女性のための機械式時計。ショパール「ハッピースポーツ」自動巻きモデルを着用レビュー

FEATUREインプレッション
2023.12.10

1993年に誕生したショパールのレディースウォッチコレクション「ハッピースポーツ」。「ハッピーダイヤモンド」とともに、同ブランドを名門ジュエラーのポジションに押し上げた一大コレクションだ。今回着用レビューしたハッピースポーツの自動巻きモデルは、女性のための機械式時計として最適化された1本だった。

ショパール ハッピースポーツ

鶴岡智恵子(クロノス日本版):文
Text by Chieko Tsuruoka(Chronos-Japan)
[2023年12月10日公開記事]


ショパール「ハッピースポーツ」を着用レビュー

 ラグジュアリー・スポーツウォッチの「アルパイン イーグル」や自社製ムーブメントを搭載した「L.U.C」コレクションによって、時計市場で成功を収めているショパール。一方でジュエラーとしてのポジショニングも確立しており、レディースラインが豊富に取りそろうことも忘れてはならない。

 1993年に誕生した「ハッピースポーツ」は、そんなレディースラインを代表するコレクションのひとつだ。ヒットを飛ばしていた「ハッピーダイヤモンド」の特徴であるムービングダイヤモンドはそのままに、ステンレススティールをケース、ブレスレットに採用。当時は画期的であったこの試みによって、ハッピースポーツはジュエリーウォッチのキャラクターを備えつつ、高い実用性も獲得したレディースコレクションとして人気を博していく。

 誕生から30年の時を経て、現在のハッピースポーツには、さまざまな素材、貴石、意匠のバリエーションが存在している。

ショパール ハッピースポーツ

ショパール「ハッピースポーツ」
自動巻き(Cal.Chopard 09.01-C)。27石。2万5200振動/時。パワーリザーブ約42時間。ルーセントスティール™×18Kエシカルローズゴールドケース(直径30mm、厚さ11.23mm)。30m防水。121万円(税込み)。

 このハッピースポーツの中から、今回は自動巻きムーブメントを搭載したモデルを着用レビューする。


ずっと見ていられるムービングダイヤモンド

 ハッピースポーツの最大の特徴は、文字盤をコロコロと自在に動く、ムービングダイヤモンドの存在だ。ダイヤモンドを留めた石座を2枚のサファイアクリスタルの間に収めており、文字盤に干渉することなく石座が動くというユニークなこの仕組み。手首の傾きに合わせて滑らかに動くダイヤモンドの様子は楽しく、見ていて飽きが来ない。

ショパール ハッピースポーツ

本作はダイヤモンドとルビーが文字盤を動き回る。ルビーの真紅とマッチするレッドアリゲーターストラップがアクセントとなる。なお、ストラップのツヤは控えめとなっており、デザインの愛らしさとバランスの取れた、落ち着いた印象をもたらしている。

 ハッピースポーツはムービングダイヤモンドの形や用いられる貴石にもバリエーションがあり、本作はダイヤモンドの他、ルビーが文字盤を動き回る。針と貴石が重なると時間が読み取りづらくなるが、少し手首を傾けるだけで貴石が動き出すので、不便は感じなかった。

ショパール ハッピースポーツ

ブラックカラーのミニッツサークルが文字盤外周に設けられており、秒単位まで時間確認ができる。ムービングダイヤモンドがインデックスやミニッツサークルに重なって読み取りづらい時は、手首を傾けてみよう。貴石がコロコロと移動していく様も、見ていて面白い。

 自動巻きムーブメントを搭載し、さらに文字盤上にムービングダイヤモンド用の2枚のサファイアクリスタルがセットされているため、ケース厚は11.23mmある。よりジュエリーウォッチの性格を持つハッピーダイヤモンドと比べると厚みを持つが、自動巻きと考えれば決して厚くはない。コロンとした丸みあるケースがまた愛らしく、シャツの袖口からのぞくと所有している喜びを改めて感じられるのではないだろうか。


自動巻きムーブメントCal.Chopard 09.01-Cを搭載

 レディース専用の機械式ムーブメントを持つ時計ブランドは、そう多くない。しかし本作が搭載する自動巻きムーブメントは、ショパールが2018年、30mmサイズのハッピースポーツのために開発したCal.Chopard 09.01-Cである。現在では「アルパイン イーグル」の33mmサイズまたは36mmサイズにも採用されるこのムーブメントは、薄くありながらも堅牢性に配慮された設計となっている(アルパインイーグル搭載ムーブメントはC.O.S.C.認定)。

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本作のシースルーバックから、Cal.Chopard 09.01-Cを観賞できる。ローターや受けに施されたコート・ド・ジュネーブ装飾によって、裏蓋側から見ても楽しいレディースウォッチとなっている。

 自動巻きムーブメントは、腕の振りによってローター(回転するおもり)が動き、このローターの動きを利用して主ゼンマイの巻き上げを行う機構である。ちょっとした手首の振りで巻き上がる自動巻きムーブメントを「巻き上げ効率が良い」などと表現することがあり、その点で本作は、デスクワークがメインでもよく巻き上がっていた。ちなみに今回の着用時間は、1日あたり約13時間ほどだった。着用時の動態精度を計測したところ、24時間後にプラス2秒、48時間後にプラス4秒と、とても誤差が少なかった。

 レディースウォッチは意匠が凝られたモデルが多く、自分自身も選ぶ基準としてまずデザインを念頭に置いている。しかし、本作は独創的でエレガントな意匠を備えると同時に、実用面でもハイレベルに作り上げられており、まさに女性のための機械式時計。毎日使える腕時計をお探しの方は、ぜひ注目してほしい1本だ。


ルーセントスティール™とエシカルな18Kローズゴールド

 最後に、本作に用いられている素材についても紹介したい。

 本作はステンレススティールと18Kローズゴールドがコンビネーションされている。しかし、メーカーのスペック表記では、前者をルーセントスティール™と、後者をエシカルなローズゴールドと表している。

 ルーセントスティール™は、ショパールの高性能スティールである。一般的な高級時計に用いられる316Lステンレススティールと比べて1.5倍の摩耗耐性、そして優れた硬度を備えつつ、白い輝きを有する。特筆すべきはショパールが、この高性能スティールの約80%にリサイクルスティールを用いているということだ。なお、リサイクルスティールの含有率を、2025年末までに少なくとも90%へ引き上げることを目指す。

 さらに、責任ある供給元で調達されたゴールドを使用している点も、触れておきたい。ショパールは13年より、「サステナブル・ラグジュアリーへの旅」を標榜。この最大のマイルストーンとして、「公正に調達されたゴールドをすべてのウォッチとジュエリーに使う」と掲げ、18年7月に達成した。

 近年ではサスティナビリティが注目され、企業の責任として、社会の持続可能性への対応を求める声が少なくない。時計業界も無関係ではなく、地球環境や人と調和した事業の在り方は重要性を増している。そんな時、率先してサスティナブルな活動を行うブランドの腕時計は、ユーザーにとって大きな購買理由のひとつになっていくだろう。


Contact info: ショパール ジャパン プレス Tel.03-5524-8922


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