ロイヤルオーク、それともオイスター? オーデマ ピゲとロレックスのスポーツウォッチを徹底比較

FEATUREWatchTime
2022.06.11

サブマリーナー デイト VS ロイヤル オーク オフショア ダイバー

 ロレックスがダイバーズウォッチで名声を上げる一方、オーデマ ピゲはそのラインナップは限られている。その代わり、唯一のダイバーズモデルである「ロイヤル オーク オフショア ダイバー」はいくつものカラーを展開。一方のロレックスは、「オイスター パーペチュアル サブマリーナー」「オイスター パーペチュアル シードゥエラー」「オイスター パーペチュアル ロレックス ディープシー」の3コレクションが用意され、この順序で価格と防水性が高くなっていく。最もリーズナブルな「サブマリーナー」でさえ、オーデマ ピゲのダイバーズモデルと同じ300m防水だ。

 ロイヤル オーク オフショア ダイバーのトランスパレントバックからのぞける美しい自社製造キャリバー3120は、素晴らしいのひと言に尽きる。ムーブメントは2万1600振動/時で約60時間のパワーリザーブを実現。テンプ受けは耐久性を高め、偏心錘とフリースプラングのヒゲゼンマイによって微調整が可能だ。エングレービングが施された22Kソリッドゴールド製のローターやその他の装飾仕上げは、まるで美しい絵を見ているようだ。インナーベゼルや厚みのあるムーブメントによって、よりスポーティーな「ロイヤル オーク オフショア ダイバー」のケース厚は14.1mmとなっている。

サブマリーナ デイト

セラミック製のダイバーズベゼルと、アイコニックなサイクロップレンズを備えた「サブマリーナー デイト」。

 新しい「サブマリーナー デイト」の直径は41mmで、従来モデルの40mmよりもわずかに大きくなっている。また、このモデルもソリッドバックによってムーブメントを見ることはできない。「サブマリーナー デイト」に搭載されているのは自社製造のキャリバー3235で、約70時間のパワーリザーブを実現。約48時間のパワーリザーブを備えていた前身のキャリバー3135と比べると、新しいムーブメントはより効率的な耐衝撃性を備え、主ゼンマイも改良されている。こちらはデイトナ同様、C.O.S.C.のほかにロレックス独自の高精度クロノメーターの基準を満たしている。

 サブマリーナー デイトのクラスプには、微調整が可能で非常に実用的なエクステンションシステムが備わっている。オーデマ ピゲのダイバーズウォッチに付属するラバーストラップもピンバックルで簡単に調整でき、それはロイヤル オークのメタルブレスレットよりも使いやすくなっている。また、このモデルには非常に優れた特徴がある。ロイヤル オークの特徴である八角形のベゼルとビスはそのままに、潜水時間を測定するためのインナーベゼルを追加したのだ。一方のロレックスはラチェット式の回転ベゼルを採用し、比類のないクオリティを誇っている。

 オーデマ ピゲには、美しいムーブメントと繊細に仕上げられたケースという特徴がある。しかしロレックスはより実用的な時計であり、デザインが決定的な要素でなければ、実にコストパフォーマンスの高いモデルと言えるだろう。

ロイヤル オーク

2019年以来、「ロイヤル オーク」(写真上)は、約70時間のパワーリザーブを備えた新しいキャリバー4302(写真下)を搭載している。

ムーブメント


デイトジャスト VS ロイヤル オーク

 2019年、オーデマ ピゲはアイコニックなケース径41mmの「ロイヤル オーク」を刷新した。ベゼルをスリムにし、ダイアルの「AUTOMATIC」表記をなくしたことに加え、このモデルは新開発の自社製造ムーブメントを搭載している。つまり、キャリバー3120から4302に代わったのだ。ムーブメントの直径は32mmで以前よりも大きくなり、厚さも4.8mmになっている。ただし、これにより主ゼンマイのスペースを確保でき、現代的な2万8800振動/時にも関わらず、約70時間の十分なパワーリザーブを実現したのだ。

 クラシックなロレックスの「デイトジャスト」もケース径は41mm。オーデマ ピゲと同様に、2万8800振動/時で約70時間のパワーリザーブを保持する自社製キャリバー3235を搭載している。これはキャリバー3135に代えて採用された新しいムーブメントだ。オイスタースチールとオイスターブレスレットを組み合わせた「デイトジャスト 41」の価格は「ロイヤル オーク」の半分以下だが、いずれもブティックで見つけることはほぼ不可能だ。

デイトジャスト

写真の「デイトジャスト 41」にはホワイトゴールドベゼルとオイスターブレスレットが組み合わされているが、他にもさまざまなバリエーションが展開されている。

 3針モデルにおいては、シースルーバックを通して魅力的なムーブメントを眺められることも含め「ロイヤル オーク」が人気だ。ただし、どちらかといえば入手しやすい「デイトジャスト 41」の方が価格を注視するに値する。そのため、個性的で細部まで手を入れられたケースにも関わらず、より高い価格設定の「ロイヤル オーク」は分が悪い。

 ロレックスほど高品質で、量産体制を確立した自社製の時計をリリースしているブランドは他にはない。安定した耐久性と精度を実現し、完璧なクオリティを誇っている。それでも、サテン仕上げの表面や細部まで丁寧に仕上げられたケースとブレスレット、そして自社製造のムーブメントまで、オーデマ ピゲがトップレベルの時計製造を行なっていることは明らかだ。ロレックスのスティールモデルを巡る熱狂ぶりが価格を高騰させているが、では、オーデマ ピゲの価格設定はそれだけの価値があるのだろうか? クロノグラフモデルの購入を考えているのであれば、その価格差はほとんどないと言っていいだろう。もっとも、ダイバーズモデルと3針モデルでは個人の好みが影響するので、機会があればまず試着してほしい。そして、予算を上乗せしてでもロレックスからオーデマ ピゲにシフトする価値があるかどうかを、自身で見極めてほしい。


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