4月14日(火)から開催されるウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブに先駆けて、クレドールから新作腕時計がふたつ発表された。いずれも「ゴールドフェザー」より、匠の技が生きる、傑出したドレスウォッチである。
Text by Tsubasa Nojima
[2026年4月1日公開記事]
彫金師の創意工夫と経験が作り出す「ゴールドフェザー トゥールビヨン 彫金 限定モデル」
セイコーが擁するドレスウォッチブランドであるクレドールより、新作「ゴールドフェザー トゥールビヨン 彫金 限定モデル」が発表された。本作には、クレドールが30年間の歳月をかけて研鑽を重ねてきた彫金の技の粋が注ぎ込まれている。世界限定25本という稀少性も魅力だ。

1996年に確立された彫刻技法を用いた、「ゴールドフェザー」の数量限定モデルが登場。薄型ケースに、手巻きトゥールビヨンムーブメントを収めている。手巻き(Cal.6850)。22石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約60時間。Ptケース(直径38.6mm、厚さ8.6mm)。3気圧防水。世界限定25本(うち国内18本)。2860万円(税込み)。2026年8月7日(金)発売予定。
ミニマルなデザインの彫金ダイアルは、洋彫りをベースにしつつ和彫りのようなシャープさを組み合わせた、独自の技法を用いて彫り込まれている。一般的な洋彫りの技法では、曲線の光沢が弱くなり、面が荒れてしまうこともある。一方で、和彫りで用いられる彫刻刀は、彫った面にくっきりとした輝きを与えることができるが、彫刻刀を槌(つち)で叩いて彫ることから、繊細なクレドールに用いることができない。
クレドールではこの壁を乗り越えるため、彫金師自身が、彫りたい模様や自分の手に合わせた彫刻刀を自作し、どの角度からも輝きを放つ彫刻面を生み出すことに成功している。この技法が確立されたのは1996年のこと。それから30年間、クレドールの彫金技術は着実に熟成を重ねていった。

ダイアルは二層構造を採用し、薄型ながらも立体的な仕上がりを実現している。彫金師の手によって刻まれた極細のローマ数字インデックスは、クレドールが誕生した1970年代のデザインから着想を得たものだ。ダイアル外周に並ぶミニッツマーカーは、細かな円をひとつひとつ彫り込んだ「魚々子(ななこ)」模様によって創り出されている。


9時位置には、オープンワークのブリッジに支えられたトゥールビヨンキャリッジが収められている。本作が搭載するCal.6850は、厚さわずか3.98mmの極薄手巻きムーブメントだ。複雑機構を搭載しつつも、ゴールドフェザーの名にふさわしい薄型ケースの実現に寄与している。既存のCal.6830に対し、香箱の容量を拡大することで約60時間ものパワーリザーブを備えている点も特徴だ。
直径38.6mmのケースはプラチナ製。厚さは8.6mmに抑えられている。ケースと裏蓋を一体とした構造により、強度を高めつつゴールドフェザーらしい丸みを帯びたフォルムを実現している。

シースルーバックを採用しているため、内部のムーブメントを鑑賞することも可能だ。ムーブメントには、トゥールビヨンから放射状に広がる彫金が施され、職人の手による作品を存分に堪能することができる。ムーブメントで一番薄い部品の厚みは0.25mm。そこに0.15mmの深さの彫金を加えるためには、長年にわたって培ってきた職人ならではの指先の感覚が不可欠だ。本作はまさに、匠の技を結集させた究極のドレスウォッチと言えるだろう。


伝統と革新を体現する「ゴールドフェザー 漆芸ダイヤル 限定モデル」
もうひとつクレドールから発表されたのは、漆によるグラデーションブルーダイアルを採用した新作「ゴールドフェザー 漆芸ダイヤル 限定モデル」が加わった。本作は、世界限定25本が販売され、日本国内での割り当てはうち15本である。

グラデーションブルーの漆ダイアルを採用した、数量限定モデルが登場。プラチナケースを採用する。手巻き(Cal.6890)。22石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約37時間。Ptケース(直径37.4mm、厚さ8.1mm)。3気圧防水。世界限定25本(うち国内15本)。550万円(税込み)。2026年6月5日(金)発売予定。
漆の伝統と革新を体現する本作のダイアルには、伝統的な漆の作品では珍しいグラデーションが施されている。外周に黒漆を施し、中央に向かって徐々に深いブルーへと移り変わる様子を描いている。黒漆との調和や彩度の調整にあたっては、職人の手による緻密な作業が求められ、漆を幾重にも塗り重ね研ぎあげることで、静謐さと重厚さを与えている。特に、本作のダイアルは外周に向かって落ち込むようなカーブが施され、均一に研ぐためには職人の繊細な感覚が不可欠だ。


シンプルなバーインデックスや12時位置のブランドロゴ、6時位置のゴールドフェザーのロゴは、全て高蒔絵(たかまきえ)によって描かれている。高蒔絵は、漆で絵柄を描いて盛り上げた上に金粉などを蒔き、立体的に仕上げる技法だ。本作ではプラチナ粉を使用することで、グラデーションダイアルとのコントラストを生み出している。

直径37.4mmのケースは、プラチナ製だ。1960年に誕生した「セイコー ゴールドフェザー」のコンセプトを踏襲し、着用感と審美性に優れたデザインに仕上げられている。ボックス型のサファイアクリスタル風防が組み合わせられ、柔らかな印象にまとめ上げられている。
ムーブメントは、薄型手巻きのCal.6890だ。ストライプ装飾やブルーのネジなど、職人の手作業による仕上げをシースルーバックから楽しむことができる。





