MIP液晶が見やすさ抜群! 2025年新作のフルメタルG-SHOCK、「GMW-BZ5000GD-9JF」を着用レビュー

2025.12.11

カシオ G-SHOCKの2025年新作「GMW-BZ5000GD-9JF」を実機レビューする。本作はゴールドカラーのフルメタルモデルであり、AIとの共創による新構造の外装と、優れた視認性を誇るメモリインピクセル(MIP)液晶を採用している。

野島翼:写真・文
Photographs & Text by Tsubasa Nojima
[2025年12月11日公開記事]


進化し続ける「5000」シリーズ

 1983年に発売された初代G-SHOCK「DW-5000C」は、“腕時計は衝撃に弱い”という常識を覆した、まさにエポックメイキングな製品であった。その耐衝撃性は、内部のモジュールを支える中空構造、スクエア型ケースの四隅に設けた突起、張り出したベゼルやカーブしたバンドなどによって実現されたものであるが、あくまで柔軟な樹脂製の外装を前提としたものであり、金属製の外装に同等のスペックを与えることは困難だと考えられていた。

 その壁を打ち破ったのが、1996年に登場した「MRG-100」だ。自動車のバンパーから着想を得たバンパープロテクション構造を新たに開発し、その後継機はケースからバンドまで全てを金属製としたG-SHOCKの上位モデル「MR-G」として、ファンに愛され続けていく。

 G-SHOCKの原点、“オリジン”が初めてフルメタル化を果たしたのは、2018年の「GMW-B5000」である。以降、「5000」シリーズと「2100」シリーズのフルメタルモデルが徐々にラインナップを賑わせることとなる。

 今回インプレッションを行うのは、2025年に登場した最新のフルメタルG-SHOCKのひとつ、「GMW-BZ5000GD-9JF」だ。G-SHOCKの定番である5000シリーズをベースとした本作は、その伝統的なデザインにどのような革新性を秘めているのだろうか。

G-SHOCK GMW-BZ5000

G-SHOCK「GMW-BZ5000GD-9JF」
ゴールドIP仕上げのステンレススティールケースとブレスレットを採用した、2025年新作のフルメタルモデル。MIP液晶を採用する。タフソーラー。フル充電時約22カ月(パワーセーブ時)。SSケース(縦49.3×横43.6mm、厚さ13mm)。20気圧防水。10万2300円(税込み)。


AIと共創したフルメタルの外装

 スクエア型のケースは見慣れたデザインだが、本作にはベゼルとセンターケースを上下で連結させた新構造が採用されている。この構造は、G-SHOCK誕生から40年以上にわたって蓄積されてきた耐衝撃データをもとに、AIとの共創によって作り上げられたものだ。カシオはG-SHOCKの開発にあたってAIを積極的に活用しており、40周年記念として発表されたコンセプトモデル「G-D001」においては、通常の思考では思いつかないような、複数の支柱でケースを支えたようなユニークなデザインの18Kイエローゴールド製ケースが採用されていたことも印象深い。

 本作では、正面から見た姿はこれまでの5000シリーズと変わらないが、サイドビューに至っては新鮮そのものだ。ゴールドカラーのベゼルとブラックのセンターケースが精密に噛み合い、その間にゴールドカラーのプッシュボタンが輝いている。その姿はSF映画に出てくる宇宙船のようにも見える。あまり意識してケースサイドを見ることはないかもしれないが、これであればついつい魅入ってしまうだろう。なお、見た目には分からないが、ベゼルとセンターケースの間には弾性変形で衝撃を吸収する樹脂製のインナープロテクターが内蔵されており、これも耐衝撃性を高めるためのキーポイントである。

ベゼルとセンターケースを上下で連結させた新構造のケース。AIとの共創によって誕生したデザインだ。

 本作のゴールドカラーは、IPによるものだ。ゴールド系のコーティングは色味によって安っぽく見えてしまうこともあるが、本作ではやや暗い色味のため、十分な高級感がある。ベゼルの天面には縦方向のヘアラインが与えられ、そのほかはポリッシュ仕上げだ。ラグの上面4か所には、ブラックの別体パーツが取り付けられ、ベゼルとセンターケースを固定するとともに、デザイン上のアクセントにもなっている。ケースバックはねじ込み式を採用している。G-SHOCKはネジ留め式のケースバックでも20気圧防水を実現しているが、理論的にはねじ込み式の方が長期間にわたって高い防水性を確保しやすい。

スクリューバック仕様の裏蓋。搭載しているモジュールの番号やスペックが配されている。

 ブレスレットは、コマの裏やクラスプの内側などの普段見えない部分を含め、全面にゴールドカラーのIPが施されている。各コマは圧入式のピンによって固定されているかと思ったが、バネ棒によって固定されている点が珍しい。調整可能なコマが多いため、細腕の方であっても手首回りぴったりに調整することができるだろう。コマの上面には、樹脂バンドのデザインを模したディンプルが設けられている。

プッシュボタンによって開閉するクラスプ。特筆すべき機構はないが、シンプルで使いやすい仕様だ。

 クラスプは、プッシュボタンによって開閉する三つ折れ式。シンプルで頑強な造りだ。ワンタッチで使えるような微調整機構はないが、クラスプの横穴からピンで突くことで4段階分調整することができる。壊れにくく単純明快な仕様であり、クラスプが過度に厚くない点も良い。

 ケースとブレスレットの接合部は、ケース側3、ブレスレット側2の凸凹が噛み合った構造を持つ。これは2018年に発表されたGMW-B5000から受け継がれた特徴だ。

クラスプは、肉厚のプレートを備えた三つ折れ式。横穴からピンで突くことで4段階分調整することができる。


くっきり見やすいMIP液晶

 従来の液晶から大幅な進化を遂げた、メモリインピクセル(MIP)液晶を搭載していることも、本作の大きな特徴だ。MIP液晶はフルドット表示のため、7セグメントのような角ばった数字ではなく、より自然で滑らかな数字を映し出すことが可能だ。さらに広視野角を誇り、通常の液晶よりも斜めからの視認性が高められている。高コントラストのため、日差しの強い日中の屋外でも見やすい。

斜めからでも見やすいMIP液晶。デジタルのウィークポイントであった視野角の狭さを克服している。

 この高精細なMIP液晶を生かし、本作ではメインの時刻表示を4つのタイプに切り替えて使うことが可能だ。Type A(2都市時刻同時表示)、Type B(日付+曜日)、Type C(年+日付+曜日)、Type D(3都市時刻同時表示)が用意され、10時位置のADJUSTボタンを押下するごとに表示を変更することができる。タイプによっては文字が非常に小さくなるが、コントラストが強いため、はっきりと読み取ることが可能だ。

 なお、本作にはBluetoothを介してスマートフォンに接続し、専用アプリで各種設定などが可能なモバイルリンク機能が搭載されており、この機能を用いることで、慣れ親しんだ7セグメント表示に変更することもできる。

Type Aでの時刻表示画面。高精細でコントラストが高いため、細かな文字でもしっかりと読み取ることができる。


G-SHOCKらしい多機能性

 G-SHOCKと言えば豊富な機能。本作にも、一通りの機能が備わっている。まずは高効率な光発電システムであるタフソーラーだ。定期的な電池交換が不要なため、不意な電池切れに悩まされることもなく、手間がかからないことが魅力だ。フル充電してしまえば、例え光発電がされなかったとしても、通常の機能使用で約6カ月、パワーセービング状態では約22カ月も動力を保つことができる。

 時刻調整に関しても、基本的に手間がかからない。日本・北米・ヨーロッパ・中国地域に対応した標準電波受信機能を備えており、定期的にこれらの電波を受信することで自動的に時刻を補正することが可能だ。さらに、モバイルリンク機能でもスマートフォンと連携し時刻を補正することができる。

 そのほか、8時位置のMODEボタンを押下するごとに、ワールドタイム、アラーム、ストップウォッチ、タイマーとモードを切り替えることが可能だ。2時位置のボタンを押すことで、LEDライトを点灯させることもできる。輝度はそこまで高くないが、これによって暗所でもしっかりと時刻を読み取ることが可能だ。


テンションが上がる!金ピカG-SHOCK

 実際に着用してみて感じるのは、ゴールドカラーの時計特有の高揚感だ。金無垢ではなくとも、その輝きは着用者をワクワクさせてくれる。ビジネススーツに合わせるのは至難の業だろうが、その分カジュアルなシーンでの解放感は、生真面目なドレスウォッチでは味わえないものだ。やや暗めの色合いや、ベゼルとブレスレットのヘアラインが高級感と落ち着きをもたらし、安っぽく見えることもない。

ブレスレットもフルゴールドカラー。樹脂バンドをモチーフとしたディンプルが配されている。

 フルメタルのため、程よい重量感を楽しむことができる。ヘッドはそれなりに重量があるものの、ブレスレットの厚みがあるためか、重量バランスは良好だ。

 そして何と言っても魅力的なのが、視認性に優れるMIP液晶である。斜めからでも見やすく、多少薄暗い場所でもしっかりと時刻を読み取ることが可能だ。従来の液晶に比べて細かな表示ができるようになったため、“AL”や“ST”など省略されていた各モードが、“ALARM”や“STOP WATCH”のように表示されるようになったため、どのような機能の画面なのかが一目で分かりやすくなった。曜日がフルスペルとなったことも嬉しい。

ストップウォッチのモード画面では、省略されることなくしっかりと“STOP WATCH”と表示される。右上には時刻が表示され、経過時間を計りつつ時刻を確認することができる。

 ルックス良し、機能良し、そして試すわけにはいかないが、耐衝撃性や防水性も並外れて高い。ゴールドカラーの本作は、これ1本であらゆるシーンをカバーできるという時計ではない。しかし、ハマるシーンではこれ以上ない満足感を与えてくれる。G-SHOCKとしての実力とともに、色の魔力を味わうことのできる、何と贅沢なモデルだろうか。



Contact info:カシオ計算機お客様相談室 Tel.0120-088925


2025年、最も売れたG-SHOCK〝フルメタル〟モデルとは? 人気ランキングTOP5を発表!

FEATURES

手にして実感。カーキ色を用いたG-SHOCK「MRG-BF1000RG」はフロッグマンに求めていたもうひとつの配色だった!?

FEATURES

G-SHOCKの2025年新作「FINE METALLIC SERIES」を実機レビュー! 新開発のバンドを搭載した“スピード”モデル

FEATURES