ムーンフェイズ再発見[ギミックを超える精度と実用性]

2017.05.29

月相 VS 月齢の真実

月は中途半端な周期で公転し、なおかつ公転角速度は一定しない。月相と月齢の関係、月齢の不安定さを知れば知るほど、時計職人は頭を抱えたに違いない。
例えば、いつも同じ月齢で満月になるかといえば、決してそうはならない。月齢14日のときもあれば、13日や15日に近いときもある。
しかし、この月相と月齢をイコールで結べないジレンマと複雑さが、多くの挑戦をかき立ててきたことだろう。

月齢0/新月
新月は朔望月とも呼ばれ、地球と太陽が月を挟む形で一直線上に並ぶ時に現れる。古典作品における新月は、まったく月が見えない月相だけではなく、新しく見え始めた月という意味で、細い鎌のような二日月、三日月を指すこともある。

月齢2日/三日月月齢上の三日月は陰暦2日の月のことを指し、午後9時以前の空で明るく光る。その繊細で美しい形状から、「眉月」「蛾眉」「初魄」など、多くの異名を持つ月としても知られる。古くははかない恋心やわびしさを和歌に込めて愛でられていた。


月齢5日/六日月
「三日月」形と呼ばれる月相は新月と半月の間にある、このあたりの月齢の月相をイメージする人が多いだろう。夕方薄暗くなるころに姿を現し、日が暮れるころに姿を消すことから、月齢2~7日のあたりの月を総称して「夕月夜」とも呼ぶ。

月齢7日/上弦の月
弓を連想した名称が多いのが特徴的。「弓張月」「彎月」「弦月」など。半月の傾きは1日の中でも一定ではなく、代表的な呼称である「上弦の月」は西の空へ沈むときに弦を上にした弓のような形をすることに由来。上弦の月の平均月齢は約7.4日。


月齢9日/十日夜
「十日夜」は陰暦10日の月の呼称であるが、具体的に陰暦10月10日を指す場合もある。東日本の一部の地域では「田の神様」を祭る神事として知られているが、月を楽しむ十五夜とは違い、収穫祭としての性格が強く、月見の要素は薄い。

月齢14日/満月、十五夜
地球を挟み、太陽の真反対に月が来たときに満月になる。夏は空低く、冬は空高く昇る。月を愛でる十五夜は必ずしも満月になるわけではなく、今年以降で中秋が満月になるのは2021年まで待たなければならない。満月の平均月齢は約14.8日。


月齢19日/亥中の月
「寝待月」とも呼ばれる。満月を過ぎると月の出が遅くなることから、月の出を待ち焦がれる月の名前が多くなる。午後10時ごろの「亥の刻」に月が昇ることに由来。月の名称から電気のなかった時代の生活をうかがい知ることができる。

月齢22日/下弦の月
上弦の月とは異なり、真夜中に東の空から昇りはじめ、明け方の南の空へ高くかかり、昼ごろに西へと沈む。古くは月待ちの行事として、陰暦8月23日の「二十三夜」は月の出をまつる祭事として知られていた。下弦の月の平均月齢は約22.1日。


月齢24日/二十五日月
下弦の月を過ぎたころから日が昇ったあとも月を眺めることができるため、月齢22日以降の月は「有明月」「朝月夜」とも呼ばれている。ちなみに右側が欠けている月は新月へ向かう月。ムーンフェイズ表示を見てどちらか迷った場合の参考に。

月齢27日/二十八日月
数ある月相の中でも満月が最も夜空を明るく照らすことは知られているが、月齢27日ごろの月は満月と比べるとわずか1%程度の明るさしかない。そのため星の明るさが際立ち、晴れた夜空に星が月のように明るくなる様を「星月夜」という。