高い防水性を備え、ビジネスシーンを含む日常使いに便利な高級腕時計を紹介する。これから訪れる梅雨や夏場、そして手洗いなどの日常的に水に接する場合でも安心して着用できる優れた防水性を備えつつ、シンプルなデザインのモデルを5本ピックアップ。
Text by Tsubasa Nojima
［2024年6月03日公開記事］
これからの季節を乗り切る、万能防水ウォッチ！
高温多湿な気候の日本は、精密機器にとって過酷な環境である。特にこれから訪れる梅雨や夏場では、降りしきる雨やべたつく汗など、腕時計にも相応の防水性が求められる。今回は、これらの季節的な要因に加え、手洗いなどの普段の生活の中に潜む水のリスクを軽減できる防水性の高い高級腕時計を紹介する。なお、ダイバーズウォッチをはじめとする屈強なスポーツウォッチであれば十二分に安心できることは間違いないが、ここではビジネスシーンを含む日常のあらゆるシーンで着用しやすい万能なモデルをピックアップした。
IWC「インヂュニア・オートマティック 35」Ref.IW324901
2023年の話題作であった「インヂュニア・オートマティック」に、コンパクトな35mmケースモデルが登場。ヘアラインとポリッシュで磨き分けられた上質な外装は、ビジネスシーンにもふさわしい。自動巻き（Cal.47110）。23石。2万8800振動／時。パワーリザーブ約42時間。SSケース（直径35mm、厚さ9.4mm）。10気圧防水。155万4300円（税込み）。（問）IWC Tel.0120-05-1868
2025年の新作として登場した、「インヂュニア・オートマティック」の35mmケースモデル。基本的なデザインは、ウォッチデザイナーであるジュラルド・ジェンタが1976年に生み出した「インヂュニアSL」を踏襲している。
シルバーダイアルには格子状のパターンが施され、シンプルな砲弾型のインデックスとペンシル型の時分針を組み合わせたドレッシーなデザイン。そこにスポーティーさを加えているのが、5本のネジによってケースに固定されたフラットベゼルと、3時位置のリュウズガードだ。ケースは、ブレスレット一体型のデザインを採用し、ブレスレット中央のコマをポリッシュとすることで上品に仕上げている。
ケースバックはシースルー仕様。内部に収められたCal.47110にはゴールドめっき仕上げのローターやジュネーブ・ストライプで装飾されたブリッジが与えられ、その仕上げと動きを楽しむことが可能だ。
男女問わず着用しやすいサイズ感に、ドレッシーさとスポーティーさを兼ね備えたデザイン、そしてねじ込み式リュウズによる10気圧の防水性を備えた本作は、あらゆるシーンで活躍する万能な1本だ。
パネライ「ルミノール マリーナ」Ref.PAM01312
パネライを象徴するボリューミーなクッションケースを採用したモデル。堅牢なケースに加え、視認性に優れたシンプルなデザインのダイアルも魅力。自動巻き（Cal.P.9010）。31石。2万8800振動／時。パワーリザーブ約72時間。SSケース（直径44mm）。300m防水。132万円（税込み）。（問）オフィチーネ パネライ Tel.0120-18-7110
イタリア海軍に採用されたミリタリーウォッチを出自とするパネライの「ルミノール」には、過酷な環境でも時刻を読み取ることが可能な視認性と、高い堅牢性が備わっている。PAM01312は、そんなルーツとモダンな上品さを感じさせるモデルだ。
ダイアルには、3時位置に日付表示、9時位置にスモールセコンドを配し、アラビア数字とバーインデックスを組み合わせている。インデックスや針には蓄光塗料が塗布され、サンドイッチ構造とも相まって暗所での視認性を高めている。
ステンレススティール製のクッション型ケースは、直径44mmの迫力あるサイズ。ポリッシュ仕上げのスムースベゼルが、スーツにもマッチするシンプルな印象を与えてくれる。パネライを象徴するのが、巨大なリュウズプロテクターだ。レバーを操作することでリュウズをケースへ密着させ、300mもの防水性を確保している。アリゲーターレザーストラップの他、ラバーストラップのオプションも存在し、付け替えることで夏場でも気兼ねなく着用することが可能だ。
搭載するCal.P.9010は、約72時間のパワーリザーブを備えた自動巻きムーブメントである。
ブライトリング「クロノマット オートマチック GMT 40」Ref.A32398101L1A1
「クロノマット」のアイコニックな意匠をちりばめつつ、シンプルにまとめられたGMTウォッチ。筒状のパーツを組み合わせたルーローブレスレットが、優れた装着感をもたらす。自動巻き（Cal.ブライトリング32）。21石。2万8800振動／時。パワーリザーブ約42時間。SSケース（直径40mm、厚さ11.77mm）。200m防水。85万8000円（税込み）。（問）ブライトリング・ジャパン Tel.0120-105-707
ブライトリングを代表する「クロノマット」コレクションのGMT機能搭載モデル。クロノグラフ機能付きの屈強なパイロットウォッチとして誕生したクロノマットだが、現在では幅広いシーンで活躍するマルチパーパスウォッチとして位置付けられている。
ダイアルは昨今のトレンドでもある鮮やかなグリーン。レッドに彩られたGMT針がアクセントだ。ベゼルには逆回転防止機構が備わっており、60分までの経過時間を測定することができる。短めのラグやオニオン型のリュウズ、筒を組み合わせたようなデザインのルーローブレスレットは、初代モデルから受け継いだ特徴だ。
ムーブメントは、信頼性の高い汎用機をベースとしてブライトリングでチューンナップを施したCal.ブライトリング32を搭載。
すっきりとしたデザインにGMT機能、そして200m防水を備えた本作は、ビジネスからレジャー、海外旅行まで、どんなときでも心強い1本だ。アンスラサイトやブルー、ホワイトなど、ダイアルのカラーバリエーションも用意されている。
オメガ「シーマスター アクアテラ 150m シェード」Ref.220.10.38.20.03.005
オメガの定番「シーマスター アクアテラ 150m」の中でも、個性的なダイアルを採用したモデル。耐磁性に優れたムーブメントを搭載し、デスクワークが多い場合でも安心して着用することができる。自動巻き（Cal.8800）。2万5200振動／時。パワーリザーブ約55時間。SSケース（直径38mm、厚さ12.4mm）。150m防水。102万3000円（税込み）。（問）オメガ Tel.0570-000087
シンプルなデザインと150m防水を備えた「シーマスター アクアテラ 150m」は、ケースサイズやダイアルカラーなど、豊富なバリエーションを展開していることも魅力だ。今回紹介するのは、直径38mmのステンレススティールケースに、海にインスピレーションを得たラッカー仕上げのターコイズカラーダイアルを組み合わせたモデル。外周に向かって暗くなっていくグラデーションダイアルが、壮大な海を想起させる。インデックスや針の縁取りはグレーPVDで仕上げられ、その中に充填された蓄光塗料が、暗所でも優れた視認性を発揮する。
ケースとブレスレットは、ヘアラインとポリッシュで仕上げ分けられている。ケースの厚みは、存在感と取り回しやすさを両立させる12.4mm。シースルーバックを採用しており、内部に搭載されたCal.8800を鑑賞することが可能だ。ローターと受けには、光を受けて煌めくアラベスク調のジュネーブウェーブが施されている。このムーブメントには、コーアクシャル脱進機が搭載され、METASによるマスター クロノメーター認定も与えられている。
ロレックス「オイスター パーペチュアル デイトジャスト」Ref.126334
実用時計の完成形とも呼べるスペックを誇る「オイスター パーペチュアル デイトジャスト」。ダイアルやベゼル、ブレスレットなど、自分の好みに合わせたバリエーションを選択できるのも魅力だ。自動巻き（Cal.3235）。31石。2万8800振動／時。パワーリザーブ約70時間。SSケース（直径41mm）。100m防水。
1945年に誕生したロレックスの代表作、「オイスター パーペチュアル デイトジャスト」。デイトジャストも豊富なバリエーションを特徴としており、ダイアル、ケースサイズ、ベゼル、ブレスレットなど、その組み合わせは多岐にわたる。ここで取り上げるのは、直径41mmのステンレススティールケースに18Kホワイトゴールド製のフルーテッドベゼル、そしてステンレススティール製のジュビリーブレスレットを組み合わせたモデルだ。スレートカラーのベースに緑で縁取られたローマンインデックスを配したダイアルは、ファンに“ウィンブルドン”と呼ばれている。
全面をポリッシュ仕上げで統一したケースに、煌びやかなフルーテッドベゼルとジュビリーブレスレットの組み合わせは、パーティシーンでもふさわしい華やかさが魅力だ。その反面、モノトーンの落ち着いた印象もあるため、ビジネスシーンでも上品に着けこなすことができるだろう。
搭載するCal.3235は、日差±2秒の高精度に加え、耐磁性に優れたブルー パラクロム・ヘアスプリング、衝撃を吸収するパラフレックス ショック・アブソーバ、約70時間のパワーリザーブなど、高いスペックを誇る。
