アイクポッド「メガポッド」、画家のトム・クリストファーとのコラボレーションモデル

FEATUREWatchTime
2021.04.27

アイクポッドは2019年の復活後、オーデマ ピゲの「ロイヤル オーク オフショア」を手掛けたエマニュエル・ギュエがデザインしたクォーツ式腕時計が成功を収めたことに続き、2020年春にはボーム&メルシエでデザインディレクターを務めたアレクサンドル・ペラルディがデザインした新しい機械式自動巻きモデルが登場した。そして2021年に日の目を見るのは、アメリカ人アーティスト、トム・クリストファーとのパートナーシップである。この特別限定モデルについて紹介する。

Originally published on Montres De Luxe
2021年4月27日掲載記事

アイクポッド「メガポッド」トム・クリストファー特別限定モデル

メガポッド

自動巻き(Cal.ミヨタ 9039)。24石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約42時間。SSケース(直径46mm、厚さ17mm)。5気圧防水。ラバーストラップ。世界限定200本。19万8000円(税込み)。

 スイスの時計ブランド「アイクポッド」は、1994年にオリバー・アイクとオーストラリア人デザイナー、マーク・ニューソンによって立ち上げられた。ニューソンは、ジャガー・ルクルトのアトモスクロックや、フランスの名門ルイ・ヴィトンのスーツケースに21世紀の息吹を吹き込んだ「ホライゾン」などを手掛けた人物である。

 アイクポッドは20年以上にわたり、シンプルな2針時計から複雑な永久カレンダーまで数多くのモデルを販売してきた。機械式ムーブメントは多くの場合、チタン製ケース(一部はプラチナ製)に内蔵されており、丸みを帯びたケースにはブランド特有の形状の針が組み合わされた。

 しかしアイクポッドは、デザイナーの知名度や製品の美しさにもかかわらず、大きな成功を収めたことはなかった。おそらく価格設定が高かったせいではないかと思われる。この状況を見ると、時計業界から姿を消していたのも納得がいくが、非常に残念なことであった。

 幸いなことに、時計はファッションのように何度も再スタートを切ることができる。2019年、クラウドファンディングでの資金調達で財政的な支援を得て、アイクポッドは第一線に戻ってきた。

 これは喜ばしいことであり、エマニュエル ・ギュエ(ロイヤル オーク オフショアの生みの親)のデザインのおかげで成功も収めた。しかし復活後、最初に発表されたのがクォーツ式であったことは、純粋な時計愛好家にとっては少し残念に思われるところであった。

メガポッド

ケースバックはトランスパレント仕様である。

 2021年初頭、前年春のアレクサンドル・ペラルディとのコラボレーションに続き、アイクポッドはアーティストとのパートナーシップを再開した。ジェフ・クーンズやカウズとのコラボレーションも記憶に新しいところである。ちなみにカウズとの共作は、2020年に香港で行われたフィリップスのオークションで、手数料を除いた金額が3万7000スイスフランという記録を達成したものである。

 アイクポッドのアーティストとのコラボレーション再開には、ニューヨークを拠点に活躍するトム・クリストファーが選ばれた。彼の作品は表現主義的な都市の絵画と壁画で知られ、特にニューヨークを題材にした作品の評価が高く、中でもタイムズスクエアの風景を描いたものは人気が高い。彼の作品名はいつも非常に長いのだが、それとは逆説的にその作品は刹那や、時間の中にぶら下がった人生の瞬間を表している。

 今回の新しいコラボレーションの背景には、美術館などがコレクションを所蔵するような有名なアーティストの作品を、時計ユーザーたちが身近で楽しめるようにするという考えがある。幻想的な文字盤のデザインはアイクポッドのために制作されたものであり、鳥や魚に交ざってニューヨークの空を駆けるスケーターたちによる「都市と文化に対する叙情詩」が表現されている。

 文字盤は2針で、直径46mmのラグなしのステンレススティール製ケースにはミヨタ製の自動巻きムーブメントが搭載されている。これに初期のアイクポッドを彷彿とさせるラバーストラップが組み合わされた。世界限定200本が販売される。


Contact info: 大沢商会 Tel.03-3527-2682


新生アイクポッドに待望の自動巻きモデル「メガポッド」登場!

https://www.webchronos.net/news/46966/
【インタビュー】アイクポッド共同オーナー兼マネー ジングディレクター「クリスチャン=ルイ・コル」

https://www.webchronos.net/features/38099/
アイクポッドがクラウドファンディングで復活へ

https://www.webchronos.net/news/24908/