H.モーザーの美意識を表現する永久カレンダー

2017.03.08

 こうした観点に立つと、50本限定(まぎれもなく、ベリーレアだ)で発表されたエンデバー・パーペチュアル・カレンダー・ピュリティーは今のH.モーザーのブランドコンセプトを最もよく体現しているモデル、ということができるだろう。サンバースト仕上げが施されたミッドナイトブルー フュメ・ダイアルの美しいグラデーション。12カ月表示の視認性を損なうというリスクを負ってまで、12以外はインデックスを排したデザインは、経営陣の覚悟のほどがうかがえる。ケースは旧作以上に立体感が強調され、ケースバックにカーブをつけて、腕へのフィット感を改善している。40.8㎜から42㎜へのアップサイジングは、時計全体のボリュームを考えると、間違いなく良い判断だ。ムーブメントには一部改良が加えられたものの、毎秒5振動のロービート、7日間のロングパワーリザーブ、ユニット式脱進機などの基礎体力は健在。もちろん、ヒゲゼンマイは独自製法のシュトラウマン・ヘアスプリングだ。
 饒舌にならず、あるがままのピュアネスさで高い機能性と意匠の力を静かに誇示する。H.モーザーの理念が変わらずに進化し続けていくことを願ってやまない。

搭載する手巻きムーブメントは、ツインバレルによる約1週間のロングパワーリザーブ、着脱が容易なユニット式脱進機など、ハイスペックかつ個性的だ。


H.モーザーのCEOを務めるエドゥアルド・メイラン氏。同社のブランド戦略を緻密に練る若き経営者だ。1976年スイス生まれ。アメリカの大学でMBAを取得した後、SGキャピタル・マネジメント・アナリストなどを経て、父が運営するMELBホールディングスに参画。2013年より現職。



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