ブランドを象徴するアイコンである「ビッグ・バン」の20周年に際し、オリジナルの意匠と自社製クロノグラフであるウニコを“フュージョン”させたウブロ。その仕上がりは見事のひと言だ。新素材の「マジックセラミック」も披露され、独自のR&Dも健在なりとその意気を示した。

2005年に発表された「ビッグ・バン」の20周年を祝う記念モデル。オリジナルの外装やディテールに寄り添いながら、自社製クロノグラフのウニコを搭載。ローターは20周年のロゴが刻まれた専用品が備えられる。自動巻き(Cal.MHUB1280)。43石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約72時間。Tiケース( 直径43mm、厚さ13.2mm)。100m防水。世界限定500本。284万9000円(税込み)。
Photographs by Yu Mitamura, Ryotaro Horiuchi, Eiichi Okuyama
鈴木裕之:取材・文
Text by Hiroyuki Suzuki
Edited by Yuto Hosoda (Chronos-Japan)
アイコニックコレクション「ビッグ・バン」20周年

オリジナルデザインのアップデート版という印象を最も強く抱かせるゴールド×セラミックス。もともと18K5Nゴールド製だったゴールド部分は、18Kキングゴールドに変更されている。クローズドダイアルの採用がかえって斬新だ。自動巻き(Cal.MHUB1280)。43石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約72時間。18Kキングゴールドケース(直径43mm、厚さ13.2mm)。100m防水。世界限定250本。526万9000円(税込み)。
今回、会場内を移動し、新しいブースを構築したウブロ。ふたつのホールをつなぐコリドーの部分、かつてのメインエントランスを抜けた正面がウブロのニューブースだ。この新たなブースによってパレクスポ内の情景も大きく様変わりした。そんなウブロにとって、何よりのイベントは2005年に誕生したアイコニックコレクション、「ビッグ・バン」の20周年だ。
今回発表された「ビッグ・バン 20th アニバーサリー コレクション」は全5モデル。いずれもウニコを搭載し、アイコニックな素材を用いたリミテッドエディションだ。その他にも、5色のサファイアクリスタル(いずれも限定モデル)からなる「マスター オブ サファイア」セット、5つのハイコンプリケーションモデルから構成される「マテリアル&ハイコンプリケーション」セットが発表された。

アイコニックな「オールブラック」デザインのモデルも登場。セラミックス部分のマイクロブラストとポリッシュの使い分け、ダイアルの新たなカーボンパターンなどで、オリジナルよりも判読性が向上している。自動巻き(Cal.HUB1280)。43石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約72時間。ブラックセラミックケース(直径43mm、厚さ13.2mm)。100m 防水。世界限定500本。345万4000円(税込み)。
まずはウニコ搭載の「ビッグ・バン 20th アニバーサリー」。ラインナップは「チタニウム セラミック」と「キングゴールド セラミック」、オールセラミック外装の「レッドマジック」、アイコニックな「オールブラック」、そして「フルマジックゴールド」の5種。これら5モデルの限定本数は、それぞれ異なる。また、前述の5本1セットで発表されたマテリアル&ハイコンプリケーションセットはウォッチズ&ワンダーズの会期中に完売してしまったというから、改めてビッグ・バンの瞬発力を思い知らされる。
基本的なデザインの成り立ちは、ウニコ搭載を前提に、今でも現行モデルとしてラインナップされているオリジナルモデルの外装をブラッシュアップしたもの。インダイアルの配置は現在のビッグ・バン ウニコの2カウンターを踏襲するが、オープンフェイスを基調としてきた従来のウニコ搭載機には見られなかったカーボンエフェクトパターンのクローズドダイアルがかえって新鮮に映る。ベゼルの側面には、オリジナルと同様のチェッカーパターンが加えられ、プッシャー形状もオリジナルに倣ってスクエアシェイプに改められた。しかし滑り止めのパターンは、オリジナルが水平垂直に直交するのに対し、20thアニバーサリーでは斜めのパターンを採用。このデザインはストラクチャードラバーストラップにも踏襲され、20周年を祝うアイコンのひとつになっているようだ。

約10日巻きのメカ-10ムーブメントを搭載するアニバーサリーモデルは、5色のサファイアクリスタルケースを備えた5本セットとして発表。ダイアル側からはラックシステムを用いたパワーリザーブインジケーターの機構がよく分かる。手巻き(Cal.HUB1201)。24石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約240時間。ウォーターブルーサファイアクリスタルケース(直径44mm、厚さ15.30mm)。50m防水。8288万5000円(セット価格)。

日本限定モデルとして発表されたチタンケースの「クラシック・フュージョン」。直径45mmの大ぶりなケースに、ディープブルーグラデーションのラッカーダイアルがよく映える。装着感も良好だ。自動巻き(Cal.MHUB1120)。25石。2万8800 振動/時。パワーリザーブ約42時間。Tiケース(直径45mm、厚さ10.95mm)。50m防水。115万5000円(税込み)。
このアニバーサリーモデルには、オリジナルのアップデート版という横顔もあり、盛り込まれる素材の面でも、ステンレススティール素材はチタンに、18K5Nゴールドは18Kキングゴールドに変更されている。他にも細かな変更点は多数に上り、例えばストラップの裏側には、オリジナルには存在しなかった窪みが加えられている。これは汗などによるラバーの張り付きを抑制するための工夫で、全体的な使いやすさの面でもオリジナルを凌駕している。
アニバーサリー以外の新作では、やはり特殊素材系のアプローチが興味深い。

ウブロ独自のR&Dが成し遂げた最新の“マジック”。バイカラーのセラミックベゼルだが、ランダムパターンのトワイライトブルードットを配する。地のブラックセラミック部分はグラデーション状に発色する。自動巻き(Cal.MHUB1280)。43石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約72時間。ブラックセラミックケース(直径42mm、厚さ14.5mm)。100m防水。世界限定20本。452万1000円(税込み)。

「ビッグ・バン ウニコ マジックセラミック」のベゼルは、いわゆるバイカラーセラミックスの一種なのだが、単純な2色の切り分けではなく、トワイライトブルーのドット柄に加え、グレー地の境界にはグラデーションが見られる。製法はまったく不明だが、この独自技術はウブロの大きなアドバンテージになるはずだ。
マジックセラミックのような新機軸を打ち出す一方で、短期間で手堅いモデルをまとめ上げる手腕。これは〝攻めの姿勢〞だけではない、ウブロの熟成を示す証左だろう。

セラミックス素材で中間色系の発色を実現させたモデル。ミントグリーンはウブロ独自のカラーで、同素材のレディースモデルも発表された。爽やかなミントグリーンの色味が特徴的で、ウブロによる品質管理の厳格さが感じられる。自動巻き(Cal.MHUB1280)。43石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約72時間。ミントグリーンセラミックケース(直径42mm、厚さ14.5mm)。100m防水。331万1000円(税込み)。

同じく中間色系のセラミックス素材を用いたモデル。イエロー味の強いペトロールブルーは色のにごりが発生しやすいが、このモデルには一切見られない。ポリッシュされたケース表面が、ブルーの色調を引き立てる。自動巻き(Cal.MHUB1280)。43石。2万8800振動/ 時。パワーリザーブ約72時間。ペトロールブルーセラミックケース(直径42mm、厚さ14.5mm)。100m防水。331万1000円(税込み)。