2026年3月12日(木)、シチズン アテッサ「ACT Line」の新作として、Ref.CB3040-56HとRef.CB3045-61Lの2種が発売される。本記事では、両者に共通するソリッドかつスポーティーな造形や、メタリックな質感を持つ新仕様のダイアルを中心に、その魅力を深掘りしていく。

Photographs & Text by Kento Nii
[2026年3月10日公開記事]
グッドデザイン賞受賞モデルに新色が登場
光発電技術エコ・ドライブをはじめとするシチズンの実用機能を、独自素材であるスーパーチタニウム™製のケースに収めたシチズン アテッサ。これに属する「ACT Line」の新作として、シルバートーンで統一されたRef.CB3040-56Hと、オールブラックカラーのケースを備えるネイビーダイアルモデルのRef.CB3045-61Lが登場。これらの2モデルは2026年3月12日(木)より発売される。

ケースにデュラテクトチタンカーバイドを施した、メタリック感をダイレクトに楽しめるモデル。光発電クォーツ。フル充電時約2年(パワーセーブ時)。Tiケース(直径39.0mm、厚さ9.7mm)。10気圧防水。9万9000円(税込み)。2026年3月12日(木)発売予定。

デュラテクトDLCでオールブラックカラーに仕上げたケースに、ネイビーダイアルを掛け合わせた1本。ピンクゴールドカラーの針とインデックスを配することで、エレガントさが添えられている。光発電クォーツ。フル充電時約2年(パワーセーブ時)。Tiケース(直径39.0mm、厚さ9.7mm)。10気圧防水。12万6500円(税込み)。2026年3月12日(木)発売予定。
これらは、八角形ベゼルとコンパクトな一体型ケースを特徴とする3針モデルにおける、新バリエーションとしてラインナップされる。ケース直径は39.0mm、厚さは9.7mmと、コレクションの中では比較的コンパクトなパッケージングだ。多面体のシェイプと、ケースからなだらかにつながる細かいピッチのブレスレットが組み合わされ、かつ大きい面積がヘアラインでマットに仕上げられることで、力強くも洗練された佇まいにまとめられている。

新作2モデルにおけるトピックは、メタリック感を意識したデザインだ。特にダイアルは、光沢のあるメタリック塗装に加え、縦方向のヘアラインパターンが施されたことで、いずれのカラーも金属の一枚板を思わせる仕上がりとなっている。同型の従来機では、チタンの原石をモチーフとしたざらつきのあるブラックダイアルや、星空を表現したラメ入りのものが採用されていたため、この新仕様は特に差別化が感じられるポイントとなるだろう。

機能面では、エコ・ドライブや日本の2カ所に加えて中国、米国、欧州の標準電波の受信に対応した電波時計に加え、日常使いにうれしいパーペチュアルカレンダーやダイレクトフライト、ワールドタイムといった実用的な機能を備えている。これらはリュウズおよび、その上下に配された埋め込み式のプッシャーで操作する方式だ。この多機能性に、シンプルで洗練されたデザイン、軽やかかつ傷に強く、アレルギーフリーなスーパーチタニウム™の材料特性も相まって、オンオフ、コーディネートを問わない万能ウォッチに仕上がっていると言える。
なお価格は、Ref.CB3040-56Hが9万9000円、Ref.CB3045-61Lが12万6500円だ(いずれも税込み)。手の届きやすい価格帯であり、新生活に向けた腕時計の購入を検討している人にとっても、ちょうど良いタイミングでのお目見えとなったのではないだろうか。
徹底したメタリック感の追求と秀逸なダイアル塗装
さて、筆者が新作2モデルを目にした際、驚かされたのはやはりダイアルである。特に、この金属さながらの質感は秀逸だ。
一般的に、本作のようなメタリック塗装に用いられる塗料には、細かい金属粒子が含まれており、それらが光を反射することで金属のような光沢を生み出す。模型などに塗装を施す際、塗料が入った容器をよく振るのは、この粒子を攪拌させるためである。そして、メタリック塗装のもうひとつの特徴として挙げられるのが、隠蔽力に優れる点だ。要は、塗る土台が持つ色合いを覆い隠すことに長けているのだが、エコ・ドライブを持つ腕時計のダイアルにおいては、光も遮ってしまうことから、この特性はデメリットになってしまいかねない。
その点を鑑みると、新作のダイアルに与えられた金属のような質感は、非常にシビアなバランスで成り立っていることがうかがえる。これは、3針モデルゆえにダイアルの大部分から光を取り込めるうえ、消費電力も少なく、かつ発電効率に優れるエコ・ドライブだからこそ実現した仕様だと言えるだろう。

このダイアルとマッチするケースについても触れておきたい。表面仕上げはヘアラインが基本で、ポリッシュをベゼルやブレスレットの一部のみにとどめている。その一方で、シャープな稜線を取り入れたことで、光を反射する面が大胆に移り変わり、多面体がくっきりと際立って見える。そのため、薄型かつマットな仕上げが中心でありながら、立体感が生まれ、のっぺりとした印象が抑えられているのである。

ブレスレットもまた、センターのコマにうっすらと横方向のヘアラインが施されており、縦方向に仕上げられたサイドのコマとの間に視覚的なギャップを作り出している。これにより、メリハリの効いた外観でありつつも、ブレスレット全体としてはマットな質感にまとまっており、ケースやダイアルとの一体感が巧みに演出されているのだ。総じて、腕時計全体を通して、立体的かつ洗練された金属感を楽しめる点が、今回の新作2モデルの大きな魅力となるだろう。
まとめ
本稿でご紹介した新作はシチズン アテッサの中でもエントリーライン寄りであり、そこまでトピックは多くない。例えば、2月26日に発表された限定モデル「Shades of Red」シリーズなどと比較すると、デザインテーマの壮大さや話題性などでは多少見劣りするかもしれない。
しかし、ここまで深掘りしてきた通り、金属の重厚感と光の透過性という相反する要素を両立させた秀逸なダイアルや、グッドデザイン賞の受賞歴を誇るエッジの効いたケース造形など、間違いなく注目に足る実力を秘めたモデルと言えるだろう。
さらに、これら2モデルは、ケースとブレスレットが一体化した、“ラグスポ”ライクな腕時計としても魅力的な存在だ。シチズンの他ブランドで言えば、ヘリテージを参考にした高級感重視の「ザ・シチズン メカニカル」や、レトロテイストな外観で支持を集める「TSUYOSA」などが挙げられるが、新作はそれらと対照的に非常にモダンかつスポーティーさが押し出された印象である。
日常の利便性を確保しつつ、手元にモダンスポーティーな洗練さを求めている人にとっては、本作の購入が、非常に理にかなった選択肢となるのではないだろうか。



