ダニエル・ロートは、ブランドの起源と結びつくトゥールビヨン搭載モデルに、ブランド復活後では初となるプラチナ製ケースを採用した「トゥールビヨン プラチナ」を発表した。従来モデルは暖色系のゴールド製ケースであったのに対し、本作は白く輝くプラチナを用い、そこにアンスラサイトグレーの文字盤を組み合わせたことで、クールで都会的な仕上がりとなっている点が魅力である。

手巻き(Cal.DR001)。19石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約80時間。Ptケース(縦38.6×横35.5mm、厚さ9.2mm)。30m防水。要国内価格問い合わせ。
ダニエル・ロートの「トゥールビヨン」第3作が登場
ダニエル・ロートが、トゥールビヨン搭載モデル第3作となる「トゥールビヨン プラチナ」を発表した。本作は、2023年発表の18Kイエローゴールド製モデルの「トゥールビヨン スースクリプション」Ref.DR0011YG-01、2024年発表の18Kローズゴールド製モデルの「トゥールビヨン ローズゴールド」Ref.DAAD01A1に続くプラチナ製モデルである。
プラチナは比重が高く、稀少性が極めて高い金属だ。また、加工が難しい特性を持ち、ケースの成型にはゴールドを用いる場合に比べて最大3倍の時間を要する。多くの工程を経て完成した本作は、従来モデルより一段と重量感と稀少性を強く打ち出した仕上がりである。
ダニエル・ロートにとってのトゥールビヨンの重要性
ダニエル・ロートのトゥールビヨン搭載モデルの歴史は、1988年発表の「トゥールビヨン」Ref.2187/C187までさかのぼる。時計師ダニエル・ロートは、オーデマ ピゲやブレゲで経験を積み、ブレゲ初のトゥールビヨン腕時計の製作にも関わった経歴を持ち、1988年に自身の名を冠したブランドを創業した。デビューイヤーを飾ったRef.2187/C187は、四角形と円形の要素を組み合わせた「ダブルエリプス」ケースに、ダニエル・ロートが最も愛したとされるトゥールビヨンを搭載し、先鋭的なデザインであるとして高い評価を得た。また、「芸術品としてのウォッチ」という理念を色濃く反映し、ブランドの方向性に大きな影響を与えたモデルとなった。この頃のダニエル・ロートは、プラチナをごく限られた重要なモデルにのみ用いており、現在ではコレクターの垂涎の的となっている。

その後、ブランドは一度表舞台から姿を消すが、2023年に「ラ・ファブリク・デュ・タン ルイ・ヴィトン」のサポートを得て復活を遂げる。そして、復活第1弾としてリリースされたモデルのひとつが、Ref.2187/C187から着想を得て、ダブルエリプスケースにトゥールビヨンを搭載したトゥールビヨン スースクリプションであったのだ。
ブランド復活後、初めて採用するプラチナ製ケース
このように、創業から続く系譜を継ぐ現在のダニエル・ロートであるが、ブランド復活から現在に至るまで、プラチナ製モデルを製作してこなかった。すなわちトゥールビヨン プラチナは、稀少性が高いだけでなく、ブランドとして重要な意味を持つモデルであるとのメッセージを含んでいる。

また、トゥールビヨン スースクリプションではクローズドバック仕様であったが、本作は第2作のトゥールビヨン ローズゴールドと同様にトランスパレントバック仕様を継承しており、ケースバック側から、審美性の高い手巻きムーブメントのCal.DR001を鑑賞することができる点も魅力だ。
クールで現代的に仕立てられたトゥールビヨン プラチナ
従来の2モデルでは、暖色系のゴールド素材を用いていたのに対し、本作では白く輝くプラチナを用いており、アンスラサイトグレーの文字盤カラーも組み合わさることで、従来とは異なるクールで現代的なテイストに仕立てられている。
この文字盤の製作には、高レベルな技術と、多大な工数がかけられている。手動直線エンジン旋盤によって直線的なギヨシェ彫りを施したホワイトゴールド製のベースと、スターリングシルバー925製のチャプターリング、秒目盛り、ブランド名と個別のウォッチ番号を記した「マスターシュ(口ひげ飾り)」などは個別に製作されており、それらを組み立てることで文字盤が完成しているのだ。各部品の縁取りには、伝統的な手動ローズエンジン旋盤を用いたフィレ・ソテ模様のギヨシェ彫りが施されており、各要素の立体感を際立たせている。




