パネライが「変化ではなく進化」と明言する、2025年新作「ルミノール マリーナ」の実力

『クロノス日本版』編集部が取材した、時計業界の新作見本市ウォッチズ＆ワンダーズ2025。「ジュネーブで輝いた新作時計 キーワードは“カラー”と“小径”」として特集した本誌でのこの取材記事を、webChronosに転載する。今回は、代表的なコレクションである「ルミノール マリーナ」をアップデートした、パネライの新作時計を取り上げる。

パネライのウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ2025

　近年、「ルミノール ドゥエ」を拡充するなどして女性や若者など、新たな顧客層の開拓に取り組み、一定の成果を上げてきたパネライ。2025年は一転、まず「ルミノール トレ ジョルニ」を発表し、原点回帰かと期待を抱かせた。だが、その実、彼らが成し遂げたのは真の“進化”であった。

原点回帰しつつもスペックアップを遂げた新生「ルミノール マリーナ」

「当社の戦略は、変化ではなく進化です」とパネライが明言するように、同社はブランドのDNAを再確認しつつも、さらなる発展を期すための“進化”を追求している。その観点からW&WG 2025で発表された新作を俯瞰すると、確かに腑に落ちる。

　今年のパネライのハイライトは、何と言っても同ブランドのアイコンモデルである「ルミノール マリーナ」のアップデートである。象徴的なケースフォルムとレバーロック式リュウズプロテクター、太いラグとペンシル型針、そしてサンドイッチダイアルの組み合わせといったルミノールマリーナのデザインコードを厳粛に踏襲しつつも、文字盤にはブランドロゴとモデル名のみのプリントに改められ、一層シンプルなデザインになった。

パネライ「ルミノール マリーナ」
パネライのアイコン「ルミノール マリーナ」がアップデートされ、約3日間のパワーリザーブを持つ新型ムーブメントCal.P.980を搭載。防水性も500m防水に高められた。新しいSS製ブレスレットはケースからバックルに向かって細くなるデザインを採用し、装着はより軽快になった。自動巻き（Cal.P.980）。23石。2万8800振動／時。パワーリザーブ約72時間。SSケース（直径44mm、厚さ13.7mm）。500m防水。

パネライ「ルミノール GMT パワーリザーブ チェラミカ」
W&WGの後に開催されたミラノサローネ国際家具見本市で発表された新作。ポリッシュとサンドブラスト仕上げを組み合わせた44mmのブラックセラミックケースが特徴。裏蓋にはチタンをベースにスモーク加工が施されたサファイアクリスタルをはめ込む。自動巻き（Cal.P.9012）。31石。2万8800振動／時。パワーリザーブ約72時間。セラミックケース（直径44mm、厚さ14.67mm）。300m防水。

　結果、カラーダイアルの下地に施されたサンブラッシュ仕上げをより効果的に引き立たせることに成功している。また、アワーマーカーを穿ったおなじみのサンドイッチダイアルには、スーパールミノバX2をルミノールのコレクションでは初めて採用し、暗所での視認性を高めている。

　特筆すべきは、アイコニックなデザインコードを維持しつつも、サファイアクリスタルのシースルーバックを復活させ、さらにルミノール マリーナ史上において最も高い防水性能となる500m防水をかなえた点だ。加えて、ムーブメントをCal.P.900をベースにした新型Cal.P.980に刷新し、それに伴ってケースのプロポーションを再考。厚さが12%、重量は15%削減され、待望のコンパクト化が達成された。

　これこそ、ブランドDNAを維持しつつ、実用性の観点からも真の“進化”を遂げた好例と言えるだろう。

パネライ「ルミノール マリーナ」
新型「ルミノール マリーナ」では、蓄光塗料にパネライ初となるスーパールミノバX2を採用している。これは従来比で発光量が10%明るいものだ。自動巻き（Cal.P.980）。23石。2万8800振動／時。パワーリザーブ約72時間。SSケース（直径44mm、厚さ13.7mm）。500m防水。

パネライ「ルミノール マリーナ」
ブレスレット1点とストラップ4点の計5モデルを発表した新型「ルミノール マリーナ」。ホワイト文字盤はツール感が薄まって、より都会的に。自動巻き（Cal.P.980）。23石。2万8800振動／時。パワーリザーブ約72時間。SSケース（直径44mm、厚さ13.7mm）。500m防水。