高級時計にふさわしいクォリティを備えたウルベルクの知られざる本質

2016.02.04

UR-105 M

PEEK仕掛けの騎士道精神
アワーサテライトディスプレイは、ベリリウムブロンズ製のマルタ十字で駆動するアルミニウム製のアワーサテライト、PEEK製の回転体、真鍮製のカルーセルと三重地板で構成。10秒単位でデジタル表示するスケルトン仕上げのスモールセコンドも面白いアイデアだ。手巻き(Cal.5.01)。38石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約42時間。Ti×SS(縦53×横39.5mm)。3気圧防水。世界限定77本。800万円。

 「アイアン ナイト」と呼ばれるこのモデルのデザインは、中世の騎士が身につけた鎧をイメージ。6つの黒いビスでチタン製のビスと繋がるスティール製のベゼルがケースを守る鎧を模している。

 ウルベルクのアイコンであるアワーサテライトディスプレイは現在、4ライン9機種が展開されているが、UR-105Mのディスプレイは最もシンプルな駆動形式を持つ。4つの回転体を収めるダイアル部分には、結晶性ポリマーのPEEK(ポリエーテル・エーテル・ケトン)を採用。回転体をクロノメーター級の精度で作動させるために、軽量なPEEKが選択された。

 ケースバックに目を転じると、これまたウルベルク独自のユニークな仕掛けが施されている。そこには、オイルインジケーター、緩急調整機構、パワーリザーブインジケーターからなるコントロールボードと呼ばれる特異なディスプレイがなされているのだ。さらに、側面にはもうひとつのパワーリザーブインジケーターと秒表示が置かれている。シンプルながらウルベルクの魅力を凝縮したモデルといえよう。

  
スモールセコンドに採用されているスケルトン仕上げのデジタルカウンター(3分間で1回転する仕組み)は、超精密部品の製法で知られるLIGAプロセスで製作されている。素材はニッケル。
  
4ライン9機種が展開されるアワーサテライトディスプレイの中でも、UR-105 Mのシステムはシンプルな構造。時分表示はマルタ十字と遊星歯車が担う。