプリットセコンド針の一時停止も極めてスムーズに行える。リュウズと同軸にはなっているが、針合わせやカレンダー修正などでリュウズが引き出された状態になってもプッシュボタンがリュウズに埋没することはない。

 クロノグラフの作動中は、何度でもラップタイムの計測が可能だ。もっとも、ラップタイムが60秒を超える場合はクロノグラフ秒針が1周するごとにプラス60秒の暗算が必要となる。リュウズに組み込まれたプッシュボタンを再度操作すると、スプリットセコンド針はクロノグラフ秒針を追うように再び連動し、継続したタイムを計ることができる。クロノグラフ針は赤く、先端が矢印状になっており、カウンターウェイトにはブライトリングのイニシャルである「B」がかたどられているため、スプリットセコンド針と明確に区別しやすい。このクロノグラフ秒針と端に錨の付いたスプリットセコンド針がぴったりと重なると、ふたつのカウンターウェイトがブライトリングのロゴとなる仕組みだ。それを直径45㎜のステンレススティールのケース内で表現しているあたりに、技術の洗練度の高さが表れている。

クロノメーター認定のCal.B03は自社開発のCal.01をベースに、スプリットセコンドモジュールが文字盤側に追加された。

搭載されているのは自社開発のスプリットセコンドクロノグラフCal.B03。2009年に導入されたCal.01をベースに、ラトラパンテモジュールが加えられている。