ヴァシュロン・コンスタンタン、265年を超えるブランドの歴史をひもとく

FEATUREその他
2022.12.11

ヴァシュロン・コンスタンタン、人気コレクション

ヴァシュロン・コンスタンタンは、265年以上にもおよぶ長い歴史の中で高い技術力と優れた審美性を備えたコレクションをあまた発表してきた。そのなかでも定番と呼ばれるもの、人気を集めている4コレクションを紹介しよう。

オーヴァーシーズ

オーヴァーシーズの初代が誕生したのは、1996年。オーヴァーシーズは現在第三世代まで進化している。

初代が1996年、第二世代が2004年、そして第三世代が2016年だ。オーヴァーシーズには“祖”となるモデルが存在する。それは、1977年発表の「Ref.222」だ。

オーヴァーシーズ・オートマティック

オーヴァーシーズ・オートマティック
第三世代に当たるオーヴァーシーズの現行モデル。ジュネーブ・シール付き。自動巻き(Cal.5100)。37石。パワーリザーブ約60時間。SSケース(直径41mm、厚さ11.0mm)。15気圧防水。シースルーバック仕様。319万円(税込み)。

Ref.222は、ヴァシュロン・コンスタンタンの222周年を記念してつくられたモデルで、ブランド初のスポーティーウォッチでもある。オーヴァーシーズはRef.222のDNAを色濃く残しつつも、第三世代ではラグジュアリースポーツウォッチへと進化を遂げた。

オーヴァーシーズは「旅の時計」という位置付けにある。そのため、旅のパートナーとして必要な機能だけを残し、さまざまなニーズに対応する非常に実用的な腕時計だ。

ヴァシュロン・コンスタンタンのシンボルである「マルタ十字」を感じられるベゼル、ストラップにもマルタ十字の上半分が連なっている。ストラップの交換が簡単に行えるインターチェンジャブル・システムも搭載されている

オーヴァーシーズ・クロノグラフ

オーヴァーシーズ・クロノグラフ
オーヴァーシーズの現行クロノグラフ。ジュネーブ・シール付き。自動巻き(Cal.5200)。54石。パワーリザーブ約52時間。SSケース(直径42.5mm、厚さ13.7mm)。15気圧防水。シースルーケースバック仕様。462万円(税込み)。
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【ブランド公式サイト】
https://www.vacheron-constantin.com/jp/ja/collections/overseas.html

パトリモニー

パトリモニーは、2004年に発表されたコレクションである。1950年代につくられていた時計を現代版に再解釈したものだ。

パトリモニー・オートマティック

ジュネーブ・シール付き。自動巻き(Cal.2450 Q6/3)。27石。パワーリザーブ約40時間。18KPGケース(直径40mm、厚さ8.55mm)。3気圧防水。411万4000円(税込み)。

シンプルでクラシカルなデザインは、時計愛好家をはじめとするさまざまな層から人気を集め、発売から間もないもののヴァシュロン・コンスタンタンを代表するコレクションとなった。

やわらかく穏やかな雰囲気は、パトリモニーの特徴であり魅力である。ベゼルや針は細く繊細で、直線となめらかな曲線のバランスがとても美しく絶妙だ。

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【ブランド公式サイト】
https://www.vacheron-constantin.com/jp/ja/collections/patrimony.html

トラディショナル

パトリモニー発表から3年後の2007年、ヴァシュロン・コンスタンタンが1930〜1950年代に手掛けていた作品をオマージュしたのが「トラディショナル」だ。

トラディショナル・マニュアルワインディング

トラディショナル・マニュアルワインディング
ジュネーブ・シール付き。手巻き(Cal.4400 AS)。21石。パワーリザーブ約65時間。18KPGケース(直径38mm、厚さ7.77mm)。3気圧防水。シースルーケースバック仕様。305万8000円(税込み)。

2007年当初は、「パトリモニー・トラディショナル」として誕生し、独立したコレクションではなかった。2014年に初めて「トラディショナル」としてコレクションが独立した。

同じコレクション内だったこともあり、トラディショナルとパトリモニーはベースのデザインが似ている。とはいえ、実はそれぞれに特徴と魅力を秘めている。

全体的なビジュアルから見ると、パトリモニーは線が細くスリムで現代的かつクラシックな雰囲気をまとっている。一方でトラディショナルは、パトリモニーよりも古典的でクラシカルな要素が強い。

ヴァシュロン・コンスタンタン、歴史を紡ぐ現代の古典主義
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【ブランド公式サイト】
https://www.vacheron-constantin.com/jp/ja/collections/traditionnelle.html

マルタ

マルタはヴァシュロン・コンスタンタンのシンボルである「マルタ十字」を体現するコレクションだ。トノー型が特徴的で計算された曲線と力強さがマルタコレクションの魅力である。

マルタ・マニュアルワインディング

マルタ・マニュアルワインディング
ジュネーブ・シール付き。手巻き(Cal.4400 AS)。21石。パワーリザーブ約65時間。18KWGケース(厚さ9.25mm)。3気圧防水。シースルーケースバック仕様。369万6000円(税込み)。

ケースの形こそ特徴的だが、そのほかはシンプルかつ洗練されている。ムーンフェイズモデル以外はシースルーケースバックのため、ヴァシュロン・コンスタンタンの技術が詰まった美しいムーブメントを鑑賞できるのがポイントだ。

マルタはメンズ、レディスともに展開されているため、特徴的かつ高級感のあるペアウォッチを探している人におすすめだ。

【ブランド公式サイト】
https://www.vacheron-constantin.com/jp/ja/collections/malte.html


世界を魅了し続ける3つの秘密

ヴァシュロン・コンスタンタンの歴史や人気コレクションを紹介したが、結局のところ何が人々の人気を集めているのだろうか? 世界を魅了し続ける秘密を3つ、探ろう。

高い技術力

世界三大時計ブランドは、ただ歴史の長い老舗が選ばれるわけではない。ヴァシュロン・コンスタンタンは、創業者であるジャン=マルク・ヴァシュロンの優れた技術力を後世が引き継ぎ、時計職人を尊重してきた。

また、ブランドの誇りを失わぬよう、時計メーカーとしての技術力を磨き続けてきたことも長い歴史の所以だ。逆を言えば、高い技術力が継承されなければ、265年を超える歴史は築かれなかっただろう。

芸術的な美しさ

ヴァシュロン・コンスタンタンのコレクションは、どれも気品に溢れクラシカルで上品な佇まいが魅力だ。派手さや華美な装飾などは見られないが、計算しつくされた芸術的な美しさがある。

歴史や伝統に重きを置き大切に守ってきたからこそ、アップデートを繰り返しながら現代も愛され続けているのだろう。

ブランドの証し「マルタ十字」

マルタ十字はヴァシュロン・コンスタンタンの象徴だ。もともとマルタ十字は、スイス連邦知的財産庁に登録されているもので、ブランドのロゴとして採用したのは創業から125年が経った1880年のことだった。

マルタ十字は、キリスト教の騎士修道会・聖ヨハネ騎士団(マルタ騎士団)が、身分や所属を表すために使用していた徽章であり象徴である。

ヴァシュロン・コンスタンタンは、当時手掛けていた時計のムーブメントに使われていた部品が、マルタ十字に似ていたことからブランドのロゴとして採用した。


ヴァシュロン・コンスタンタン、永遠に続く伝統と歴史

ヴァシュロン・コンスタンタンの歴史をひもとくと、なぜ同ブランドが世界三大時計ブランドとして数えられているのかよく分かる。

ヴァシュロン・コンスタンタンの265年を超える歴史においては、スイス時計業界を窮地に陥れた「クォーツショック」も発生した。クォーツショックを受け、スイスの時計ブランドの多くはやむなく閉鎖に追い込まれた。

しかし、そのような中でも前を見続けたからこそ、その長い歴史に穴を開けることなく現在の人気と権威を手に入れられたのだ。伝統を重んじるその姿勢は、コレクションにも色濃く反映されている。

これからも続くであろうヴァシュロン・コンスタンタンの歴史を、この目で見られることをうれしく思う。



Contact info: ヴァシュロン・コンスタンタン Tel.0120-63-1755


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