その薄さ、5mm。ラドーの「トゥルー スクエア シンライン」のケースの厚さは驚くほど薄い。それを可能にしたのは、セラミックスという素材である。すなわち、このモデルはセラミックスを駆使するラドーだからこそ成し得た腕時計なのだ。『ウォッチタイム』アメリカ版に寄稿するマーティン・グリーンが本作の魅了を解説する。
ラドーの本質に最も近いモデル
ひとつの腕時計で、そのブランドの本質すべてを体現するのは難しい。ラドーも例外ではない。ダイバーズウォッチからエレガントなスケルトンウォッチまで、同社の世界観は幅広い。しかし「トゥルー スクエア シンライン」は、ラドーというブランドの本質に、最も近いモデルのひとつと言えるのではないだろうか。

クォーツ(Cal.R420)。13石。ハイテクセラミック×Tiケース(縦43.3mm×横37mm、厚さ5mm)。3気圧防水。30万300円(税込み)。
ブランドの核にあるセラミックスという素材
まず注目すべきは、ケースとブレスレットに用いられたブラックセラミックである。現在では多くのブランドが採用している素材だが、ラドーはこの分野のパイオニアであり、セラミックスをブランドの核と位置付けた数少ない存在だ。
セラミックの特性は大きくふたつ。ひとつは非常に硬く頑丈であり、傷が付きにくい点だ。そのため、ラドーの腕時計は長年にわたって輝きを保ち、日常使用による摩耗の影響をほとんど受けない。もうひとつは、アレルギー反応を起こしにくく、体温にすぐなじむ点である。加えて非常に軽量であることも、装着感に優れた理由のひとつだ。
デザインにも宿る“ラドーらしさ”
こうした特徴は、トゥルー スクエア シンラインにも存分に活かされている。ただし、あくまで「ラドー流」である点が重要だ。ラドーのデザインは他のブランドとは一線を画しており、それが個性の源泉でもある。
モデル名が示す通り、本作はスクエアケースを採用するが、角には丸みを持たせ、手にしたときの感触は柔らかい。直径37mmというサイズも、過不足のない絶妙なバランスを保っており、幅広いユーザー層にフィットする。
ブレスレットは一体型で、磨き上げられたリンクが滑らかな装着感を生む。全体の重量は87g未満と非常に軽く、装着していることを忘れるほどだ。
モダンな仕上げと視認性のバランス
セラミックケースとブレスレットに調和するよう、サンブラッシュ仕上げのブラックダイアルが採用されており、全体に統一感がある。インデックスはシンプルなブラックのバータイプながら、ダイアルとのコントラストにより視認性は高い。針とラドーのロゴはビビッドなオレンジラッカーで彩られ、現代的なアクセントを加えている。
薄さを実現するためのムーブメント選定
装着感の向上を意識し、ムーブメントにはクォーツ式ムーブメントCal.R420を採用。これによりケースは極薄に仕上げられ、しかも気軽に使える一本となっている。
ブランドの本質を手元で感じる
軽さとセラミックの快適性により、腕時計を着けていることを忘れることもあるが、トゥルー スクエア シンラインは、その存在感とラドーらしさでふと目を引き、自分がまさにブランドの本質を手にしていることを思い出させてくれる。