ラバーストラップを装着した現行モデル5本を紹介。これからの季節、水気に強く、軽快に装うことが可能なラバーストラップに注目してみてはいかがだろうか。現行モデルには各社が工夫を凝らした、複雑なディティールや優れた装着感を誇る上質なラバーストラップが装着されている。
Text by Tsubasa Nojima
[2025年6月24日公開記事]
機能性とデザイン性に優れたラバーストラップモデルを紹介
腕時計の装着感や使い勝手を大きく左右するパーツが、ベルトだ。特に気温が高くなるこれからの季節においては、汗や突発的な豪雨に耐えうる防水性を備えたベルトが望ましい。レザーストラップの多くは水気に晒されることで劣化を引き起こし、水を吸ったファブリックストラップは肌への不快感が強くなってしまう。一方で金属ブレスレットは天候に左右されず使いやすいが、それなりの重量感を伴うため、手首への負担も少なくない。そこでおすすめしたいのが、ラバーストラップだ。
弾力性を備えた樹脂であるラバーは、水分によってただちに劣化してしまうこともなく、さらに軽いため、装着感にも優れる。通気性に関しては他の種類のベルトに一歩劣るが、定期的に手首から外し汗を拭ってやれば、快適に装着することが可能だ。
一昔前までは、安価なデジタルウォッチを中心に装着されていたが、昨今では高級腕時計への採用も進み、複雑なディティールや優れた肌触りを持つラバーストラップも珍しくなくなってきた。今回は、その最前線を示す、ラバーストラップを採用した現行モデルを5本紹介する。
チューダー「ブラックベイ」Ref.M7941A1A0NU-0002

チューダーを代表する「ブラックベイ」。2024年に登場した新作では、マスター クロノメーターを取得したマニュファクチュールムーブメントを搭載することで、さらに完成度を高めた。自動巻き(Cal.MT5602-U)。25石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。SSケース(直径41mm、厚さ13.6mm)。200m防水。61万8200円(税込み)。(問)日本ロレックス / チューダー Tel.0120-929-570
2024年、METAS認定のマスター クロノメータームーブメントを搭載してリニューアルを遂げた「ブラックベイ」のブラックダイアルモデル。前作では、ダイアルの一部にゴールドカラーをあしらったレトロなデザインが特徴であったが、本作ではモノトーンに統一され、リュウズ周りやケースサイドの仕上げなど、細部に至るまでモダンな意匠に変更された。また、ベルトのラインナップも一新され、レザーストラップやファブリックストラップの代わりに、ラバーストラップと5連ステンレススティールブレスレットが登場したことでも話題となった。
全体的なデザインは、多くのブラックベイに共通する特徴でまとめられている。トライアングルとドット、バーによって構成されたインデックスや、通称“イカ針”とも呼ばれるスノーフレイク型の時針、ブラックアルマイト加工のインサートをセットした逆回転防止ベゼルなど、チューダーのアーカイブピースに着想を得たアイコニックな意匠が魅力だ。
しなやかなラバーストラップには、専用の弓カンが取り付けられており、ミドルケースとの一体感を高めている。堅牢なダブルロック仕様のフォールディングバックルが備わっており、独自の微調整機構である“T-fit”によって、簡単に手首回りを調整することができる。
ブライトリング「スーパーオーシャン ヘリテージ B31 オートマチック 40」Ref.AB3110361L1S1
レトロなデザインが魅力の「スーパーオーシャン ヘリテージ」の最新作。水中でも軽快に着用可能なラバーストラップが装着されている。自動巻き(Cal.B31)。26石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約78時間。SSケース(直径40mm)。200m防水。90万2000円(税込み)。(問)ブライトリング・ジャパン Tel.0120-105-707
2025年にリニューアルされた「スーパーオーシャン ヘリテージ」。そのレトロなデザインは、1957年にブライトリングが発表したダイバーズウォッチ、Ref.1004を受け継ぐものだ。今回のリニューアルによって、インデックスやリュウズのデザインが一新され、さらにサイズやカラーリングのバリエーションも拡充された。
今回紹介するのは、グリーンダイアルを採用した40mm径ケースのモデル。ダイバーズウォッチとして大きすぎないサイズは、パートナーとのシェアウォッチにも最適だ。昨今トレンドのグリーンダイアルだが、落ち着きのある深い色合いは、幅広いシーンで着用しやすいだろう。逆回転防止機構が備わったベゼルには、耐傷性に優れるセラミックス製のベゼルインサートがセットされている。
本作のレトロ感を強調しているのが、メッシュ状のパターンが刻まれたラバーストラップだ。ミドルケースにフィットしたデザインが与えられ、フォールディングバックルによって、簡単に装着することができる。
また、本作には同社初の自社製3針ムーブメントであるCal.B31が搭載されている。約78時間のパワーリザーブを備えたハイスペックなムーブメントだ。地板のペルラージュやブリッジのストライプ装飾など、その仕上げをシースルーバックから鑑賞することができる。
カシオ「MR-G」Ref.MRG-B2100R-2AJR

木組みをモチーフとしたダイアルが特徴のモデル。水墨画や書に用いられる「青墨」に着想を得たカラーリングが与えられている。タフソーラー。フル充電時約18カ月(パワーセーブ時)。Tiケース(直径44.4mm、厚さ13.6mm)。20気圧防水。55万円(税込み)。(問)カシオ計算機お客様相談室 Tel.0120-088925
G-SHOCKの最上位ライン、「MR-G」シリーズにラインナップするモデル。ラウンド型のダイアルには、金物を使わず木材を組み合わせる日本伝統の建築工法、木工技法である木組みに着想を得たデザインが与えられている。審美性だけではなく、ダイアルに施された格子状の隙間から光を取り入れ、ソーラー充電を行うという実利も兼ねた意匠だ。
ケースやベゼルには、金属素材が採用されている。ベゼルは27個のパーツに分割した上でひとつひとつ職人の手作業で磨き上げられ、ケースとの間に緩衝体を組み込むことで耐衝撃性を確保している。トップベゼルには、純チタンの約4倍の硬度と、プラチナに匹敵する輝きを持つコバリオンを採用。ケースやケースバック、各プッシュボタンとリュウズには、チタン合金である64チタンが用いられている。ムーブメントに直結し、衝撃への耐性が特に弱いリュウズには、小型化された独自のクラッドガード構造が搭載され、耐衝撃性を高めている。
フッ素ラバーを使用した肌触りの良いデュラソフトバンドも、本作の特徴だ。ケースとの接合部にチタンパーツをインサート成形し、チタン製のフォールディングバックルを装着することで、優れた耐久性もかなえている。
電波受信機能やスマートフォンとの接続が可能なモバイルリンク機能、LEDライトを点灯するスーパーイルミネーターなど、G-SHOCKらしい機能性も魅力だ。
オメガ「シーマスター プラネットオーシャン 600M」Ref.215.32.44.21.06.001

ファッショナブルなカラーリングのダイバーズウォッチ。ファブリック調のラバーストラップは、タウンユースにもぴったりだ。自動巻き(Cal.8900)。39石。2万5200振動/時。パワーリザーブ約60時間。SSケース(直径43.5mm、厚さ16.2mm)。600m防水。108万9000円(税込み)。(問)オメガ Tel.0570-000087
600m防水を誇るオメガのプロフェッショナルダイバーズウォッチ、「シーマスター プラネットオーシャン 600M」の2024年新色。縦方向のヘアラインを施したステンレススティール製ダイアルがソリッドな印象を与えつつ、グリーンのアラビア数字インデックスやセラミックベゼルが柔らかさを感じさせるモデルだ。
直径43.5mm、厚さ16.2mmと、ボリュームのあるケースはステンレススティール製。10時位置にはヘリウムエスケープバルブが搭載されている。ケースの直径自体は大ぶりだが、ケースの全長は49.3mmとやや短めのため、比較的手首への収まりが良いのも特徴だ。
グリーンのラバーストラップには、ファブリック素材のようなパターンと、グレーのステッチが施され、海中だけではなくタウンユースにも相性の良いデザインだ。ケースをしっかりと支える弾力を備え、フォールディングバックルによって容易に手首へ装着することができる。
搭載するCal.8900は、コーアクシャル脱進機を採用したマスター クロノメーター認定の自動巻きムーブメントだ。約60時間のパワーリザーブを蓄えるダブルバレルと、スイッチングロッカー式の巻き上げ機構を搭載している。ローターとブリッジにはアラベスク調のジュネーブウェーブ装飾が施され、シースルーバックを通して鑑賞することができる。
IWC「アクアタイマー・オートマティック」Ref.IW328802

独自の回転式アウター/インナーベゼルを搭載する「アクアタイマー・オートマティック」。ダイバーズウォッチながらもすっきりとしたデザインが魅力だ。自動巻き(Cal.32111)。21石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約120時間。SSケース(直径42mm、厚さ14.1mm)。30気圧防水。92万4000円(税込み)。(問)IWC Tel.0120-05-1868
IWCのダイバーズウォッチコレクション、「アクアタイマー」のシンプルな3針モデル。大型のバーインデックスと太い時分針、ホワイトとライトグリーンの蓄光塗料による、優れた視認性と判読性を備えた1本だ。ダイバーズウォッチの多くは、回転式のアウターベゼルによって潜水時の経過時間を測定するが、本作は、アウターベゼルとインナーベゼルが連動した、独自の回転式アウター/インナーベゼルが搭載されている。すっきりとした見た目と機能性、安全性を兼ね備えたIWCらしいスマートな機構だ。ケース9時位置に取り付けられているのは、インナーベゼルの逆回転を防止するためのスライディング・クラッチシステムである。
表面にファブリック調のパターンが施されたブラックのラバーストラップには、工具を使うことなくミドルケースから脱着することが可能なクイック交換システムが採用されている。ストラップの交換や洗浄時に便利な仕様だ。クラシカルなピンバックルが装着されており、複雑な微調整機構に頼ることなく簡単に腕回りを調整することができるのも魅力。
搭載するムーブメントは、機械式自動巻きのCal.32111。約120時間ものロングパワーリザーブを誇る。ソリッドバックのため、残念ながらユーザーが見ることは難しいが、ペルラージュやコート・ド・ジュネーブなどの仕上げが施されている。