ヨーロッパスターのアーカイブ術/バーゼルワールド日誌 4

2019.03.27


 デジタル化が進み、"本"の在り方が変わりつつある昨今。スイスで90年以上の歴史を持つ腕時計雑誌「ヨーロッパスター(europa star)」の新しい取り組みをバーゼル会場で見つけました。

 1927年の創刊から全号のページをデジタル化し、オンラインで読めるようにしていくというのです。 





 新しい号から順に着手し、このバーゼルワールド開催までに1959年までのデータがアップロードされていました。

「合計では6万ページに及びます。それをすべて手作業でPDF化していくのは、とても時間と根気が必要なこと! でも2019年中にはすべてのデータ化を終えて、世界中に発信していく目標です」と説明してくれたのはPRの女性。




 最新号から1959年までの料金に関しては、閲覧のみは190スイスフラン。ダウンロードしたいときは100ページまで490フランとのこと。商業契約だと多少の割引がきくようです。





 過去の情報を調べるときは、本を何冊も何ページも開いて…… という経験をしてきた身としては、100年近く前の情報が検索ボタンひとつで即入手可能になるということに時代の早さを痛感せざるを得ません。しかし老舗が見せる新しい時代への対応力は、つまり生命力なのだなと妙に感動し、ご紹介したいと思った次第でした。
(ちなみに…… 『クロノス日本版 2018年3月号』では、"ヨーロッパスター編集長のセルジュ・メイラード氏が見た、現在の日本時計市場とその未来"について特集しました)

文、写真:高井智世