高級時計にふさわしいクォリティを備えたウルベルクの知られざる本質

2016.02.04

UR-210 RG
トリッキーな動作を注視せよ

ケースバックには巻き上げ効率セレクターを装備。“FULL”にすると巻き上げ効率が上がり、“REDUCE”の位置に設定すると、ローターの巻き上げ効率が下がって必要以上のエネルギーが供給されなくなる。自動巻き(Cal.7.10)。51石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約38時間。18KRG×Ti(縦53.6×横43.8mm)。3気圧防水。世界限定75本。2125万円。
   
UR-210 Y
スポーティルックのUR-210

Altinコーティングを施したSSとTi(ケースバック)のコンビネーションモデル。スポーツルックを狙った作風らしく、アワーサテライトのインデックスと扇型のミニッツカウンター、分針の先端部にはスーパールミノヴァが塗布される。自動巻き(Cal.7. 10)。51石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約38時間。SS×Ti(縦53.6×横43.8mm)。3気圧防水。世界限定75本。1900万円。

 「UR-210」は、スリリングなディスプレイを備えたモデルである。アワーサテライトとレトログラード式分針を組み合わせたこのディスプレイの仕組みはこうだ。分針はアワーサテライトを格納するように、同軸で120度に広がる扇状の分目盛りの上を移動しながら時刻を刻む。すると、59分を過ぎた瞬間、巨大な分針はわずか0・1秒で、時を刻むために分目盛りの0分地点に移動してきた次のアワーサテライト上に飛び移るのだ。

 アワーサテライトとレトログラード機構の軸の周りにはシリンダー型のヒゲゼンマイが配置され、これがレトログラードの動作に必要な張力を生み出す。また、分針が60の地点に達すると、特殊形状をした3本のスプリングの1本が始動し、次に時を刻むアワーサテライトが0分地点に移動する仕組みだ。また、11時位置にはユニークなインジケーターが配されている。「過去2時間の巻き上げ効率」の表示計である。

 破天荒で複雑なUR-210は、ウルベルクの本質を最もよく突いたモデルといえるのではないだろうか。

  
タービン制御のシステムで巻き上げ効率をコントロールできる奇抜な自動巻き機構だが、例えば、ローターには等間隔で重なり合う手作業による一級のペルラージュが入るなど、パーツの仕上げは極めつきに良い。
  
Cal.7.10の展開図。分針のレトログラードに必要な張力を生むシリンダー型ヒゲゼンマイやアワーサテライトを駆動させるホッケー用のスティックに似た形状のスプリングなどが確認できる。