【角型ケースのエレガントウォッチ】革ジャン×エレガントウォッチという美学

定番をただ守るだけでは、スタイルは更新されない。ラフに羽織れる革ジャンの強さと、エレガントウォッチの落ち着いた上品さ。異なるふたつの表情をあえて重ねることで、装いは新しい均衡を見せる。強さが上品さを引き立て、上品さが強さを洗練へと導く。そんな“ギャップの妙”こそが、時代の感性に寄り添う大人にふさわしい美学だ。革ジャン×エレガントウォッチという組み合わせに、定番を進化させるためのヒントがある。ここでは、6つのカテゴリーに分けて、その“最適解”となるスタイリングを提示する。

装いを洗練へと導く、スクエアフォルムとレザーの化学反応

角型ケースの直線が軽やかに映えるノモス グラスヒュッテの「テトラ 27 デュオ」。バウハウスの思想を背景に、簡潔に構成された2針の端正な表情がスクエアケースに静かな美しさを与えている。スペイン産ラムレザーを採用し、極薄に仕上げたシャツはしなやかな落ち感と、オフィサーシャツ由来の無骨な印象が共存した1着だ。レザーの艶とスクエアフォルムが互いに響き合い、全身をブラックのワントーンでまとめた装いにモードな洗練とさりげない個性をもたらす。

角型ケース × ミニマルモード系

　直線が描く緊張と余白の静けさをまとったノモス グラスヒュッテ「テトラ 27 デュオ」。白銀仕上げのスクエア文字盤に時分針のみを置いた簡潔な表情は、時間を研ぎ澄ますように構成されている。そんな角型ケースの腕時計に組み合わせたのはミニマルでモードな雰囲気が漂う革ジャンだ。

　ユーゲンの1着は、1960年代の英国オフィサーシャツを着想源に、エレガントに研ぎ澄ませたモデルだ。薄く漉いたスペイン産のラムレザーが生む落ち感と柔らかなドレープが、軽さと品のよさを同時に表現。台襟なしの小ぶりの1枚襟、細番手ステッチによるドレス仕立て、肩幅をやや広げて裾へ向かって自然に細くなるパターンなど、緻密な設計で洗練を形づくる（写真1）。

ベル&ロス／BR-05 GMT スカイブルー
サンレイ仕上げのスカイブルー文字盤に配置されたGMT針を使ってローカルタイムとホームタイムの時刻を示すモデル。24時間目盛り付きのフランジが昼夜の判読性を高め、ケースと一体型のブレスレットや直線と曲線が交差するフォルムが都会的な印象をもたらす。自動巻き（BR-CAL.325）。2万8800振動／時。パワーリザーブ約54時間。SSケース（幅41mm、厚さ11mm）。100m防水。83万6000円。（問）ベル&ロス 銀座ブティック Tel.03-6264-3989

フレデリック・コンスタント／クラシック カレ スモールセコンド
内外周の放射状のラインが特徴的なセクターダイアルに、大ぶりなローマ数字をあしらったレクタンギュラーウォッチ。6時位置にはスモールセコンドをレイアウトする。緩やかに湾曲するイエローゴールドカラーのケースは手首に自然に沿い、快適な着用感をもたらす。カーフストラップが上品な表情に深みを添える。クォーツ（Cal.FC-235）。SSケース（縦27.6×横25.2mm、厚さ5.85mm）。3気圧防水。20万3500円。（問）フレデリック・コンスタント相談室 Tel.0570-03-1988

　ジーニックのカーフスエード製トラッカージャケットは、テーラードジャケットの構築性を取り入れた端正な仕立てが特徴。前肩設計による可動域の広さと長めの着丈が、スエードの柔らかい質感を都会的にまとめ上げる。2枚襟や精緻なステッチが輪郭を整え、立体感のある佇まいだ（写真2）。

　シーシーユーのサックジャケットは、インド製ネイキッドカウレザーを独自のオイルを使ったアニリン仕上げで、牛革特有の厚みと柔らかさを共存。ウエストを絞らないボックスシルエットは、体型を選ばない（写真3）。

　ミニマルかつモードな革ジャンを合わせると、角型時計の存在感がより確かな輪郭を帯びる。削ぎ落とされたデザインが重なることで、腕時計の魅力が際立つのだ。