パネライは、ブランドの起源と秘密を探る歴史展『時の深淵』の開催を記念し、新作「ルミノール マリーナ ミリターレ」を発表した。本作は、イタリア海軍専用時計として1993年に製作されたルミノール「Ref.5218-202/A」のリバイバルモデルであり、かつこの年はパネライが軍用時計メーカーから民間向けの時計ブランドとして展開を広げたとあり、ブランドの転換点を思い起こさせるものとなっている。
ブランドの歴史の転換点を想起させる復刻モデル
パネライは、アイコニックな「ルミノール」の新作として、ブランドの変革期に発表されたマイルストーンの復刻モデル「ルミノール マリーナ ミリターレ」を披露した。本作は、ブランドのイタリア海軍へのサプライヤーとしての伝統と、1993年の民間向け腕時計メーカーとしてのデビューをたたえる歴史展、『時の深淵』の開催に合わせて発表された。

手巻き(Cal.P.6000)。19石。パワーリザーブ約72時間。SSケース(直径44mm、厚さ13.05mm)。30気圧防水。126万5000円(税込み)。
1993年9月10日、パネライは「ルミノール Ref.5218-201/A」と「マーレノストゥルム Ref.5218-301/A」を発表した。これらは、それまで軍用として製作されてきたパネライの時計として、初めて民間に向けて販売されたモデルであり、その登場はブランドにとって重要な節目となった。
今回発表された新作モデルは、この2本の民間モデルの登場の直後に、イタリア海軍専用に製作された「Ref.5218-202/A」を復刻したものだ。
本作で特筆すべき点は、コレクター垂涎のディテールとして知られる“ノンマッチング”ダイアルの採用である。オリジナルの初期生産モデルでは、インデックスに施された蓄光塗料が化学反応によりオレンジブラウンに変色した一方で、針のそれはグリーンのままであった。新作では、マットブラックのダイアル上に、キャラメルカラーのスーパールミノバ®が塗布されたインデックスと、より明るいトーンの針を組み合わせ、この偶発的な“ノンマッチング”を意図的に再現しているのである。
また本作では、現行のルミノールが採用するサンドイッチダイアルとは異なる、一層のダイアルを彫り込んで蓄光塗料を塗布する「ホローダイアル」や、当時のタイポグラフィを反映したフォントなど、随所にオリジナルを意識した意匠が見られる。加えて、ダイアルには「MARINA MILITARE」の文字が刻まれており、イタリア海軍との長年にわたる歴史的パートナーシップが象徴されている。

ケース直径は44mmで、オリジナルに施されたPVD加工を視覚的に再現しつつ、耐傷性を高めるDLCコーティングへとアップデートされている。また、搭載するのは手巻きムーブメントのCal.P.6000だ。パワーリザーブは約72時間を有しており、オシレーターを固定するトラバーシングバランスブリッジの採用によって、安定した高精度をも実現している。
「時の深淵」展
20世紀初頭はイタリア海軍のサプライヤーとして、1993年からは軍用の分野を超えて時計メーカーとして台頭した、パネライの歴史をたどる展覧会。パネライ家とイタリア海軍との間の個人的なやり取りを含む書簡、技術図面、初期のカタログ、歴史的な写真のオリジナルなど、初公開のアーカイブ資料が展示されている。また会場では、コンパスや水深計などの計器類に加え、当時の時計や、パネライの画期的な発光技術、水中での視認性、計器設計の功績を物語る特許の複製なども見ることができる。
ブランド発祥の地、イタリア・フィレンツェの本店で2025年9月10日から2カ月間開催されたのち、アメリカと中国を巡回する。