【80点】ジン/T1.B

FEATUREスペックテスト
2016.06.15

ムーブメントの実力

 このミッション時計の内部では、ETAやセリタ製ムーブメントではなく、ソプロード A10が時を刻む。ソプロード A10はETA2892とサイズが同じムーブメントである。ソプロードはフェスティナ グループに属し、歯車や脱進機、ヒゲゼンマイなどを系列メーカーから入手している。A10はETA2892よりもやや高額だが、構造や装飾においては同レベルと言えるだろう。日付早送り機能、ストップセコンド機能、また、両方向巻き上げ式のローターは、ETAと同様の標準装備である。また、緩急針と偏心ネジによる緩急調整といったディテールも両者の共通点である。
 歩度測定機で観察した精度についても、さほど大きな驚きはなかった。計算上の平均日差がプラス2秒/日というのは優秀である。垂直姿勢で特に振り角が力強かったのも喜ばしい。だが、7秒の最大姿勢差はやや大きすぎる感が否めない。
 T1.Bの価格は、ジンのほかの3針ダイバーズウォッチよりも若干高額な設定である。チタン製ケース、ムーブメント、そして、ジン独自のテクノロジーの数々がこの価格に反映されているのであろう。とはいえ、他のブランドと比較しても、コストパフォーマンスは決して悪くはない。
 ブルーフェイスのT1.Bは、内部機構の観点からも、外観の意匠においても説得力がある。ジンが開発したさまざまなテクノロジーは、名だたるブランドが提供する技術をはるかに凌駕するものであり、スペックにおいてはユーザーの利益が最も重視されている。そして、確信できることがひとつ。職業ダイバーや特殊戦闘部隊の隊員でなくても、ごく普通の日常生活であっても、ジンの時計から得られるものが多いという点である。

技術仕様

ジン/T1.B

製造者: ジン特殊時計会社
リファレンスナンバー:

1014.011/p>

機能:

時、分、秒(ストップセコンド仕様)、日付、潜水時間計測用目盛りを備えた逆回転防止ベゼル

ムーブメント:

ソプロード A10-2、自動巻き、2万8800振動/時、25石、日付早送り機能、耐震軸受け(インカブロック使用)、グリュシデュール製テンワ、パワーリザーブ約42時間、直径25.6mm、厚さ3.6mm

ケース:

チタン製、テギメント処理を施したチタン製逆回転防止ベゼル、サファイアクリスタル製ドーム型風防(両面無反射加工)、ねじ込み式リュウズ、ドライ・テクノロジー(ドライカプセル)、チタン製裏蓋、100気圧防水

ストラップとバックル:

シリコン製ストラップ、チタン製セーフティーフォールディングバックル(ダイビング用エクステンション内蔵)

サイズ:

直径45mm、厚さ12.5mm、重量120g

価格: 55万円

*価格は記事掲載時のものです。記事はクロノス ドイツ版の翻訳記事です。

精度安定試験 (T24の日差 秒/日、振り角)

平常時
文字盤上 +5
文字盤下 +3
3時上 +2
3時下 +2
3時左 -2
3時右 +2
最大姿勢差: 7
平均日差: +2
平均振り角:
水平姿勢 299°
垂直姿勢 302°

評価

ストラップとバックル(最大10pt.) 8pt.
操作性(5pt.) 4pt.
ケース(10pt.) 9pt.
デザイン(15pt.) 13pt.
視認性(5pt.) 5pt.
装着性(10pt.) 9pt.
ムーブメント(20pt.) 12pt.
精度安定性(10pt.) 7pt.
コストパフォーマンス(15pt.) 13pt.
合計 80pt.