これはいいかもしれない、チューダー ブラックベイ クロノ S&G@バーゼルワールド2019

LIFE編集部ブログ
2019.03.22
チューダーの新作

photograph by Eiichi Okuyama

いよいよ始まった2019年のバーゼルワールド。クロノス日本版オフィシャルの新作紹介とは別に、今年は好きな時計を好き勝手書きたい。第1弾は、チューダーのブラックベイ クロノ S&Gである。

読者の皆さんはご存じの通り、このモデルはブライトリングから供給されたCal.01の改良版を載せた、非常にコストパフォーマンスの高いモデルである。45分積算計は謎だが、12時間積算計がないためデザインもすっきりしているし、シリコン製のヒゲゼンマイを使用しているため、等時性や耐磁性も極めて高い。

今年は、その大ヒット作に、コンビモデルが加わったのである。といっても、そこはチューダー。値段は決して高くない。理由は、金の使い方がうまいためだ。チューダー曰く、「コストを抑えるためにベゼルとひとコマ目は18Kゴールド、ただしリュウズやプッシュボタン、そしてブレスレットの中ゴマは金張りに変えた」とのこと。数年前、金張りなのに18Kゴールドをうたったメーカーがあることを思えば、ちゃんと公表するチューダーの姿勢は極めて良心的だ。

しかもこの時計、外装の出来が極めて良いのだ。例えば、「リベット」風のブレスレット。子細に見ると、左右のプレート風の部品は、左右のコマに一体化されており、実は5連ではなく3連である。左右の遊びはギリギリまで抑えられており、しかし剛直でないのはチューダーらしい。また、バックルを留めるベアリングも、スティールではなくセラミックスによるサポートだ。パテック フィリップやロレックス、オメガなどで採用されているが、チューダーの価格帯にも普及しつつあるのは興味深い。摩耗しにくいため、耐久性は優れているだろう。正直、チューダーのケースは格別出来がいいわけではないが(仕上げはロレックス並みに優秀だが、作りやすいケース構造を持っている)、ブレスレットやバックルを含めると、この価格帯では最も良い物のひとつと言えるだろう。

言い忘れていた、このコンビモデルはSSモデルとは違う美点を持っている。ケースの厚さは1mm薄い14.4mm。その結果、同じように見えるが装着感は改善された。15mmを切っているため、シャツの袖口にもすんなり収まるだろう。こういった細かいモディファイもまた、チューダーらしい。

さて気になる価格は、レザーストラップ付きで59万5000円。ブレスレット付きで72万4700円だ。まだ入荷は未定だが、性能良し、ルックス良し、そして価格良しの三拍子がそろったチューダーのクロノグラフ。正直、筆者はこの時計がかなり欲しい。