やっぱりデカ厚時計も好き！ 大人の男性に身に着けてほしいモデル5本をピックアップ

大ぶりでボリューミーなケースを持つ、いわゆる“デカ厚”時計の中から、大人の男性にお勧めのモデルを紹介する。今回、国内外のブランドから、ケース直径が44mmを超える腕時計に焦点を当て、5本のモデルをセレクトした。小径モデルがトレンドとなっている近年の腕時計業界だが、あえて存在感抜群の1本を選んでみるのはいかがだろうか？

大人の男性にオススメのデカ厚時計5選

　腕時計のケースサイズのトレンドは、時代とともに移り変わってきた。1950〜60年代は小径のものが主流であったが、技術の進化や実用性の追求、ファッショントレンドの変化に伴って徐々に多様化し、2000年代には、大径かつ厚みのあるケースを持つ、いわゆる“デカ厚”の腕時計が一大ブームとなった。そして現在では、クラシックなスタイルの再評価や、日常的な使用感を重視する傾向から、直径40mmを下回るケースサイズの採用がひとつのトレンドとなっている。

　もっとも、流行が一巡したとはいえ、手元で圧倒的な存在感を放つ腕時計の魅力が薄れたわけではない。確立されたスタイルのひとつとして根強い人気を誇り、近年でも多彩なモデルが各ブランドからリリースされ続けている。本記事では、国内外のブランドから、そんな大ぶりな腕時計の魅力を再確認できるモデルを紹介する。

　なお、以下に挙げる5本は、ケース直径が44mmを超えていることに加え、いくつかの点にも留意してピックアップした。まず、サイズが大きくても軽量な素材の採用や、ケース全長が短い設計などにより、良好な着用感が期待できること。また、オトナの男性にもおすすめしやすいという視点から、スポーティーすぎず、落ち着いた装いにもふさわしい高級感を備えていることを重視した。

　加えて、いずれも正規店で購入可能であり、かつ過度に稀少で入手困難なモデルではないため、時計選びの際にはぜひ選択肢に加えてみてほしい。

オメガ「シーマスター プラネットオーシャン ウルトラディープ」Ref.215.92.46.21.01.001

「シーマスター プラネットオーシャン ウルトラディープ」は、6000m防水という驚異的な防水性能を誇る、オメガのダイバーズウォッチの最高峰である。2019年の歴史的な探査に同行し、水深1万935mに到達したプロフェッショナル仕様のタイムピースをオリジナルとする本シリーズからは、Ref.215.92.46.21.01.001をピックアップした。

　本作のケース直径は45.5mm、厚さは18.12mmと、堂々たるサイズ感だ。その一方で、ケース素材に軽量かつ堅牢なグレード5チタンを採用し、「マンタラグ」と呼ばれる特殊な形状の短いラグを持つことで、日常使いにも適した良好な着用感を実現している。また、セラミックス製のベゼルインサートを含めた外装の全面がサテンで仕上げられており、力強さとともに落ち着いた洗練性も感じさせる。

　グレーカラーのチタン製ダイアルは、シアンブルーの差し色によって無骨な印象が和らげられている。加えて、硬化被膜加工によるマットな質感は、グラデーションカラーの秒針、アラビア数字インデックス、そして18Kホワイトゴールド製の時分針およびアプライドインデックスとの間に強いコントラストを生み出し、高い視認性に寄与している。

　搭載するムーブメントは、マスター クロノメーター認定を受けたCal.8912である。1万5000ガウスもの優れた耐磁性と高精度が保証されているだけでなく、コーアクシャル脱進機の採用によりメンテナンス性にも優れる。なお、このムーブメントを収めるケースの裏蓋には、深海への挑戦を象徴するソナーのロゴが刻印されている。

G-SHOCK「MRG-B2100B-1AJR」

　G-SHOCKの最上級ライン「MR-G」に属する「MRG-B2100B-1AJR」は、八角形のケースフォルムで人気を博す2100シリーズをベースに、そのクォリティを突き詰めたモデルだ。G-SHOCKならではの絶対的なタフネスやアイコニックなデザイン性はそのままに、高級腕時計としての美観や質感が追求されている。

　特徴的なケースは、丁寧な仕上げとDLCコーティングが施される。仕上げは高級腕時計に欠かせないが、本作のように複雑な形状でありながら細部まで仕上げられているのは、ケースとベゼルを多パーツ化したことによるものだ。特徴的な八角形のベゼルは27ものパーツに分割されており、それぞれが磨き上げられた後、さらにG-SHOCKとしての「強さ」を保つためにベゼルのパーツとケースの間に緩衝体を組み込む「マルチガードストラクチャー」となっている。

　ケースサイズは縦49.5mm、横44.4mm。厚さは13.5mmとG-SHOCKとしては薄型ながら、大ぶりな印象だ。しかしながら、純チタンの約4倍の硬度を持つ「コバリオン」をはじめ、「Ti64」「DAT55G」といったチタン合金を、ベゼル、ケース、ブレスレットでそれぞれ使い分けることで、耐久性と軽やかな装着感、そして経年に強い美観を実現している。

　機能面では、タフソーラーや標準電波受信機能に加え、Bluetooth®によるスマートフォンとの連携機能を搭載する。これにより、時刻修正をはじめとする各種設定をスマートフォン上で行うことができる。もちろん、G-SHOCKに共通する20気圧防水や高い耐衝撃性も備えており、オトナの男性が着用する実用時計として申し分のない1本に仕上がっている。

グランドセイコー「エボリューション9 コレクション スプリングドライブ クロノグラフGMT」Ref.SBGC251

　グランドセイコーの「エボリューション9 コレクション」は、「エボリューション9スタイル」のデザイン文法にのっとるものだ。「グランドセイコースタイル」を発展させ、審美性、視認性、装着性という3つの腕時計の要素を進化させることを標榜しており、「正確で、見やすく、美しく、永く使える日本の腕時計」となっている。このコレクションに属するRef.SBGC251は、クロノグラフとGMT機能を有するとともに、独自機構であるスプリングドライブムーブメントを搭載したモデルである。

　ケースとブレスレットの素材には、グランドセイコー独自のブライトチタンを採用。直径45.3mm、厚さ15.8mmという大ぶりなサイズに反する軽やかさ、そして明るい色調を持つ。また、エボリューション9スタイルに準じてデザインされたケースは、低く重心が置かれているだけでなく、ほとんどテーパーの効いていない幅広のブレスレットとの組み合わせにより、手首への優れたホールド感が期待できる。

　そのフェイスにも注目だ。ダイアルは判読性を考慮してレイアウトされており、モノクロカラーを基調としたデザインには機能美が感じられる。また、多面カットが施されたインデックスと針が配され、GMT針およびGMTのロゴのみライトブルーに色分けされたことで、視認性が高められていることはもちろん、デザイン上のアクセントにもなっている。その実用重視の設計は、スポーティーでありながら、オトナの男性の手元に見合う落ち着きを感じさせる。

　ムーブメントは、スプリングドライブ式のCal.9R86を搭載する。約72時間というパワーリザーブと高精度を備えており、スモールセコンドおよびクロノグラフの秒針が、流れるようなスイープ運針で正確な1秒を刻む。また、その精緻な駆動やローターの動きは、トランスパレント仕様のケースバックから見ることができる。

IWC「ビッグ・パイロット・ウォッチ」Ref.IW501001

　IWCの「ビッグ・パイロット・ウォッチ」は、1940年代にブランドがドイツ空軍の要請を受けて製作したツールウォッチのDNAを、色濃く受け継ぐコレクションだ。

　そんなビッグ・パイロット・ウォッチのうち、Ref.IW501001は、コレクション名が示す通り、直径46.2mm、厚さ15.6mmという大型のケースを持つ。このインパクトのあるサイズ感と、グローブを着けたままでも操作できる円錐型のリュウズは、オリジナルから受け継がれた象徴的な要素だ。意匠の点で特徴的であるのみならず、ツールウォッチに不可欠な優れた視認性と操作性、そして機能性に大きく寄与するものとなっている。

　モノクロカラーで構成されたそのシンプルな顔立ちは、コックピットの計器を彷彿とさせる。マットブラックのダイアルでは、ホワイトの時分針とアラビア数字インデックス、そして12時位置に配された三角形のマーカーが明瞭なコントラストを描き、瞬間的な時刻の判読が可能だ。また、3時位置には約7日間のパワーリザーブ表示、6時位置にはデイト表示がバランス良く配置されており、ダイアル自体も大ぶりであるため、これらの情報も極めて視認しやすい。

　ムーブメントは、高い巻き上げ効率を誇るペラトン式自動巻きのCal.52111だ。ツインバレルによって約168時間のパワーリザーブを有しており、ダイアル上のパワーリザーブ表示から、主ゼンマイの巻き上げ残量を常に確認することができる。また、ムーブメントは軟鉄製インナーケースに覆われており、高い耐磁性も確保されている。

ロレックス「オイスター パーペチュアル ディープシー」Ref.136660

　防水腕時計のパイオニアとしても知られるロレックスからは、2008年に発表されたダイバーズウォッチ「ディープシー」をピックアップした。特許取得済みの独自構造「リングロック システム」により、腕時計として常識的なケースサイズに収めつつも堅牢性を飛躍的に高め、3900mという驚異的な防水性能を実現したタイムピースである。

　このリングロック システムは、厚さ5.5mmのドーム型サファイアクリスタル風防と、グレード5チタン製の裏蓋、そしてそれらの間に配された窒素合金ステンレススティール製（18Kイエローゴールドモデルはブルーセラミックス製）の高性能耐圧リングで構成される。この3つの要素が連携して、水圧を効果的に分散・吸収する構造により、直径44mm、厚さ17.7mmという、その性能を考慮すれば小さいとも言って良いケースサイズで、3900mの防水性を達成しているのである。

　さらに、ブラックのセラクロムベゼルインサートを備えた逆回転防止ベゼルに加え、飽和潜水時に時計内部へ侵入したヘリウムガスを、安全に排気するメカニズムを持つヘリウム排出バルブを完備。針やインデックスにも、暗所で長時間にわたり鮮やかな青色光を放つクロマライトディスプレイが塗布されており、飽和潜水に挑むプロフェッショナル仕様のダイバーズウォッチとして、卓越した完成度を誇る。

　搭載されるムーブメントはCal.3235だ。ロレックスによる高精度クロノメーターに認定されており、ケーシング後に日差±2秒の優れた精度と、約70時間のパワーリザーブを実現しており、かつ深海の過酷な環境にも影響されない耐衝撃性や耐磁性を備えるなど、内外で信頼性の高い1本となっている。