マイスタージンガーは、アベンチュリンを文字盤に用いた新シリーズの「パンゲア アベンチュリン」を発表した。深いブルーの天然石で、石英の一種であるアベンチュリンは、中に含まれる微細な鉱物の結晶がきらめきを生み出すことが特徴だ。光を受けて生まれるこのきらめきは「アベンチュレッセンス」と呼ばれ、その表情はひとつとして同じものがなく、本作は特別な1本となることだろう。
シングルハンドウォッチを専門とするマイスタージンガーの新作
マイスタージンガーは、シングルハンドウォッチを専門に手掛けるドイツのブランドであり、シンプルな文字盤デザインによって時計のエッセンシャルな魅力を訴求することが魅力となっている。発表された新作のパンゲア アベンチュリンもシングルハンドウォッチに仕立てられており、文字盤にきらめく表情が特徴のアベンチュリンを用いている点が注目点だ。シンプルであるがゆえに、アベンチュリン特有の魅力が引き出された1本と言えるだろう。
自動巻き(Cal.SW200)。26石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約38時間。SSケース(直径40mm)。5気圧防水。55万円(税込み)。
“アベンチュリン”と呼称される場合、結晶を封入した人工のガラス素材も含まれることがある。一方、マイスタージンガーが本作に用いるのは、アベンチュリンクォーツと呼ばれる石英の中に微細な鉱物が含まれた天然石だ。これを文字盤に用いるためには、均一な深い青の色調を備え、特有のきらめきを生む結晶が含まれる高品質なアベンチュリンクォーツが必要となる。マイスタージンガーは、本作のために注意深く選定を行い、文字盤へと加工している。
またアベンチュリン・クォーツは、微細な鉱物が含まれる組成のために組織が均一ではなく、割れやひびが生じやすい。そこで、この加工の際には細心の注意を払いつつ、カット、研磨した後に、丹念に磨き上げられている。
ひとつひとつ表情が異なるアベンチュリンが生み出す個性
このように作られるアベンチュリン製の文字盤は、それぞれに異なる色調や、微細な輝きによって生き生きと表情を見せる個性が魅力である。パンゲア アベンチュリンでは、マイスタージンガーが得意とするシングルハンドウォッチのフォーマットに仕立てられており、細い12時間表示針を組み合わせることで文字盤を遮ることなく、アベンチュレッセンスと呼ばれる輝きの魅力を引き出している。
本作の基本デザインは人気モデルの「365」シリーズのクラシカルなスタイルを踏襲しており、文字盤のインデックスにはヴィンテージ感のあるフォントを用いて、ノスタルジックな雰囲気を醸し出している。また、このアラビックインデックスはゴールドカラーの多層印刷によって描かれており、文字盤に立体感を加えている。5分刻みのスケールは、アベンチュリンの結晶に呼応する繊細なドットとなっており、視認性を確保しつつ統一感のある仕上がりとなっている。