オメガ/コンステレーション Part.3

FEATUREアイコニックピースの肖像
2020.11.05

1952年に発表されたオメガのコンステレーションはわずか10年でスイス時計の代名詞的存在となった。名声をもたらした高精度に加えて、薄さとデザインの追求はコンステレーションに多様さをもたらすこととなった。82年のマンハッタンを経て、今に至る道のりをムーブメント、薄さ、デザインの観点から振り返ってみたい。

コンステレーション

星武志:写真 Photographs by Takeshi Hoshi (estrellas)
広田雅将(本誌):取材・文 Text by Masayuki Hirota (Chronos-Japan)
[クロノス日本版 2020年9月号初出]


CONSTELLATION MASTER CHRONOMETER
セラミックベゼルで武装した 第5世代の〝マンハッタン〟

コンステレーション マスター クロノメーター 41mm

コンステレーション マスター クロノメーター 41mm
2020年に発表された第5世代は、マスター クロノメーター化された自動巻きを搭載するほか、外装の質感をいっそう高めている。自動巻き(Cal.8900)。39石。2万5200振動/時。パワーリザーブ約60時間。SS×セラミックス(直径41mm)。50m防水。70万円。

 2007年の「デ・ヴィル アワービジョン」以降、外装面でさまざまな試みを行ってきたオメガ。その現時点における集大成が、マンハッタンの第5世代に相当する「コンステレーション マスター クロノメーター41mm」だ。デザインは第4世代から大きな変化はないが、細部は大幅に進化した。

 それを象徴するのが、セラミックス製のベゼルだ。プロダクトを監修するジャン-クロード・モナションはこう説明する。「今や、4本の爪に実用上の理由はない。しかし、アイコンであるということで残した。セラミックス製のベゼルは、爪を組み込むために極端な製造公差が求められる。そこで、焼結したセラミックス製のベゼルを、T型のダイヤモンドホイールで切削している」。こういったディテールの追求は、枚挙にいとまがない。先述した通り、第5世代のマンハッタンは、風防のパッキンがまったく見えないデザインを持っている。パッキンを隠す設計は他社にも見られるが、固定するベゼルの色に合わせてパッキンを替えるメーカーはいくつもないだろう。また、ムーブメントを支えるホルダーは、視覚効果を強調するため、アルマイト処理で黒くされた。素材はアルミニウム。真鍮に比べて軽いため、このモデルの時計本体は、サイズに比して軽くなった。

 ブレスレットがインターチェンジャブル式に変更されたのも大きな違いだ。オメガはこの点を強調していないが、第5世代のマンハッタンは、シチュエーションを選ばない時計に進化したのである。

 薄さとデザイン、そして高精度を謳い上げた1982年のマンハッタンとは、60年代にオメガが目指したコンステレーションのひとつの形であった。それから約40年。第5世代のマンハッタンは、再びオメガのアイコンとして舞い戻ってきたのである。

コンステレーション マスター クロノメーター 41mm

(右)第5世代のアプライドインデックスは、ニューヨークのフリーダムタワーを象徴する三角形の面を模したもの。バーインデックスの両端を切り落とした、立体的な造形を持っている。なお文字盤は、近年のオメガとしては珍しく、表面にツヤ消しのラッカーを吹いたもの。針やインデックスとのコントラストを強調するためか。(左)細身になったベゼルはセラミックス製。その高い加工精度は、4本の爪とのチリ合わせが示す通りだ。ベゼル上のローマ数字は、リキッドメタルで象嵌されたものである。

コンステレーション マスター クロノメーター 41mm

ケースサイド。直径は41mmもあるが、全長が前作より詰められたほか、ストラップの可動範囲も大きいのが分かる。この時計が装着感に優れる理由だ。

コンステレーション マスター クロノメーター 41mm

(右)毎年のように製品のクォリティを改善するオメガ。加工精度が上がった結果、半月状のエッジがいっそう明確になったほか、稜線には太い鏡面を施せるようになった。併せて、リュウズも引きやすく回しやすい形状に変更されている。(左)搭載するのはCal.8500のマスター クロノメーター版であるCal.8900。ムーブメントを固定するリングを、黒いアルマイト処理のアルミニウムに変更することで、ムーブメント全体が、額縁で覆われたような効果をもたらしている。ディテールの積み重ねこそが、第5世代マンハッタンの大きな魅力だ。



Contact info: オメガお客様センター Tel.03-5952-4400


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