1815 AUF/AB [Ref.234.021]
オットー・ランゲの遊星歯車を受け継ぐパワーリザーブ表示

2013年初出。Cal.L051.1を全面的に改良してパワーリザーブ表示を追加した、Cal.L051.2を搭載する。私見をいうと、これが最も望ましい1815だ。手巻き。29石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約72時間。18KYG(直径39mm)。30m防水。274万円。
旧型のアップ&ダウンは、遊星歯車を用いたコンパクトなパワーリザーブ表示システムを、テンプの上に据え付けた機構であった。そのコンパクトな設計は驚異的だったが、正直なところ、機構として完璧であったとは言い難い。パワーリザーブ表示機構に関して言えば、スペースはあればあっただけ、表示は正確になる可能性が高い。
そうした点で、直径30.6ミリという大径のL051系は、付加機構を載せるには理想的な〝素材〟であった。加えてA.ランゲ&ゾーネは、偶然にも余白が生じたL911系(あるいはL941系)の設計を、L051系でも意図的に踏襲した。ムーブメントを見ると、香箱からガンギ車までの駆動輪列はほぼ一直線に置かれている。そのため香箱とテンプの間、そして丸穴車とガンギ車の間にはL911系以上のデッドスペースができる。そこにA.ランゲ&ゾーネは、オフセットした秒針を駆動する追加輪列と、パワーリザーブ表示機構を埋め込んだのである。手法自体はかつてのアップ&ダウンに同じだが、結果は劇的であった。
大きなムーブメントサイズと、香箱横の大きな余白は、パワーリザーブ表示機構にゆとりのある設計をもたらした。結果、その表示精度はいっそう向上したのである。設計の巧みさでいうとかつてのL941系は魅力的だが、表示の正確さに加えて、駆動時間の長さや携帯精度の高さを考えれば、間違いなく新型に軍配が上がるだろう。
A.ランゲ&ゾーネの美点は、新しいモデルほど中身が優れている点にある。それをはっきりと感じさせる点で、新しい1815アップ/ダウンほどの優れたサンプルは存在しない。これこそA.ランゲ&ゾーネ、そしてメイド・イン・ジャーマニーの在り方を体現した傑作である。


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