オメガ? チューダー? 2025年も〝激戦〟な新作ダイバーズウォッチからおすすめを紹介!

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2025.12.04

2025年の新作ダイバーズウォッチの中で、個人的に特に優れていると感じる5モデルをピックアップして紹介する。いずれも高い人気を誇るコレクションに追加された新作モデルであり、各社の最新技術が盛り込まれた、見ごたえのある仕上がりだ。

佐藤しんいち:文
Text by Shin-ichi Sato
[2025年12月4日公開記事]


激戦区“ダイバーズウォッチ”の中から特に優れた5本を紹介

 高い防水性や、ダイビングタイムを計測するベゼルを備えたダイバーズウォッチは、長年にわたって人気の高いジャンルであり、アイコンとなるモデルが多い。人気の高さを反映して、各ブランドからは最新の技術を盛り込んだ新作が毎年投入されており、まさに激戦区だ。そんな激戦区の中から、2025年の新作ダイバーズウォッチ傑作選をお送りする。


オメガ「シーマスター プラネットオーシャン」

 最初に取り上げるのは、2025年に第4世代へとリニューアルしたオメガの「シーマスター プラネットオーシャン」である。「シーマスター」と銘打たれたモデルを傑作選から外すことなどできない。2005年初出のシーマスター プラネットオーシャンは、600mという非常に高い防水性能を備えたハイスペックウォッチで、ストイックなツールウォッチテイストの強いデザインが魅力だ。

オメガ「シーマスター プラネットオーシャン」

オメガ「シーマスター プラネットオーシャン」Ref.217.30.42.21.01.003
自動巻き(Cal.8912)。39石。2万5200振動/時。パワーリザーブ約60時間。SS×Tiケース(直径42mm、厚さ13.79mm)。600m防水。134万2000円(税込み)。(問)オメガ Tel.0570-000087

 今般の全面刷新で、筆者が最も印象的であったのは、従来モデルは曲線を基調としたマッシブなイメージから、エッジを効かせて引き締まった印象に仕立てている点である。ブレスレットのデザインでその差が顕著であり、従来は丸みがあって凹凸を際立たせていたところを、本作では直線的でフラットな仕立てとしている。さらに、センターにポリッシュ部を設けてアクセントとしている。ケースも、エッジを効かせ、ラグを短く、リュウズガードを設けている点に注目だ。

 また、従来は10時位置にリュウズ状のヘリウムエスケープバルブが設けられていたが、これが廃止となった。アイコニックなポイントがなくなったことは賛否が生じそうだが、取り回しは良くなったのではないだろうか。

 42mmのケース径は従来モデルと同等で、厚さは13.79mmと2mm以上の薄型化を果たしている。短くなったラグとの組み合わせにより、これまでは大きすぎると敬遠していた方にもフィットする可能性がある。店頭での試着時には、その点にも注目してみよう。

オメガ「シーマスター プラネットオーシャン」

曲線と曲面を主体としたデザインから、直線と平面で構成されたエッジの効いたデザインへと変貌した。そのアプローチの違いがラグ部に色濃く表れている。ベゼルの刻みが深く、切り立ったものになっており、操作しやすそうだ。なお、写真のモデルはラバーストラップモデルのRef. 217.32.42.21.01.002。


ブランパン「フィフティ ファゾムス オートマティック」

 本年の出来事として忘れてはならないのが、ブランパンの「フィフティ ファゾムス」にケース径38mmの小径モデルがついに追加されたことだ。その話題性と、完成度の高さから選出した。フィフティ ファゾムスは、モダンダイバーズウォッチの祖という歴史的背景と、信頼性の高いムーブメント、審美性に優れたケースといった高い完成度が人気の理由となっている。長らく、ケース径45mmが主としてラインナップされてきたが、2024年にはケース径42mmモデルが登場し、選択の幅が広まっていた。

ブランパン フィフティ ファゾムス オートマティック

ブランパン「フィフティ ファゾムス オートマティック」Ref.5007 1130 71S
自動巻き(Cal.1150)。28石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約100時間。SSケース(直径38.2mm、厚さ12mm)。30気圧防水。270万6000円(税込み)。(問)ブランパン ブティック 銀座 Tel.03-6254-7233

 ここに追加された新たな選択肢が、ケース径38mmの新作である。スタイリングは、サファイアクリスタルに覆われた逆回転防止ベゼルや、丸みを帯びたケース、そこに施されたポリッシュ仕上げといった従来モデルのデザインコードが維持されている。フィフティ ファゾムスのサイズ感に躊躇していた方にとって、38mmの本作は朗報となることだろう。

 従来モデルと異なるのは文字盤の仕上げだ。ケース径45mmモデルでは中央と外周で異なる仕上げを組み合わせていたのに対して、38mmモデルではシンプルな仕上げで、ツールウォッチのテイストが強められている。

 ピックアップするのは、ステンレススティール製外装にブラック文字盤、ブレスレット仕様と、コレクションを代表する1本だ。このほか、セイルキャンバスストラップやラバーストラップ、NATOストラップとの組み合わせと、定番のラインナップが並ぶ点が嬉しい。


ブライトリング「スーパーオーシャン ヘリテージ B31 オートマチック 40」

 さまざまなケースサイズから選択可能なダイバーズウォッチという観点から、もう1モデル選出したい。取り上げるのは、本年に刷新されたブライトリングの「スーパーオーシャン ヘリテージ B31 オートマチック 40」だ。ケース径40mmの本作のほかに、44mm、42mmの計3種が用意されており、ユーザーの手首サイズや、ファッションのスタイリング合わせてコーディネート可能となっている。

ブライトリング スーパーオーシャン ヘリテージ B31 オートマチック 40

ブライトリング「スーパーオーシャン ヘリテージ B31 オートマチック 40」Ref.AB3110361L1S1
自動巻き(Cal.B31)。2万8800振動/時。パワーリザーブ約78時間。SSケース(直径40mm)。200m防水。90万2000円(税込み)。(問)ブライトリング・ジャパン Tel.0120-105-707

 今般の刷新にあたって、1957年にリリースされた初期モデルの魅力を取り入れたデザインに改められた。オリジナルモデルにあたるRef.1004から、矢型の時針や槍型の分針、逆回転防止ベゼルを継承し、本作にクラシカルなテイストを生み出している。一方、文字盤やケースの仕上げ、ベゼル外周の緻密な刻みなどは現代的で、クラシカルテイストと、近年のブライトリングが持つ完成度の高さが調和している。

 クラシカルなテイストのデザインに搭載されるのが、2025年3月にデビューの最新世代の自動巻きムーブメントであるCal.B31だ。ベースはブライトリングの代表的な自動巻きクロノグラフムーブメントのCal.01であり、その開発コンセプトは、機能を時刻表示に絞りつつ、その基本性能や信頼性を引き上げることだ。

 基本性能の代表例として、約78時間のパワーリザーブとスイス公式クロノメーター検定協会によるCOSC認定機であることが挙げられ、現代基準で申し分ない。加えて、5年間の保証が付与される点は、ユーザーにとって安心材料となることだろう。

 ピックアップするのはグリーンモデルだ。ブライトリングは各コレクションでグリーンモデルをラインナップしつつ、その色調をコレクションによって調整しており、グリーンの使い方がうまい。本作では、彩度を抑えてわずかにグレーっぽさも感じられるシックなテイストで、オールシーズンで活躍するカラーではないだろうか。


チューダー「ペラゴス ウルトラ」

 評価の高いチューダーのラインナップの中でも、プロフェッショナル向けの完成度の高いモデルが並ぶ「ペラゴス」コレクション。ここに“ウルトラ”などという魅力的な名前を持つモデルが加えられたら、取り上げないわけにはいかない。「ペラゴス ウルトラ」は、ウルトラの名に恥じない、1000mという極めて高い防水性能を備えたモデルだ。

チューダー 2025年新作 ペラゴス ウルトラ

チューダー「ペラゴス ウルトラ」Ref.M2543CLA7NU-0001
自動巻き(Cal.MT5612-U)。2万8800振動/時。パワーリザーブ約65時間。Tiケース(直径43mm、厚さ14.5mm)。1000m防水。83万9300円(税込み)。(問)日本ロレックス / チューダー Tel.0120-929-570

 ケース径は43mm、厚さは14.5mmとコンパクトとは言えないが、スペックから考えれば“かなりリーズナブル”と評価すべきだ。ケースはチタン合金と純チタンを組み合わせて軽量に仕立てられており、着用感に優れるペラゴスのフォーマットと相まって、優れた着用感が期待できる。文字盤は従来モデルに対して拡大され、それに伴って針は太く、インデックスは大型化され、元々高かった視認性に磨きをかけている。ベゼルも幅広の仕立てであり、文字盤と組み合わせて測時しやすい。

 チタン製のブレスレットには、チューダー独自の“T-fit”フォールディングクラスプが採用されており、工具不要でフィット感を微調整できる。さらに、クラスプは蓄光塗料マーカー付きのビジュアルインジケーターを備え、暗所でもブレスレットの設定状況を確認できる。着用感や使用感を高める、細かな改善を着実に行うチューダーの姿勢はすばらしい。

 さらに、本作にはMETAS(スイス連邦計量・認定局)によるマスター クロノメーター認定ムーブメントのCal.MT5612-Uが搭載されている。1万5000ガウスの磁場にさらされた場合でも精度を維持すること、パワーリザーブ残量による精度の変動が小さいことなどのさまざまな項目について検査されて出荷されており、その実用性の高さは現代基準で最高峰だ。“ウルトラ”の名に恥じない傑作であろう。


セイコー プロスペックス「マリンマスター プロフェッショナル」Ref.SBDX067

 最後は、セイコーダイバーズの60周年を祝う限定モデルから1本選出する。セイコー プロスペックス「マリンマスター プロフェッショナル」Ref.SBDX067だ。「マリンマスター」は、セイコー プロスペックスにおけるハイエンドラインに位置付けられており、高い防水性能と信頼性、優れた外装品質を持つモデルが並ぶ。Ref.SBDX067は単純な記念モデルに留まらず、「マリンマスター」の新たなフラッグシップとなっている。その特徴は、チタン製ワンピース構造のケースによる600m飽和潜水用防水への対応と、新開発のメカニカルムーブメントCal.8L45を搭載する点だ。

セイコー「マリンマスター プロフェッショナル セイコーダイバーズウォッチ 60周年記念 限定モデル」Ref.SBDX067

セイコー プロスペックス「マリンマスター プロフェッショナル」Ref.SBDX067
自動巻き(Cal.8L45)。35石。パワーリザーブ約72時間。Tiケース(直径45.4mm、厚さ16.0mm)。600m飽和潜水用防水。世界限定600本(国内200本)。71万5000円(税込み)。(問)セイコーウオッチお客様相談室 Tel.0120-061-012

 ほとんどの飽和潜水対応のモデルは、飽和潜水時にケース内に侵入するヘリウムガスを逃がすエスケープバルブを備える。一方、セイコーは伝統的に、これを用いずにヘリウムガスを侵入させないケース構造とシールによって性能を担保している。本作も同様の設計思想にのっとったチタン製ケースを新設計し、大ぶりながら軽量な着用感を実現する。搭載されるCal.8L45は、主ゼンマイ形状の改善をはじめとして、設計の全体を見直し、厳密な精度調整を行うことで約72時間のパワーリザーブと日差+10~-5秒の精度を実現している。

 この特別な本作のブルー文字盤は、悠久の時が息づく深海の神秘的な世界に着想を得たもので、波模様の型打ちを施し、プロフェッショナルダイバーだけが目にする深海の世界を表現したものだ。

 本作の完成度の高さを物語るように、グッドデザイン賞の中でも総合的に優れた製品を讃える「2025年度グッドデザイン・ベスト100」を本作は受賞している。特別な文字盤デザインに加えて、チタン製ケースからヘリウムエスケープバルブを排したシルエットが、審美性が高いとして高く評価された。


2025年夏に発表されたダイバーズウォッチから、時計ライターの佐藤しんいちがオススメを5本選出

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