星野リゾートが2012年6月1日から展開する、沖縄県八重山列島の「星のや竹富島」。沖縄と言えば夏のリゾートというイメージがあるかもしれないが、冬こそ島時間に触れる良い機会となる。この記事では、星のや竹富島および、同施設が冬限定で用意している4つの催しについて、紹介する。

Text by Chieko Tsuruoka(Chronos-Japan)
[2025年12月16日公開記事]
「星のや竹富島」とは?
星野リゾートが運営する「星のや」は、「その瞬間の特等席へ。」を理念に、ゲストにラグジュアリーな滞在を提供する宿泊施設だ。現在、日本国内に8施設が展開されており、そのそれぞれが独創的なコンセプトを標榜していることも特徴となっている。
そんな星のやのうち、2012年6月1日に開業したのが「星のや竹富島」だ。コンセプトは「ウツグミの島に楽土」。ウツグミは「一致協力」を意味する竹富島の“島言葉”である。珊瑚礁が隆起してできた同地は山や川が存在しないがゆえに農業に適しておらず、島に住む人々は生きるために知恵を出し合い、協力しながら生活してきたという歴史的背景の中で誕生した言葉だったのだろう。
そうして生まれた同地の文化と自然環境を大切にする星のや竹富島で、ゲストは伝統的な集落景観の中、竹富島ならではの体験に没入し、島時間を楽しむことができるのだ。
施設概要
住所:〒907-1101 沖縄県八重山郡竹富町竹富 1955
電話番号:050-3134-8091(星のや総合予約)
客室数:48室
チェックイン/チェックアウト:15時/12時
料金:1泊14万7000円〜(1室あたり。税・サービス料込み。食事は別)※通常予約は2泊から受け付け
アクセス:石垣港よりフェリーで約10分(竹富港より送迎有)
星のや竹富島URL:https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/hoshinoyataketomijima/

星のや竹富島で体験できること
星のや竹富島でゲストは、どんな島時間を過ごすことができるのだろうか? その一部を紹介しよう。
竹富島の伝統に触れ、暮らすように滞在する

前述の通り星のや竹富島は、同地の伝統を踏襲したうえで、島で暮らすような空間をゲストに提供する。
客室は木造平屋建てで、琉球赤瓦の屋根、琉球石灰岩を積んだ石垣、珊瑚の白砂が敷かれた庭、魔除けのヒンプン(母屋と門の間の垣根)などといった、竹富島の伝統的な様式にのっとって建築されている。ユニークなのが、屋根の上からは1棟ごとに、表情が異なるシーサーが配されている点だ。さらに、客室を囲む植栽は正面に南国らしい鮮やかな樹木や草花を、裏手に風よけのためのフクギを植え込んだ。客室周りのすべての要素は、竹富島の「景観形成マニュアル」に準じたものとなっている。
全室が1棟建てのプライベート空間であることも、島で生活している体感を強調する。


客室は全部で48棟だ。3タイプが用意されており、洋室の3名用で家族での滞在に最適な広さの「ズーキ(デイゴ)」、洋室の2名用で開放的な浴室を持った「ガジョーニ(ガジュマル)」、そして和室の2名用で、肌触りの良い琉球畳が敷かれた「ギャンギ(イヌマキ)」がある。すべてにディベットが置かれているので、うたた寝をしたり、のんびりと外を眺めたりといった、くつろぎの空間を楽しむことができる。
客室以外でも、島時間を

客室以外で島時間を過ごすのも良いだろう。
滞在中、いつでも利用可能なラウンジは、壁一面がガラス戸に囲まれているため、景色を眺めながらくつろいだり、“ゆんたく(島言葉でおしゃべりのこと)”を楽しんだりすることができる。


夜も朝も、島の恵みで生まれた料理に舌鼓を打つ
料理も、星のや竹富島の醍醐味のひとつだ。

とりわけ「島テロワール」は必食。竹富島を含む八重山の島々には、一般的に知られる南国の食材だけでなく、自然環境や歴史が育んだ島特有の食文化が多数ある。「鳴き声以外すべて食べる」と言われる豚や、祝いの席で振る舞われる山羊などの肉、医食同源の考えの下に用いられる野菜やハーブ……こういった島ならではの食材とフランス料理が出合って生まれた料理が、島テロワールだ。

プライベートな空間を大切にするため、ゲストは客室で食事をすることもできる。客室用のディナーが、「命草(ぬちぐさ)薫る島鍋」だ。命草は、かつて医者のいなかった竹富島で、島民の健康を支えていたハーブの総称である。野菜や海藻をふんだんに使用したこの鍋料理は1名1万6335円(税・サービス料込み)となっている。
総料理長は中洲達郎(なかす たつお)。2012年の開業以来、その腕を振るっている。

島の自然や文化を体験しよう
竹富島でしか味わえない自然や文化を体験できるアクティビティもチェックしておきたい。
星のや竹富島では、毎朝日の出に合わせて施設に隣接するアイヤル浜で行う「よんなー深呼吸」や、満天の星の下、プールサイドの芝生で行う「てぃんぬ深呼吸」、朝や夕方の集落を専用の水牛車で巡る「水牛車散歩」などといった、ユニークなアクティビティが年間を通してさまざまに用意されている。
今の季節であれば、「冬こそ、本物の島時間へ」というスローガンの下、用意されている4つの催しをチェックしたい。
まず、旧暦11月に行われてきた祭事、「ナーキ祝い(よい)」にて、神様に奉納される神聖なお神酒である「ミシャク」と泡盛を合わせた、独自のドリンクが提供される。期間は2025年12月1日〜2026年2月28日まで。場所はゆんたくラウンジ、料金は無料である。

また、客室で供される島鍋も、冬に採れる命草が使用される。期間は2025年12月1日〜2026年5月31日まで。料金は通常時と変わらず、ひとり1万6335円(税・サービス料込み)である。当日17時までに予約が必要となる。

旧暦2月に行われてきた二月祭で奉納される麦から着想を得た、「ユヌク菓子」も、冬に訪れたのなら食べておきたい一品だ。竹富島で は、祭事の際に重箱の料理を分け合いながら食べる習慣があり、そこに欠かせない伝統菓子をアレンジしている。期間は2025年12月1日〜2026年2月28日の14時〜15時50分まで。場所はゆんたくラウンジ、料金はこちらも無料である。

最後のひとつは、冬の畑あそびと十時茶(じゅうじちゃ)体験だ。沖縄では、午前10時頃がおやつの時間。菓子を持ち寄り、お茶を楽しむという習慣が根付いてきた。この習慣に着想を得たこの体験では、「島胡椒」とも称され、冬に旬を迎えるピーヤシの収穫体験をし、さらに十時茶にならってピーヤシを使ったチャイを味わう。期間は2025年12月1日〜2026年2月28日まで、9時30分よりスタートとなる。料金はひとりあたり4000円(税・サービス料込み)。2組4名までの定員で、前日17時までに予約が必要なので、注意されたし。





