グランドセイコーの魅力はどこにある? 選び方やおすすめを紹介

FEATUREその他
2022.10.30

グランドセイコーの魅力

多くの高級腕時計愛好家がグランドセイコーを支持し、今なおグランドセイコーの製品に魅入られるその魅力はどこにあるのだろうか?グランドセイコーの腕時計の魅力に迫る。

デザイン性

グランドセイコーの代表的なモデルには、「スタンダードなブレスモデル」が採用されている。多くの時計ブランドが「スポーツモデル」や「ドレスウォッチ」を採用する中で、グランドセイコーはなぜこのモデルを採用しているのだろうか。

その理由は、ビジネスでもプライベートでも幅広く使えるというメリットがあるからである。シンプルでスタンダードなモデルはあらゆるシーンに対応し、雰囲気を損なうことはない。

また、スポーツモデルなどのデザインは若々しくスタイリッシュなデザインであることが多い反面、年齢を重ねていくうちに、自身の変化する感性に合わなくなってくることもある。さまざまなシーンに対応し、長期に渡って利用できるデザインを追求していることが、グランドセイコーの魅力の一つと言えるだろう。

機能性

機能性にも注目していこう。特筆すべきは「Chronometer」を 超える高精度基準「グランドセイコー規格」(GS規格)である。

熟練の時計職人が多大な時間をかけてようやく完成に至るこの基準を満たした製品は、1年間に少量しか生産することができない。

平均日差+5~-3秒という精度の高さは、6方向の姿勢差に3段階の温度で設定されたさまざまな条件下における17日に及ぶ厳格な検定試験が、グランドセイコーにおける機能性の高さを担保している。

ブランドイメージ

セイコーは日本国内で周知されているウオッチメーカーであり、そのフラッグシップに位置するブランドであるグランドセイコーは、いわば「国内時計ブランドの頂点に立っている」と言えるのではないだろうか。

グランドセイコーはクォーツ・機械式・スプリングドライブという3つの動力を基準として、実用性が高く高機能なイメージがある。さらにそのシンプルなデザインは、実直で誠実なイメージを見る物に抱かせるのだ。

半世紀にわたって培われてきた「国産の最高峰」というイメージは、今後も揺らぐことはないだろう。盤石なブランドイメージこそが、グランドセイコーの魅力である。


グランドセイコーの特徴

ではなぜ、グランドセイコーが他のブランドを差し置いて国内最高峰というイメージの獲得に至ったのだろうか。グランドセイコー独自の特徴について触れていく。

ムーブメント


グランドセイコーはムーブメント(動力源)に強いこだわりを持っている。

セイコーエプソンの 高級腕時計工房 であるマイクロアーティスト工房が作り上げた「キャリバー9R01」を例に見ていきたい。

懐中時計並の厚い地板と受けに加え、受けの保持はピラー式を採用し、受けの周囲にはリブを加えるという徹底ぶりである。

コンパクトなムーブメントでありながらも、8日以上のパワーリザーブを実現している。耐久性を追求した新型ムーブメントに魅せられる購入者も多いのではないだろうか。

ケース


ムーブメントを納める外側のケースにも、グランドセイコーは大きな特徴がある。セイコースタイルにおいてケースを仕上げるために「ザラツ研磨」の果たす役割は大きい。

ザラツ研磨とは、副資材を貼った円形の定盤を回転させ、そこにケースを当てて面をならす下地処理技術。これによって、平面の歪みをなくし、平面と斜面の繋ぎ目のエッジを際立たせることで、グランドセイコーらしいシャープなケースを実現している。グランドセイコーでは、世界有数のこの技術が存分に使われているのである。

ディティール

「キャリバー9R01」では仕上げにも改善が見られ、その最たる例が面取の深さである。

従来採用されていた手巻スプリングドライブ「叡智I」では、幅は0.3mmだった。しかし「叡智II」以降では幅は0.4mmとなっている。幅が増えると面を整えるのが難しくなるが、マイクロアーティスト工房に所属する優秀な技師が、手作業によって整えている。

高級時計になると、パーツも高精度のものが使用され、扱いが難しくなる。パーツ一つ一つの工程まで、ディティールにこだわって製作されていることが、グランドセイコーが高級ブランドたる由縁と言えるだろう。

その細密な作業の詳細は、こちらの記事にて紹介

https://www.webchronos.net/features/31846/


ムーブメントによる種類

グランドセイコーはムーブメントによる種類でラインナップを分けてきた。どのような種類で分けてきたのか、ムーブメントごとの特徴を紹介する。

9Sメカニカル

9Sメカニカル
9Sメカニカルは、機械式時計と呼ばれるものである。動力はゼンマイで、規則正しい振動を利用して 時刻を知らせる、昔ながらの方式だ。

9Sメカニカルの特徴は、精度を支える柱である「てん輪」にある。てん輪は、振動を一定速度に保つ役割を果たしている。 0.000001g単位で重量調整が行われるほどの精密パーツだ。

他にも、9Sメカニカルではパーツの製造に「MEMS」(Micro Electro Mechanical Systems)という最新技術が用いられている。

MEMSは0.001mm単位の精度でパーツを加工する先端技術で、「がんぎ車」をはじめとする重要パーツの軽量化も実現しているのである。

9Fクォーツ

9Fクォーツ
クォーツ式時計とは、電池を動力源に動く時計のことである。1秒間に3万2768回という水晶振動子の正確な振動を検知し、電気信号を発生させることで歯車を動かすのがクォーツ式時計の仕組みだ。9Fクォーツでは、この歯車と連動する、さまざまな機能を揃えている。

その一つが「瞬間日めくりカレンダー」だ。日回し歯車の回転により「瞬間日送りレバー」のばねをたわませ、やがてカムの回転がある位置にまで到達すると、日付が切り替わるという仕組みである。この切り替えが午前0時に正確に行われるのは、熟達した職人の技術によると言える。

世に出ているクォーツはおおよそ自動組み立てだが、9Fクォーツは職人の手によって手作業で組み立てている。ダイヤル側とムーブメント側を、異なる2人の職人が担うことで、高い精度を維持しているのである。

9Rスプリングドライブ

9Rスプリングドライブ
スプリングドライブは、セイコー独自の駆動機構である。機械式時計とクォーツ式時計の長所を取り入れたハイブリッド型のムーブメントだ。クォーツ式とは異なり、電池の交換が不要であるという点は、大きなメリットである。

スプリングドライブではクォーツ式に用いられる水晶振動子の電気信号と、ぜんまい式の動力、そしてブレーキの役割を果たす磁力を利用したローター・ステータが用いられており、機械式動力の力強さと、クォーツ式動力の正確さの両方を併せ持っている。

200以上の部品、0.01mm単位で記された設計図からスプリングドライブを生み出せるのは、卓越した職人の技巧があってこそである。