ベル&ロスの新作「BR 01 サイバー スカル ブロンズ」手に入るのは国内で5店舗だけ!

FEATUREその他
2023.02.28

ベル&ロスのスカル・ファミリー最新作、「BR 01 サイバー スカル ブロンズ」。面で構成された斬新なデザインを前作「BR 01 サイバー スカル」から受け継ぎ、ブロンズのケースを与えながら随所に改良を加えた限定モデルである。国内で手に入るのは、ベル&ロス ブティック2店舗とoomiya3店舗のみという稀少性だ。

ベル&ロス

高橋敬大:写真 Photographs by Keita Takahashi
土井康希:文 Text by Kouki Doi
2023年2月28日掲載記事


ベル&ロスの歴代スカルウォッチ

 今回紹介する「BR 01 サイバー スカル ブロンズ」は、ベル&ロスが展開するスカル・ファミリーの最新作である。見る者に強烈なインパクトを与えるスカルのモチーフは、“タイムレスなシンボル”として、これまで10種のモデルに取り入れられてきた。

 スカルは「死」を想起させ、直感的に恐怖感を連想させるかもしれないが、スカルには古代からさまざまなメッセージが込められてきた。骸骨が意味するのは時代によって変化し、時には強さや戦の象徴、アートの世界では人間の命の儚さや死の身近さを示すモチーフとして描かれてきたものだ。

 ベル&ロスがスカルのモチーフを時計のデザインに取り入れたのは2009年のことである。マッシブなスクエア型ケースが目を引く、アイコニックなBR 01シリーズに加わった「BR 01 スカル」は、発表当時大きなインパクトを与えたという。現在では多くのブランドからスカルモチーフの時計がリリースされているが、ベル&ロスはその先駆者でもあった。

スカル・ファミリー

(左)BR 01 スカル
2009年初出。スカル・ファミリーの初代にして、他ブランドにも大きな影響を与えた世界限定500本のモデル。PVDコーティングを施したオールブラックの外装は、当時としても斬新だった。
(中)BR 01 スカル ブロンズ
2015年初出。初代BR 01 スカルのデザインはそのままに、ブロンズ製のケースを使った世界限定500本のモデル。経年変化により発生する緑青がケースを覆えば、まるで別物のようになる。
(右)BR 01 ラフィング スカル
2018年初出。自社製の手巻きムーブメント、BR-キャリバー206を搭載した初のスカル・ファミリーで、下顎を動かすギミックは最新作にも反映されている。

 それからスカル・ファミリーは常に新しい発想を取り入れながら進化を続ける。2015年に発表された「BR 01 スカル ブロンズ」は、最新作にも通じるブロンズ素材を採用した初のスカルウォッチ。素材の経年変化と、年を重ねて深みを増してゆく人間との親和性を感じさせるものだ。

 そしてメカニカルな部分にも手を加えたのが2018年。スカルの顔の形状に合わせた独自開発の手巻きムーブメントを搭載し、ブランド初のオートマトン機構を備えた野心作である。リュウズを回して主ゼンマイを巻き上げると同時に顎が上下に動き、リアリティのあるスカルが口を開けて笑う、不気味にもユーモラスにも捉えられる動きを見せてくれる。

BR 01 サイバー スカル

ベル&ロス「BR 01 サイバー スカル」
2020年初出。大型のBR 01ケースを持ちながらも、これまでになかった未来的とも言える形状を採用。下顎が動くギミックも備える。手巻き(BR-CAL.206)。21石。2万8800振動/時。ブラックセラミックスケース(縦45×横46.5mm、厚さ13.7mm)。50m防水。世界限定500本。

 デザインにおいて大きな転機が訪れたのは2020年のことだった。「BR 01 サイバー スカル」は、これまでの丸みのある写実的なスカルから一変、“サイバー”という名が示すように未来的なデザインを取り入れたのだ。

 ブラックセラミックス製のケースからスカルのフェイスまでが面で構成され、その様相から最新鋭のステルス戦闘機を想起させる。BR 01 ラフィング スカルで初採用されたBR-キャリバー206の形状と、BR 01のスクエアケースを活かし、骨型のブリッジで4隅を固定することで、ムーブメントとフェイス全体に浮遊感を持たせている。


酸化しにくいブロンズケースを採用するスカル・ファミリー最新作

2023年、BR 01 サイバー スカルの2代目として披露されたスカル・ファミリー最新作が、「BR 01 サイバー スカル ブロンズ」だ。単なる色違いと思うなかれ、さまざまな面で改良が加えられている。細かな変更点に注目したい。

BR 01 サイバー スカル ブロンズ

BR 01 サイバー スカル ブロンズ
oomiya3店舗で購入すると、ブラウンのカーフストラップがプレゼントされる。手巻き(BR-CAL.210)。21石。2万8800振動/時。ブロンズケース(縦45×横46.7mm、厚さ13.7mm)。50m防水。世界限定500本。ベル&ロス 銀座・心斎橋ブティック、oomiya 心斎橋店・京都店・仙台店のみで販売。161万7000円(税込み)。

 まずケースはブロンズ製だが、一見18Kイエローゴールドのような色味だ。これは銅にアルミニウムを混ぜることで明るい色調になり、同時に酸化による経年変化のスピードを遅くしているという。ブランド独自に開発され、2019年に世界限定999本の「BR V2-94 ベリータンカー ブロンズ」で採用されてから、本作が3作目となる。

 ブロンズ製なのはケースとケースバック、リュウズ、バックルだ。通常の銅より酸化しにくいため、スローペースな色味の変化を実感できるだろう。古色を帯びて落ち着いた色味になったBR 01 サイバー スカル ブロンズを見られるのは、歳月を共にしたオーナーだけなのだ。

 やはり最も目を引くのがスカルのフェイスだ。ファセット加工の形状は前作を引き継ぎ、ケースの明るいブロンズカラーに合わせ、真鍮製のベースにコーティングをかけている。デザインの変化はスカルの“目”に注目。両目が黒で染められていた前作に対し、今作の左目はブランドロゴの「&」を丸で囲ったマークが入れられ、右目は貫通し歯車類が見えるようになったのである。

BR 01 サイバースカル ブロンズ

面で構成されたフェイスの立体感が伝わるだろうか。エッジの立った複雑な造形は切削加工によるもので、表面は粒立ったサンドブラスト仕上げだ。下顎が動くギミックも組み込まれ、口を大きく開けると主ゼンマイを透かした香箱がのぞく。

 ムーブメントにも手が加えられている。搭載されているのはBR-キャリバー206にスケルトン加工を施したBR-キャリバー210。スカル型の地板をはじめ、上面の受けや香箱、角穴車などが“肉抜き”され、メカニズムが表裏から鑑賞しやすくなった。

BR 01 サイバースカル ブロンズ

ここまでモチーフに振り切った造形を持つムーブメントも少ないだろう。“肉抜き”されたパーツ同士を重ね合わせることで、ムーブメントの奥行きを強調。12時位置のテンプや脱進機、動力を伝達する歯車などの動きを隅々まで楽しめる。