エプソンTRUMEの「遊び方」

2017.10.13
TRUME
奥山栄一:写真 Photographs by Eiichi Okuyama
広田雅将(本誌):取材・文 Text by Masayuki Hirota (Chronos-Japan)

エプソン 見て・触って・連れて歩く TRUMEの「遊び方」
How to play with TRUME

 満を持して発表となったエプソンのフラッグシップコレクション「TRUME(トゥルーム)」。
高度や気圧、登録した場所への距離と方角などが分かるこの時計は、いわば独創の高機能腕時計だ。
しかし、この時計の本当の魅力は、多彩な機能以上に考え抜かれた操作系と、複数の針でデータを表示するという、
思わず触りたくなるユニークなインターフェイスにある。その腕時計の「遊び方」を指南する。

エプソン TRUME TR-MB8001
3つのセンサーで得たデータを、時分針を除く6本のアナログ針で示す野心的な高機能腕時計。しかし、よく考えられた操作系と表示方法を持つため、使いやすく、各種表示も見やすい。また、登録したポイントへの距離と方角を示すウェイポイント機能は、とりわけ旅先で有用だ。ライトチャージGPS衛星電波修正クォーツ。チタン(縦60.2×横48.6×厚さ15.5mm)。10気圧防水。28万円。紫外線量、温度、歩数、消費カロリーを計測できるエクスパンデッドセンサー付き。

文字盤上では最大8つの機能を表示できる。6時位置のサブダイアルが選択した機能を、サブダイアル❷のふたつの針が1000と100の位の数値を、❸の針が10と1の位の数値を、サブダイアル❺の針が数値のプラスとマイナスを示す。6時位置のサブダイアルは、❶が高度、❻が方位、❹が気圧を示す。登録したポイントへの距離と方角を示すウェイポイントモードの場合、サブダイアル❷の針が距離を、サブダイアル❺の針が登録したポイントの方角を、❸の針が常に北の方角を指す。

最先端技術でアナログの可能性を切り拓く「触りたくなる」腕時計

 時計部門への本格的な注力を決めたエプソン。2016年度に507億円だった腕時計などのウエアラブル機器の売上高を25年度には1000億円以上に引き上げるという。鍵を握るのは、統合した老舗時計メカーのオリエントと、自社の新ブランドであるTRUME(トゥルーム)だ。
 エプソンの得意とするセンサリング技術を、腕時計サイズに落とし込んだTRUME。特徴は、目を瞠るほどの多機能と使いやすさ、そして思わず「触りたくなる」インターフェイスにある。つまり、TRUMEとは、スマートウォッチとも、機械式時計とも異なる、使って楽しめる新世代の高機能腕時計と言える。
 搭載する機能は、人工衛星からGPS情報を受信して時間を自動的に修正するサテライトリンクと、光で発電するライトチャージにワールドタイマー、そしてクロノグラフ(ストップウォッチ)機能。加えて、ふたつのセンサーとGPS機能で、高度計、気圧計、コンパスの役目を果たすほか、ウェイポイントを表示する。上位機種に付属するエクスパンデッドセンサーを使えば、紫外線量、温度、歩数、消費カロリーまで分かる。
 驚くほどの多機能ぶりだが、操作は実に簡単だ。右ページに示したAボタンを押して6時位置の短針を進め、表示したいモードで止めた後、Cボタンを押して計測するだけ。その結果は、複数の針で表示される。例えば、高度を表示する場合、右ページ❷の短針が1000の位、長針が100の位、❸の針が10と1の位、そして❺の針がプラスとマイナスを示す。気圧などの表示も同じだ。それぞれの位を別の針で指し示すというアイデアは、慣れてしまえば実に分かりやすい。
 面白いのは、Bボタンを操作して行うウェイポイント機能だ。これはGPS機能の位置情報とコンパスを組み合わせるという独自の発想から生まれた。例えば、泊まっているホテルから出掛けるとする。ホテルでAボタンを押して6時位置のモードをALT、COM、BAR、ACCの いずれかに合わせ、Bボタンを3秒以上押すと、その場所が登録される。出先から、登録したホテルへの距離と方角を知りたい場合、6時位置のモードをCOMに切り替え、ボタンCを3秒以上押すと、❷のふたつの針が距離、❺の針が方角を示してくれる。簡易的な機能だが、旅先で使うには十分な上、電池切れを気にせずに使えるのもありがたい。