編集部の勝手に討論会〜G-SHOCK初のアナデジをフルメタル化したカシオ「AWM-500D」〜

FEATUREインプレッション
2020.12.27

『クロノス日本版』編集長の広田雅将と副編集長の鈴木幸也、唯一の平部員細田雄人の3人が、話題のモデルのインプレッションを語り合う鼎談連載。第3回は、カシオG-SHOCK初のアナログデジタルウォッチをフルメタル化した「AWM-500D」を好き勝手に論評してみた。

AWM-500D-1A8JF

G-SHOCK「AWM-500D-1A8JF」
1989年に発売されたG-SHOCK初のアナログとデジタルのコンビネーションモデル「AW-500」をフルメタル化。オリジナルは衝撃に弱いとされていたアナログ時計の既成概念を覆したモデルであったが、本作はケースとベゼルの間にファインレジン製の緩衝材を入れることでこの外装を実現した。タフソーラー。パワーリザーブ約7カ月。SS(縦51.8×横44.5mm、厚さ14.2mm)。20気圧防水。6万円(税別)。
吉江正倫:写真
Photographs by Masanori Yoshie
阿形美子:文
Text by Yoshiko Agata


G-SHOCK初のアナデジのフルメタルは、ブレスレットに注目

鈴木「何よりもまず、アナログのG-SHOCKがフルメタルになった、ってのが感慨深いよね。僕は結構長時間着けてみて、ゴツくてデカいからぶつけたりしちゃったけど、やっぱりG-SHOCKだから、ぶつけても大丈夫っていうのが前提で。あとは腕に着けた時の存在感が強いのも魅力だよね」

広田「ゴツいけど、ヘッドとテールのバランスが取れてるよね」

細田「僕もそう思いました! ヘッドがなかなか重いけど、着けてみると意外と安定感がありますよね」

適度なコマの遊びが向けられたブレスレット。存在感のあるヘッドとバランスを取るためコマも分厚く、全体質量は175gだが、装着感は悪くない。

鈴木「この厚いヘッドに対してブレスレットがペラペラだったら絶対ダメだけど、その点はさすが良く出来てる。だから時計本体の重量感はあるけど、着けていて違和感は少ないね」

細田「MT-GとかこれまでのG-SHOCKのフルメタルモデルって、ブレステットの中コマを中空構造にして樹脂を入れているのもあるんですけど、このモデルはヘッドが重いからか無垢なんですよ。バランスがしっかり考えられている」

広田「それから、ブレスレットのコマの左右に適度な遊びがあるのも良い。これだけ重さがあってさらにガチガチだったら窮屈だろうな。それに、分厚くて大きな時計でブレスに遊びがないと、ブレスレットが壊れるんですよね」


仕上げが秀逸なタフソーラー式文字盤

広田「最近のカシオは、アナデジやクォーツも頑張っている。特に針はクォーツとは思えないほど太くしてきてるし、針と文字盤とのクリアランスを真面目に詰めてきていますね」

鈴木「針の素材は恐らくアルミかな。薄く軽くすることで太い針を動かしている」

細田「デザイナー曰く、同コレクションではこの着用モデルへの思い入れが一番強いらしく、針とアプライドインデックス、文字盤色まで色をそろえながら視認性は高いというところに注力したようです」

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メタリックな質感のダイアルは、フルメタルケースと好相性。細部までトーン合わせされた仕上がりに、カシオの技術力を見る。

広田「リング状の見返しパーツからインデックスを出す仕様にしたりして、凝ってるよね。あとは、ひと昔前のカシオなら“20BAR”みたいな文字盤上の文字を黒にしてたと思うけど、グレーにトーン合わせしたうえで視認性を担保してるのも良い。カシオ、見せ方を分かってんな〜」

細田「僕がびっくりしたのは、ソーラー発電なのに文字盤がポリカーボネートっぽくないこと。初見では見返しに発電リングがあるのかと思ったけどそうじゃないから、この質感はソーラー発電の中でもハイレベルかなって」

広田「うん、ポリカーボネートの紫色が全然透けてないよね」

鈴木「このシルバーカラーは、どうやってるんでしょうね」

広田「やっぱり塗装でしょう」

鈴木「筋目をつけて塗装して、でも光が透過する、って仕組みか」

広田「あとカシオは、インデックス含め、プラスティックの成形技術が高いから、パッと見た感じ“プラ感”がないですよね。」

鈴木「フルメタルにちゃんとなじんで安っぽくない。これでさらにソーラー式っていうのは、スゴいですよね」

広田「この時計の強みは文字盤がよく出来ているところですねぇ。アプライドインデックスも文字盤に対する押さえになっている。こういう理にかなった設計も好感が持てます」


中空構造の3ピースケースによる耐衝撃性

細田「そうそう、G-SHOCKで欠かせないのが、耐衝撃性。このモデルの場合は3ピースになっていて、裏ブタとコアガード(インナーケース)とベゼル一体型ケースをはめて、中は中空にしてあります」

広田「ムーブメントの周りにはファインレジン製の緩衝パーツを使ってるんだよね。G-SHOCKは各モデルに合わせて緩衝素材を使ってるけど、このモデルに関しては割とオーセンティックな方法を取っていますね」

鈴木「耐衝撃性を担保しながら、デザインにも文句のつけようがないっすね。最近のG-SHOCKは時計として優れてる。フルメタルのGMW-B5000も率直にカッコイイし。」

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ねじ込み式の裏ブタには、DLC処理が施される。SS製ベゼルの仕上げには、ポリッシュとヘアラインを組み合わせ、立体的な質感に仕上げている。

広田「うん。それから最近のカシオのアナログは、オシアナスもすごく良いよ」

鈴木「近年のカシオは“デジタルだけじゃない”って印象を強く受けるなぁ。このモデルも、実際に着けてみると仕上げの良さがよく分かるし」

広田「ただ、デザインに口を出すなら、ケースの全長が長いかな。1コマ目がほぼハメ殺し状態なので、ここがもうちょっと詰まると良いな」

鈴木「とはいえ、裏ブタに厚みがあるから着けたときに浮かないよね」

広田「うん。そこも含めてカシオは細かいチューニングができるようになったんだなと思います」