時計用語辞典

ステンレススティール

Stainless steel

合金の一種。時計ケースに最も使われるオールステナイト系の場合、鉄に加えてニッケル8%、クローム18%などを含み、湿気、海水、汗など多くの酸に対する耐食性を持つ。耐磁性にも優れるため、1950年代には真鍮ケースに取って代わったが、加工しにくく溶接が難しい。そのため複雑な形状のケースには向かないとされた。現在主に使われるのが304Lと316L。前者は耐食と耐研磨性に富み比較的廉価だが、切削性が悪いため時計ケースには向かない。後者はカーボンの含有量を減らして耐食性をいっそう高めているが、添加物が多く高価である。ロレックスが採用するのは、より優れた耐食性を持つ904L。なお表面を窒化加工することで擦過に強くなるが、耐磁しやすいというデメリットがある。そのためステンレスの硬化加工技術としてはPVDやIP処理などが普及しつつある。