Chrono24のデータから見る、コロナが世界の時計マーケットに与えた影響

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2020.05.27

オンラインセールスは3月半ばまでマイナス。ロックダウンと共に反転か?

 2020年の初日から20年3月16日までの、一日の平均訪問数は25%だったが、3月16日から3月21日までは9%に増加し、3月16日から3月25日までは13%の増加に転じた。また販売額は20年の初日から3月16日までは37%の落ち込みを見せたが、3月16日から21日にかけては一転して29%の増加に転じた。

 続いて、個別の市場を見ていきたい。

イタリア

 コロナ禍で大きな打撃を受けたイタリアのセッションは、2020年初頭から3月12日まで33%のマイナス。しかし16日から21日には、14.5%の増加にに転じた。チェックアウトは20年の初頭から3月12日までは48%の下落を記録。しかし、12日から21日にかけては38%のプラスとなった。イタリアのロックダウン開始は3月10日である。

アメリカ

 アメリカのセッションは、2020年頭から3月12日まで14%。17日までで20%の下落。しかし17日から21日には、9%の増加に転じた。チェックアウトは2020年の初頭から3月17日までは42%のマイナス。対して17日から21日にかけては30%のプラスに転じている。

ドイツ

 ドイツのセッションは、2020年頭から20年3月12日まで平均15%で、12日から3月16日までは平均26%下落した。しかし以降21日までは15%の増加となった。チェックアウトもこれに準じており、20年頭から3月14日までは平均41%の下落だったが、以降21日までは、37%の増加に転じた。ドイツがロックダウンを開始したのが3月中旬である。

イギリス

 イギリスのセッションは、2020年頭から2020年3月13日まで平均13%で、23日までを含めると平均30%下落した。しかし以降26日までは17%の増加となった。チェックアウトは、20年頭から2月29日までは平均20%の下落で、3月23日まで含めると65%の減少である。Chrono24は補足として「3月末から回復する」と述べている。イギリスのセッションが低下していた理由は、EUからの離脱と推測される。

中国

 中国は面白いデータを示している。中国からのセッションは、2019年末、そして20年頭から1月12日までは平均29%の減少、1月24日までは50%の減少。しかし1月24日から2月11日までは12%の増加に転じ、3月25日まで広げると、45%の増加となった。なお、チェックアウトのデータは不明である。武漢がロックダウンしたのは1月23日のこと。しかし、一部消費者のマインドは、1月半ばには底を打っていたと予想できる。

日本

 比較的安定しているのが日本である。2020年の初頭から3月12日までは平均15%の減少、3月25日までは含めると、25%の減少だった。しかし、3月25日から4月5日にかけては14%の増加となった。なお、チェックアウトのデータは不明である。

香港

 セッションは2020年頭から20年1月24日まで平均18%の減少、17日までは30%の減少。しかし、2月以降は平均34%の増加に転じた。なお、チェックアウトのデータは不明である。コロナ禍以前にセッションが減少していたのは、景気の後退が理由と推測される。


反転の理由はコロナ疲れの反動か?

 これらのふたつのキーKPIから推測できるのは、オンラインマーケットに限って言うと、3月半ばには、消費者達が再び時計の購入、あるいは購入を検討し始めたということである。理由はわからないが、ロックダウンでストレスをためた消費者たちが、オンラインで物を買うようになったため、という関係者の推測は妥当ではないか。事実、中国のセッションは、ロックダウンが始まった1月下旬からむしろプラスに転じているし、ロックダウンがなくなった現在、オンライン、オフラインを問わず、猛烈に買いに転じている。こういった傾向はイタリアなども同様だ。オンラインセールスの動向が示した、消費者の意外な動向。今後も、クロノスではChrono24のデータを通して、市場や消費者の動向を見ていくことにしたい。