ムーンフェイズ再発見[ムーンフェイズの精度を追求するA.ランゲ&ゾーネ【月面博覧会】］

ランゲ1・ムーンフェイズ
同社の王道「ランゲ１」の特徴的なレイアウトを活かしつつ、スモールセコンドの下にムーンフェイズ表示を搭載した。このブルーディスクの色味が、端正で機能的なデザインを引き立てる格好のアクセントになっている。手巻き（Cal.L901.5）。54石。2万1600振動／時。パワーリザーブ約72時間。Pt（直径38.5mm）。572万円。

115歯の歯車を使い、誤差は122.6年に1日分のみ。高精度仕様のムーンフェイズだが、スモールセコンドに合わせた小ぶりなディスクなので、星の数も14個と少ない。しかし、文字盤のデザインがシンプルなので、十分に効果的である。

ランゲ1・トゥールビヨン・パーペチュアルカレンダー
永久カレンダーと、ケースバックから観賞するタイプのトゥールビヨンを搭載。月表示をダイアル外縁部の回転ディスクで表現し、曜日はレトログラード式。凝った仕掛けを多用して、ランゲ１ならではのスタイルを守る。自動巻き（Cal.L082.1）。76石。2万1600振動／時。パワーリザーブ約50時間。Pt（直径41.9mm）。3332万円。限定100本。

122.6年に1日分のみ誤差が生じる高精度ムーンフェイズ。永久カレンダーをすっきり見せるために、ムーンフェイズ表示をスモールセコンドと組み合わせている。歯車の数は90。コンパクトなムーンディスクなので、星の数も14個のみ。

ダトグラフ・パーペチュアル
手巻き式クロノグラフの傑作「ダトグラフ」と永久カレンダーを融合させたモデルであり、ダトグラフの特徴である下がりめのサブダイアル内に、積算計とカレンダー、デイナイト表示を集約して、スマートな印象にまとめた。手巻き（Cal.L952.1）。45石。1万8000振動／時。パワーリザーブ約36時間。PG（直径41mm）。1363万円。

ダトグラフのデザインを崩さないように、ムーンディスクをふたつのサブダイアルの間に収めている。精度は122.6年に1日分しか誤差が生じないという高精度仕様で、歯車の歯数は90。星の数は14個と少ないが、密度が高いため華がある。

［グランド・ランゲ1・ムーンフェイズの月齢表示機構］
高精度ムーンフェイズ機構に対する基本的な設計思想は、歯車の歯数を増やすことで、より細かく正確にムーンディスクを回転させることにある。「グランド・ランゲ１・ムーンフェイズ」の場合は、7つの歯車を連結させた輪列を使ってムーンディスクを回転させる仕組みを採用。しかも、定期的なタイミングで動かすのではなく、常にゆっくりと回転させることで、優れた精度を実現しているのだ。

［ランゲ1・ムーンフェイズの月齢表示機構］
ムーンディスクを回転させるための設計が、ムーブメントごとに異なるのも、A.ランゲ&ゾーネの独創的なところだ。例えば「ランゲ１・ムーンフェイズ」の場合は、スモールセコンドの下にディスクがあるため、時刻表示用の輪列を利用して、ムーンディスクを回転させている。より正確な周期で回転させるために歯の数を115に増やしており、122.6年に1日分しか誤差が生じないようにしている。