使い込むうちに風合いが増すSLOWのレザートートバッグ/コニサーズ・チョイス

LIFEIN THE LIFE
2020.10.31

妥協することなくメイド・イン・ジャパンを追求し、ベジタブルタンニンならではのナチュラルな風合いを生かす、シンプル設計のSLOWのレザートートバッグ。ビジネスにもカジュアルにもぜひ使ってもらいたい!

倉野路凡:文 Text by Rohan Kurano
吉江正倫:写真 Photographs by Masanori Yoshie

SLOW トートバッグ「bono」
フルベジタブルタンニンなめしの栃木レザー(牛革)を使用したトートバッグ。ブラック、チョコ、キャメルの3色展開。右/ジップで開閉が可能。「bono -zip tote bag-」(チョコ)。H29×W42×D14cm。3万6000円。左/巾着型のライナー付き。「bono -totebag width type-」(キャメル)。H31×W40×D15cm。4万5000円。


使い込むうちに風合いが増す贅沢トート

 2008年に誕生した「SLOW(スロウ)」。厳選された革を使い、熟練の職人が手掛けるSLOWのバッグには、“ジャパンメイド”の優れた魅力が詰め込まれている。なかでも、この「bono(ボーノ)」のトートバッグは、長く使えるデザイン性と使いやすさを併せ持つ、ブランドを代表するスタンダードなシリーズだ。特筆すべきは使用しているレザー。昭和12年(1937年)創業の皮革製造の専門工場(タンナー)である「栃木レザー」社が手掛ける、フルベジタブルタンニンなめしの牛革(ヌメ革)を用いている。

 フルベジタブルタンニンなめしを簡単に説明すると、皮を植物タンニン溶液の入った槽に漬け込んでなめすという方法だ。栃木レザーの場合、160ものビット槽があり、濃度の薄いタンニン槽から濃いタンニン槽へと順次漬け込んでいく。皮から革へ変化させる全工程を終わらせるのに、大変な時間と労力をかけているのである。それに比例して、なめされた革は本来の風合いがそのまま残り、柔らかく堅牢性のある革へと仕上げられる。その信頼の高さから一流ブランドからの発注も多く、それぞれの要望に沿った複雑な仕上げを提供しているという。ちなみに同社ではブラジル産のミモザと高品質のタンニン樹液を使っている。有害な薬品を使っていないため、環境への負荷も小さい。

 このbonoシリーズのトートバッグに使われている革は、SLOWが栃木レザーに特注したフルベジタブルタンニンなめしの牛革だ。牛の血筋などを生かした肉厚のナチュラルな風合いが特長で、経年によって深みのある色と味わいが増すという良質のヌメ革である。

 すっかりビジネスシーンに溶け込んだ“ビズトート”だが、素材はナイロン製が主流。軽量で使いやすいが劣化は免れない。その点、レザー製は使い込むうちに風合いが出て、長く愛用することができる。このレザートートは革の良さを引き出すシンプルなデザインがポイ
ント。2タイプとも取り外せる麻(リネン)100%の内装仕様で、必要最低限のポケットがあるだけ。ジップまたは巾着を締めれば中身を隠すことだってできる。実に、オン・オフ共に使うことができる優れものなのだ。また、ハンドルが長めに設計されているので、男性でも肩に掛けることが可能。使いやすくて贅沢な革のトートバッグをぜひ愛用してもらいたい。


Contact info: SLOW自由が丘店 Tel.03-5731-3374