1815 [Ref.233.032]
デザインバランスを突き詰めた現行40ミリケース

2009年初出。搭載するのは直径30.6mmの新型ムーブメント、Cal.L 051.1である。性能は劇的に改善され、サイズも現代風になったが、デザインバランスは不変だ。手巻き。23石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約55時間。18KRG(直径40mm)。30m防水。237万円。
2009年に発表された新しい1815は、A.ランゲ&ゾーネの成熟を感じさせる傑作であった。ケースの直径は35.6ミリから40ミリに拡大。しかしデザインは旧モデルとほぼ同じであった。その理由は搭載するムーブメントも拡大させたため。もっとも、かつての「グランド・ランゲ1」が採用した手法のように、ただ地板と受けを伸ばして帳尻合わせをするのではなく、最新のスペックを盛り込んだ手巻きムーブメントを新造した点に、A.ランゲ&ゾーネの、時計メーカーとしての進化がある。
もちろんかつてのL941系も優れたムーブメントであった。原型機は、そもそも精度の出せるムーブメントとは言い難かったが、毎年のように小改良を加えることで、A.ランゲ&ゾーネはこのムーブメントの精度を大きく改善したのである。ただし直径25.6ミリというサイズは、2000年代の手巻きとしては小さすぎた。どう対処するのかと思っていたが、まさか設計そのものまで変えてくるとは、というのが偽らざる感想であった。
加えてA.ランゲ&ゾーネのデザイナーたちは、1815のリニューアルに際して、細部を詰めてきた。一例が中心を凹ませた文字盤である。「1815 アップ/ダウン」で採用されたこの手法は、ダイアルの〝間〟を解消するには優れた手法だ。またラグも、現代風に若干太くされた。気付かないほどのわずかな変更だが、こういった積み重ねが1815の意匠をアップデートさせたことは事実だ。
かつての1815も非常に魅力的な時計である。しかし筆者の私見を言うと、時計として考えるなら、新しい1815のほうが勝っている。見た目は相変わらずシンプルだ。しかしこれは掛け値なしに、現行最良の3針手巻きのひとつと断言していい。

