プール・ル・メリットをハニーゴールド仕様に変更したA.ランゲ&ゾーネ「トゥールボグラフ・パーペチュアル・ハニーゴールド“F.A.ランゲへのオマージュ”」

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2020.09.30

F.A.ランゲの工房設立175周年を記念し、A.ランゲ&ゾーネは3種類の記念モデルを発表した。そのうちの1種類が「トゥールボグラフ・パーペチュアル・ハニーゴールド“F.A.ランゲへのオマージュ”」だ。このモデルは、5種類の複雑機構とハニーゴールド製ケース及びダイアル、そして特別な仕上げを施されたムーブメントが採用されている。世界限定50本で販売され、発売時期は2020年11月を予定している。

トゥールボグラフ・パーペチュアル・ハニーゴールド“F.A.ランゲへのオマージュ”

5つの複雑機構を備える「トゥールボグラフ・パーペチュアル・ハニーゴールド“F.A.ランゲへのオマージュ”」。これだけ多くの複雑機構をひとつの時計に載せながらも、デザインはスマートに纏め上げられている。2020年11月発売予定。手巻き(Cal.L133.1)。52石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約36時間。18Kハニーゴールド(直径43mm、厚さ16.6mm)。3気圧防水。世界限定50本。参考価格50万ユーロ(ドイツVAT19%含む)。


ケース、ダイアル、ムーブメント、すべてが特別な175周年記念モデルの最高峰

 フェルディナント・アドルフ・ランゲがグラスヒュッテの町に懐中時計工房を設立してから175年の時が流れた。A.ランゲ&ゾーネは、その記念として3種類の限定モデルを発表したが、その中でも最も複雑な機構を備えるモデルが「トゥールボグラフ・パーペチュアル・ハニーゴールド“F.A.ランゲへのオマージュ”」である。このモデルは、2017年に発表された「トゥールボグラフ・パーペチュアル“プール・ル・メリット”」のケースとダイアル、ムーブメント装飾をアップデートしたモデルである。

ケース

 ケースには、同社が専用使用権を有するハニーゴールドを採用し、一般的な18K合金よりも耐傷性に優れる。このハニーゴールドはケースだけでなく、ブラックロディウム仕上げを施したうえでダイアルにも用いられている。ダイアル上の立体的なインデックスは、植字やエンボスによるものではなく、ダイアルに直接施したレリーフ彫りによるものだ。その高さは約0.15mm。これによって、立体的かつシャープな印象となり、ダイアルに精悍さをもたらしている。

トゥールボグラフ・パーペチュアル・ハニーゴールド“F.A.ランゲへのオマージュ”

立体感のある月と、手彫りによって表現された星々。創造性に富んだデザインであるダイアルとムーンディスクは、本社アトリエにて生み出されている。ダイアル上のインデックスやインダイアルは、レリーフ彫りによってシャープな立体感を与えられている。

 12時位置のムーンディスクもハニーゴールド製だ。盛り上がった月とその周囲に散りばめられた手彫りの星々が、ダイアル上に華やかさを与えている。

5つの複雑機構

 このモデルの最大の特徴は、搭載された5つの複雑機構だろう。クロノグラフ、ラップタイムを計るためのラトラパント、100年間調整を必要としない永久カレンダー、重力や姿勢差による精度への影響を軽減させるトゥールビヨン、動力の伝達を一定に保つためのチェーン・フュジー機構だ。

 同社は2005年の時点ですでにこれらのうち、永久カレンダーを除く4つの機能を持つ「トゥールボグラフ“プール・ル・メリット”」を発表していた。今回のモデルのベースとなった「トゥールボグラフ・パーペチュアル”プール・ル・メリット”」は、このモデルに永久カレンダーを加えたものであったが、既存のムーブメントに単にパーツを追加するだけでは実現することができなかった。ムーブメントの動力の流れが根本から変わるため、新たに輪列を設計することが必要となったのだ。

 特に永久カレンダーとラトラパント・クロノグラフを同じムーブメントに同居させることは困難を極めた。クロノグラフ機能を使用中にカレンダーが切り替わる際、機構同士が干渉することによる動作不良や、振幅が低下することによる精度への影響をクリアしなければならないからだ。これらを克服できたのは、同社がこれまでに多くの複雑なクロノグラフを開発し、培ってきた豊富な経験があったからこそだろう。

トゥールボグラフ・パーペチュアル・ハニーゴールド“F.A.ランゲへのオマージュ”

ブラックポリッシュされたトゥールビヨンの受けは、まるでキャリッジが浮かんでいるかのような神秘的な印象を与える。受け石にはダイヤモンドが使用されている。

ムーブメント

 ムーブメントはそれらの機構を実現させるために、684個ものパーツによって構成されている。2017年の「トゥールボグラフ・パーペチュアル“プール・ル・メリット”」との違いは、往年のランゲ製懐中時計を彷彿とさせる、受けに施された粒状感を持たせた仕上げ、そして、緻密に彫り込まれたブランドロゴ等へのブラックロディウム仕上げ等だ。

 その他各部の仕上げにも抜かりはなく、ブラックポリッシュされたトゥールビヨンの受け、トゥールビヨンキャリッジとテンプ受けに配されたダイヤモンドの受け石、同社ではおなじみのゴールド製チラネジ付きテンプ、ビス留め式ゴールドシャトン、テンプ受けのハンドエングレービングなど、「1Aクオリティ」に相応しい装飾がこれでもかと散りばめられている。

 なお、このモデルは一般的にはグランド・コンプリケーションと呼んで差支えないほど、多数の複雑機構を備えている。しかしながらその名を持っていないのは、このモデルを凌駕する、7つの複雑機構を搭載した「グランド・コンプリケーション」を同社が既に発表しているからだ。

Cal.L133.1

ムーブメント裏側(ダイアル側)。多種多様なパーツがまるでパズルのように組み合わされている。同社は、安定した動作を得るためにムーブメントの二度組みを行う。一度組み立て、調整加工を加え、部品の洗浄、注油、装飾、研磨を行い、二度目の組み立てとなるが、それはいかに複雑な機構を持ったモデルであっても例外ではない。この「Cal.L133.1」は684個ものパーツによって構成されており、その工数を考えるだけでもぞっとする。いかに同社の時計師が優れているかが分かる。
Cal.L133.1

ムーブメントの表側(裏蓋側)。今回特別に受けに施された粒状感のある仕上げや、花をモチーフとしたハンドエングレービング、ブラックロディウム仕上げされたブランドロゴなど、見どころ満載のムーブメントは、シースルーのケースバックより鑑賞することができる。曲線の多い各レバーの外周部は丁寧に磨かれており、それぞれの輪郭を際立たせている。



Contact info: A.ランゲ&ゾーネ Tel.03-4461-8080


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