【90点】ロレックス/エクスプローラー

FEATUREスペックテスト
2011.03.03

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上品な表面仕上げ。
ポリッシュ仕上げのベゼルと、上面にサテン仕上げ、側面にポリッシュ仕上げが施されたケースとブレスレット。

簡単な操作

エクスプローラーは、操作も極めて快適である。リュウズは簡単に解除することができ、引き出しポジションは当然のことながら巻き上げ用と時刻合わせ用のふ たつしかない。時刻合わせは、テンプと針を停止させるストップセコンド機能によって秒単位で正確に行うことができる。リュウズに配されたロゴ、つまり、ア ンダーライン付きの王冠マークは、トゥインロックリュウズであることを意味している。GMTマスターIIとは異なり、エクスプローラーはスペックアップさ れても、より気密性の高いトリプロックリュウズは装備されなかった。それでも、エクスプローラーは100mの防水性を備えているのだから、スポーティーな ドレスウォッチとしては十分ではないだろうか。

エクスプローラーにはGMTマスターIIと同じ改良点がある。堅牢な新型オイスターロック を備えたスティールブレスレットである。このバックルは操作が非常に簡単だ。指の爪で軽く引っ張るとフリップロックが開き、次にバックルの手前部分を引っ 張るとテコの原理が働いてバックルが開く。開閉操作が楽しいばかりか、裏に隠された匠の技を体感できるのもひとつの喜びである。イージーリンクも実用的な システムだ。コマの半分がバックルの中に隠れているので、ブレスレットの外観を変えずに5mm延長することができる。
バックルやケースと同様に重 厚感のあるブレスレットも高級感ある仕上がりで、加工品質が極めて高い。バックルと同じく、隅々までサテン仕上げが施された上面とポリッシュ仕上げの側面 を持つブレスレットはケースとの相性が完璧である。ただ、39mmのケース径を考慮すると、バックル付近のブレスレット幅がやや狭いように感じる。

ス ペックアップされたのは外部の構成だけではない。しっかりと保護されたねじ込み式裏蓋の内側で時を刻むのは、キャリバー3132である。これまでのエクス プローラーに搭載されていたキャリバー3130をベースに、パラクロム・ヘアスプリングとパラフレックス・ショックアブソーバーを装備することで、さらに 性能が高められた。また、キャリバー3130および3132は、サブマリーナー デイトやデイトジャストを駆動するデイト付きの名機、キャリバー3135のデイトなしバージョンである。これらのロレックス自社製キャリバーは、市場に出 回っている中で最も優秀な自動巻きムーブメントと言われている。高い評価の理由は、耐久性を重視して設計された堅牢な構造によるもので、その恩恵により微 調整も非常に高い精度で行うことができる。テンプは、かつてのキャリバー3000(デイトなし)や3035(デイト付き)の片側で支えるバランスブリッジ に代わり、頑丈な両持ちのバランスブリッジで両側からしっかりと固定されており、軸方向への遊びは2本のネジによって調整することが可能だ。緩急調整は緩 急針ではなく、テンワに備わったマイクロステラナットによって行われ、巻き上げ式のヘアスプリングがすべての姿勢において安定した精度を導き出す。さら に、自動巻きローターの切り替え車にはレッドアルマイト処理を施し、摩擦を最小限に抑えている。
今回のエクスプローラーにも、ロレックスが自社生 産するブルーのパラクロム・ヘアスプリングが採用されている。ニオブ(Nb)とジルコニウム(Zr)の特殊合金で出来たこのヘアスプリングは、磁力の影響 を受けないことが特徴だ。また、耐衝撃性も標準のものと比べて約10倍向上している。