現代アーティストのダニエル・アーシャムがウブロのためにデザインした初作「MP-17 アーシャム スプラッシュ」。一瞬のスプラッシュを捉えた、有機的でダイナミズムにあふれたモデルだ。
Text by Shin-ichi Sato
Edited by Yuto Hosoda (Chronos-Japan)
[クロノス日本版 2026年1月号掲載記事]
水の本質を捉えた現代アート

ダニエル・アーシャムとの協業作。一瞬の間しか見られないスプラッシュをテーマに、サファイアクリスタル製ベゼルと有機的な曲線が、水のダイナミズムを表現した。手巻き(Cal.HUB1205)。29石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約240時間。Tiケース(直径42mm、厚さ15.35mm)。5気圧防水。世界限定99本。904万2000円(税込み)。
新たな素材やアーティストとのフュージョンを繰り広げてきたウブロの新作は、ダニエル・アーシャムとのコラボレーションモデル「MP-17 メカ-10 アーシャム スプラッシュ チタニウム サファイア」だ。アーシャムは、今ある物が未来に残った様子を、結晶化や浸食によって表現する「架空の考古学」をテーマとした作品が高く評価されているアーティストである。「時間」を作品のテーマに着目する点がウブロとの共鳴を生み、本作の着想につながっている。

本作は、ウブロのアンバサダーであるアーシャムが、ウブロのためにデザインした最初の腕時計だ。そのモチーフは、一瞬の間しか見られない水しぶき(スプラッシュ)である。水のダイナミックな造形と透明性を表現すべく、レーザーテクスチャー入りサファイアクリスタル製のベゼルには、有機的な曲線による開口部が設けられる。その開口部からは幾何学的な造形を持つムーブメントの機構がのぞくデザインで、コントラストが利いた仕上がりを持つ。また、ストラップにはアーシャムのモノグラム装飾を施したブラックラバーが組み合わされるほか、インデックスや各針は、アーシャムグリーンと名付けられたグリーンの印字と蓄光塗料が施される。
本作を一見すると、従来のウブロの各モデルとは全く異なるデザインであるが、細部を観察すると、ウブロの伝統が盛り込まれていることが見て取れる。ベゼルとケースバックには、6つのH型ビスが用いられており、3時位置と9時位置には、ウブロのアイコンとも言えるラグ(凸部)が配される。このように、アーシャムの世界観とウブロの伝統と革新が融合した本作は、現代芸術の観点からも、アイコニックな存在と言えるだろう。



