H.モーザーから「エンデバー・チャイニーズカレンダー」が発表。太陰太陽暦とグレゴリオ暦を組み合わせたカレンダーを搭載

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2023.11.07

ふたつの異なる文化と測定法の融合を実現した「エンデバー・チャイニーズカレンダー」がH.モーザーより発表された。パートナーシップを組むアジェノー社との共同開発により、太陰暦を基本として太陽の動きも取り入れた中国の太陰太陽暦と、グレゴリオ暦を組み合わせ、かつ月の満ち欠けも表示するカレンダー機構を特徴とする。なお、12年は修正が不要な点も注目したい。

新作「エンデバー」でも、H.モーザーでおなじみのフュメダイアルが採用されている。カラーはミッドナイトブルーとなっており、ローズゴールド製ケースやブラウンのアリゲーターストラップとの相性も良い。


エレガントな佇まいと読み取りやすい表示を両立

 現在一般的に採用されているグレゴリオ暦は太陽の動きを元にして暦が作成されているのに対し、中国の暦は月の手記に基づく太陰暦を元にしつつ、太陽の周期も考慮されているため、より複雑なものとなっている。これを太陰太陽暦と呼ぶが、数千年前にさかのぼる自然観察が起源とされており、これにより中国の農業や伝統文化にとって極めて重要な月と太陽の運行や四季のリズムに従うことが可能となる。

H.モーザー「エンデバー・チャイニーズカレンダー」
自動巻き(Cal.HMC210)。33石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約72時間。18KRGケース(直径40.0mm、厚さ13.0mm)。3気圧防水。1091万2000円(税込み)。

 この中国の暦を理解することにより、本作エンデバー・チャイニーズカレンダーは太陰太陽暦の月と日付、グレゴリオ暦の日付、月の満ち欠け、さらには十二支までを表示するという複雑機構を備えたモデルとなった。

 太陰暦は月の周期に基づいているため、中国の暦の1カ月は地球の周りを29.53日かけて一周する月の満ち欠けに合わせた29日または30日だ。太陰月は12カ月あるが、太陰暦の1年は平均354.36日で、太陽暦が365.25日あるのに対し、1年が10.88日短くなっている。太陰暦のみを使用すると、季節を重ねるごとに月がずれてしまい、太陽暦の1年の間に約11日早まる。このようなずれを解消し、季節を一致させるため、太陰太陽暦には2~3年に一度、閏月として13番目の月が設けられる。エンデバー・チャイニーズカレンダーにはこの閏月も表示される仕組みとなっている。

 太陰太陽暦には繰り返される周期がないため、その永久カレンダーを作ることは機械的には不可能だ。しかし、H.モーザーとアジェノー社は太陰太陽暦を12年間修正なしで正確に表示できる時計に挑戦した。他社製の太陰太陽暦カレンダーは12年の間に70回以上も手作業で修正が必要とされるが、同じ12年間で外部から手を加えることなく作動する、初めてのムーブメントが採用されている。


偉業を達成したCal.HMC210

12年分の太陰月数と日数、閏月、太陰年、十二支、月の満ち欠け、グレゴリオ暦の日付を考慮して作られた自動巻きCal.HMC210。シースルーバックからは、このムーブメントの意匠をのぞくことができる。

 搭載されるムーブメントは自動巻きCal.HMC210である。並行して作動し、フィーラーを使って太陰太陽暦の月数と日数に関する情報を伝える2つのカムが複雑なカレンダーを表示することを可能にした。ひとつのサイクルが終了したら、時計のメンテナンスと同時に次の12年間用にカムを交換する。

ローズゴールド製のケースとのコントラストが際立つミッドナイトブルーフュメダイアルを備え、かつ透明なラッカー仕上げのH. Moser & Cieのロゴが配されている。

 三日月のようなかたちの左側の窓では太陰太陽暦の月が表示され、右側の窓では太陰太陽暦の日付と月の満ち欠けが同時に表示される。先端が丸くなったレトログラード針はこの窓に沿って移動し、端まで到達すると出発点に戻る。12時位置の2つの窓では太陰太陽暦の年と十二支、13ヶ月の年には閏月が表示されるが、この窓は通常の12カ月の年には黒いままとなる。オフセンターのスモールセコンドは6時位置に配置されている。

 本作は100本限定で2024年1月頃から発売予定となっている。


Contact info: エグゼス Tel.03-6274-6120


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