アンティーク時計の名店「ファイアーキッズ」が全面改装で初心者にも優しくなった!

LIFE編集部ブログ
2022.06.26

神奈川県・横浜の白楽にあるファイアーキッズは、アンティーク時計好きの間でつとに知られる老舗だ。先日、全面改装を行い、より広い客層に訴求するよう進化を遂げた。時計好きだけでなく、ライトな層にもグッと来る品ぞろえとなった新生ファイアーキッズ。当然筆者は訪問しました&購入しました。アンティークって敷居高いかも、という人も一度は訪れるべし。


老舗アンティークウォッチショップがリニューアル

 神奈川県横浜市伯楽の商店街にあるファイアーキッズは、アンティーク時計ブームの黎明期から営業する老舗だ。先日、店長がスイートロード出身の野村一成さんに変わり、それに伴いリニューアルを行った。ロレックスやオメガといった売れ線はもちろんのこと、初心者にも手の届きやすい、10万円台の価格帯が充実したのが、今までの違い。しかも、一部のマニアが狂喜するであろう、スモールセコンド+アラビア数字+手巻きのモデルもずらっとそろっている。

筆者が萌えた時計たちその1。左から、ユニバーサル・ジュネーブの「ホワイトシャドウ」。ムーブメントはマイクロローター自動巻きのCal.2-66。オタク心をくすぐるオリジナルのブレスレットが付属する。SSケース。12万8000円(税込み)。隣は1920年代に作られたギュブランの「ジャンピングアワー」。18Kゴールドのコンビケースである。中身はAS(ア・シルド)の手巻きを改造したもの。これぞコレクターズピース。128万円(税込み)。筆者がグラグラ来たのが、エテルナのハーフローター自動巻き。防水ケースにスモセコ、そしてフルアラビアという組み合わせだ。ムーブメントはおそらくCal.835。SSケース。12万8000円(税込み)。そして右が1974年製のIWC「ヨットクラブ」。自動巻きのCal.854/8541ではなく、手巻きのCal.89が載った通称「89ヨット」だ。色文字盤はかなり珍しい。79万8000円(税込み)。

 初心者にも優しい、と述べた理由はふたつある。ひとつは、ファイアーキッズで購入した時計は、原則80%で買い取ってくれること。つまり、初心者もステップアップしやすい仕組みになっている。ちなみにメンテナンスが必要な場合は、そこから実費が引かれるが、それでも利率はかなり高い。

萌えた時計その2。トルノーの「スピリットセコンドクロノグラフムーンフェイズ」。中身はヴィーナスの190(!)。これはハイコレクターにこそ相応しい時計です。350万円(税込み)。

 もうひとつは、きちんとメンテナンスを行った個体だけを販売すること。元リシュモン グループでメンテナンスを行っていた時計師が、ファイアーキッズの時計修理を監修している。数万円の時計にきちんとしたメンテナンスを施すのは大変そうだが、一括契約することで、あえて修理費を抑えずに1年保証ができるようになったとのこと。正直、数万円のアンティーク時計を修理して、さらに保証を付けるのはかなり面倒だ。新生ファイアーキッズは、あえてそこに取り組んだわけだ。これはかなりの英断だ。

ロレックスの品ぞろえも、ちょっとひねくれている。左から1973年製の「オイスター パーペチュアル」。デイトのないRef.1003だ。右は手巻きの「オイスタープレシジョン」。やはりデイトのないRef.6426というのが渋い。往年のロレックスは、リュウズのねじ込みがダメになりやすく、修理費も高くつく。個人的には、信頼できる店できちんとメンテナンスのされた個体を買うことをお勧めします。

 敷居が高いと言われるアンティークウォッチの世界。しかし、幅広い品ぞろえと、充実したメンテナンス体制、そして買い取りをきちんと行う新生ファイアーキッズは、ディープなコレクターのみならず、初心者にも優しい店舗だ。ディープな人はもちろん、アンティークウォッチって面白そうだけど、どう付き合えばわからない、という人も是非。

初心者にも優しいファイアーキッズ。その品ぞろえの一部。左から、1930年代のJ.W.ベンソン。スターリングシルバーケース。手巻き。7万8000円(税込み)。クッションケースのベネックス。手巻き。9Kゴールドケース。17万8000円(税込み)。9KゴールドケースのJ.W.ベンソン。手巻き。1950年代製。12万8000円(税込み)。クロームメッキケースのメトロ。手巻き。1940年代製。7万9800円(税込み)。スミス「アストラル」。手巻き。ケースはおそらく金張り。1950年代製、9万8000円(税込み)。1930年代のミモ「レクタングル」。9万8000円(税込み)。1930年代のユンハンス「トノーケース」。1930年代のステイトのドクターズウォッチ。手巻き。19万8000円(税込み)。グリュエンの角型。手巻き。7万9800円(税込み)。

筆者が買ったMULCO(ムルコ、マルコ)の手巻き。洋白にクロームメッキ+ステイブライトのねじ込みケースの組み合わせは、大戦中のミリタリーウォッチそのものだ。中身も軍用時計御用達のCal.AS1130。しかし、仕上げが良くなった民生版が載っている。地味だが、謎めいた個体。程度の良さは、写真が示す通り。筆者の大好きなキュリオスキュリオのストラップが付属する。購入金額は7万5000円(税込み)。


ファイアーキッズ 店舗情報

住所:〒221-0802 神奈川県横浜市神奈川区六角橋1-10-12
TEL:045-432-0738
営業時間:午前10時~午後7時
定休日:月曜日
https://firekids.jp

店長の野村一成さん。スイートロードの出身とのこと。決して広くない店だが、スタッフを含む陣容はかなり厚い。ちなみに、スモセコアラビア手巻きという広田好みのチョイスには、副店長の藤井翔さんの趣味が色濃く反映されている。