最近よく見るセラミックス製の腕時計ってどうなの? おすすめモデルまとめました!

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2026.04.04

セラミックス製の外装を用いた腕時計の中から、おすすめモデルを紹介する。優れた硬度と独特の艶感が特徴のセラミックスは、耐傷性・耐食性・抗アレルギー性に優れた素材だ。代表作からユニークなモデルまで、5本をピックアップした。

オメガ スピードマスター ダーク サイド オブ ザ ムーン

野島翼:文
Text by Tsubasa Nojima
[2026年4月4日公開記事]


優れた耐傷性と耐食性、抗アレルギー性が特徴のセラミックス

 かつて腕時計の外装に用いられる素材は、ステンレススティールやゴールドなどが一般的であったが、製造・加工技術の進歩によって、チタンやカーボン、サファイアクリスタルなど、さまざまな新素材が登場してきた。その中でも広く普及しつつあるのが、セラミックスだ。

 高級時計に用いられるセラミックスの多くは、酸化ジルコニウムを原料としており、バインダーや溶剤と混ぜ合わせたうえで成形、脱脂、焼成の工程を経て製造される。その後さらに加工や仕上げが加えられることで、高級時計にふさわしい見た目を獲得するのだ。

 しかし、焼成時に収縮してしまい、硬度の高さゆえに加工や仕上げが困難なセラミックスを扱うのは容易ではない。セラミックス製の腕時計を製造するためには、相応の技術力が要求されるのである。

 製造が難しいセラミックスだが、腕時計の素材としては理想的な性質を備えている。まずは非常に高い硬度だ。腕時計に用いられる素材としては、サファイアクリスタルに次ぐ硬度を誇り、そのために傷が付きにくい。つまり、長年にわたって美観を保ちやすいのだ。しかし、硬度が高いということは、反面粘りがないためたわむ余地がなく、強い衝撃を受けることで割れや欠けが発生する可能性があるということも認識しておきたい。

 また、酸化ジルコニウムを原料とするセラミックスは、すでに酸化された状態であり、耐食性にも優れる。さらに、ニッケルなどを使用していないため、アレルギー反応が起きにくいことも特徴だ。その生体適合性は、人工関節などの医療分野でも使用されるほどである。

 メリットの多いセラミックス製の腕時計。そのおすすめモデルを紹介しよう。

シャネル「J12 キャリバー 12.1」Ref.H5697

J12 キャリバー12.1 ブラックセラミック

シャネル「J12 キャリバー 12.1」Ref.H5697
レーシングヨットに着想を得たデザインが特徴のシャネルのスポーツウォッチ、「J12」。本作では、ブラックセラミックス製ケースにケニッシ製ムーブメントを組み合わせている。自動巻き(Cal. 12.1)。28石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。高耐性セラミック×SSケース(直径38mm)。200m防水。138万6000円(税込み)。(問)シャネル カスタマー ケア センター Tel.0120-525-519

 高級セラミックウォッチのパイオニアと言えば、シャネルの「J12」だろう。レーシングヨットに着想を得た優雅なデザインのケースとブレスレットに、高耐性ブラックセラミックスを採用し、艶やかな質感に仕上げている。

 回転ベゼルの枠と両開き式のバックルをステンレススティール製とすることで、見た目のアクセントと剛性感を加えている点にも注目だ。ベゼルには逆回転防止機構が搭載されている。

 ブラックのダイアルには、優雅なアラビア数字インデックスとバトン型の時分針、先端に三角形のポインターを与えた秒針が組み合わされている。インデックスと針はホワイトで統一され、ブラックダイアルとのコントラストが優れた視認性を生む。4時半位置には日付表示が配され、ビジネスシーンや日常生活でも便利に着用することが可能だ。

 ムーブメントは、シャネルが出資するムーブメントメーカー、ケニッシによる自動巻きのCal.12.1を搭載する。約70時間のパワーリザーブを備え、シャネル専用にデザインされたローターをシースルーバックから鑑賞することが可能だ。

オメガ「スピードマスター ダーク サイド オブ ザ ムーン」Ref.310.92.44.50.06.001

オメガ スピードマスター ダーク サイド オブ ザ ムーン

オメガ「スピードマスター ダーク サイド オブ ザ ムーン」Ref.310.92.44.50.06.001
磨き分けを施したグレーセラミックスケースを採用した「スピードマスター」。ムーブメントの地板とブリッジには、月をモチーフとしたレーザー加工が施されている。手巻き(Cal.3869)。26石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約50時間。セラミックケース(直径44.25mm、厚さ12.97mm)。50m防水。232万1000円(税込み)。(問)オメガ Tel.0570-000087

 初めて月の裏側を目撃したアポロ8号に敬意を表して誕生した、2025年新作。アポロ8号のジム・ラヴェル船長の「月は本質的にグレーだ」という言葉に着想を得た、グレーで統一されたカラーリングが特徴だ。

 陽極酸化処理によってグレーに仕上げられたダイアルは大胆にスケルトナイズされ、レーザー加工によって月の表面を描いたムーブメントの地板を鑑賞することができる。3つのインダイアルは、3時位置が30分積算計、6時位置が12時間積算計、9時位置がスモールセコンドとして機能する。

 表側に対応するように、裏側にも月をモチーフとしたディテールが施されている。シースルーバックから覗くのは、レーザー加工によって月の裏側のパターンを再現したムーブメントのブリッジだ。

 ケースは、グレーのセラミックス製。セラミックスは硬度が高く、複雑な仕上げを与えることが難しいが、本作ではポリッシュとヘアラインに磨き分けることで、「スピードマスター」らしい、立体感のある外装を実現している。

ラドー「トゥルー スクエア スケルトン」Ref.R27196152

トゥルー スクエア スケルトン

ラドー「トゥルー スクエア スケルトン」Ref.R27196152
独自のプラズマハイテクセラミックスを採用。金属と見紛うようなガンメタルカラーの外装を特徴とする。自動巻き(Cal.R808)。25石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約80時間。セラミックケース(直径38mm、厚さ9.7mm)。5気圧防水。49万600円(税込み)。(問)ラドー/スウォッチ グループ ジャパン Tel.03-6254-7330

 1986年にセラミックスを採用した腕時計を発表して以降、長年にわたる研究開発を重ね、その可能性を広げてきたラドー。同社が独自に開発したセラミックスが、プラズマハイテクセラミックスである。これは、メタンガスと水素ガスを充填した特殊な炉を用いてプラズマを発生させ、酸化ジルコニウムにぶつけることでメタリックな質感を与えられた素材である。

 プラズマハイテクセラミックスを採用したモデルのひとつが、「トゥルー スクエア スケルトン」だ。柔らかな曲線を描くケースと、そこからシームレスにつながるブレスレットにプラズマハイテクセラミックスを使用し、セラミックスならではの優れた耐傷性や抗アレルギー性などを備えつつ、まるで金属のような質感を両立させている。

 スケルトン仕様のダイアルは、2本のブリッジが横切るようなユニークなデザイン。その下からは、香箱の内部やテンプの鼓動を楽しむことができる。

 搭載するCal.808は、約80時間のパワーリザーブと、優れた耐磁性を備えるニヴァクロン製ヒゲゼンマイを特徴とする実用的なムーブメントだ。

IWC「インヂュニア・オートマティック 42」Ref.IW338903

インヂュニア・オートマティック 42

IWC「インヂュニア・オートマティック 42」Ref.IW338903
スポーティーな仕上げのセラミックス製外装を採用した、「インヂュニア」。ケース構造を見直すことで、過度に厚くなることを防いでいる。自動巻き(Cal.82110)。22石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約60時間。セラミックケース(直径42mm、厚さ11.5mm)。10気圧防水。320万3200円(税込み)。(問)IWC Tel.0120-05-1868

 数々の名作を手掛けた時計デザイナー、ジェラルド・ジェンタが生み出した「インヂュニアSL」のデザインを踏襲しつつ、モダンに仕上げられた現行の「インヂュニア」コレクション。2025年、IWCはそのラインナップを一気に拡充した。その中に含まれているのが、ブラックセラミックケースを採用した「インヂュニア・オートマティック 42」だ。

 ダイアルに施されているのは、インヂュニアSLに着想を得た格子状のパターン。シンプルなバータイプのインデックスと針を組み合わせ、3時位置には日付表示を配している。

 ブラックセラミックス製のブレスレット一体型ケースは、華美な艶感を抑えた落ち着きのある印象にまとめられている。これは、筋目を施したうえで、ブラスト処理を重ねるという工程で作り出されたものだ。ステンレススティールモデルではスクリューバックを採用していたが、セラミックモデルではネジ留め式のケースバックとすることで、厚さが増すことを回避している。

 ムーブメントは、巻き上げ効率に優れたぺラトン式自動巻き機構を採用した、自社製のCal.82110を搭載する。ケースバック用のサファイアクリスタルにスモーク加工を施すことで、ケースやブレスレットと調和した見た目となっていることも特徴だ。

チューダー「ブラックベイ セラミック」Ref.M79210CNU-0001

ブラックベイ セラミック

チューダー「ブラックベイ セラミック」Ref.M79210CNU-0001
チューダーの代表作「ブラックベイ」のセラミックスケースモデル。ケニッシ製のマニュファクチュールムーブメントは、シースルーバックから鑑賞可能。自動巻き(Cal.MT5602-1U)。25石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。セラミックスケース(直径41mm、厚さ14.4mm)。200m防水。85万300円(税込み)。(問)日本ロレックス / チューダー Tel.0120-929-570

 チューダーを代表するダイバーズウォッチコレクションが、「ブラックベイ」だ。同社の過去のダイバーズウォッチから着想を得たクラシカルなデザインが魅力のブラックベイには、ステンレススティールやゴールド、シルバー、ブロンズなど、さまざまなケース素材のモデルがラインナップされているが、その中にはマイクロブラスト仕上げのマットブラックセラミックスケースのモデルも存在する。

 ダイアルからケース、ストラップに至るまで、全体をブラックで統一された外装は、ホワイトの蓄光塗料を充填したインデックスと針が際立つ仕様だ。ダイアル上のロゴや、ベゼルのスケールにはグレーを採用し、目立たないようにデザインされている。トライアングル、バー、ドットを組み合わせたインデックスと、スノーフレイク型の時針は判読性が高く、オールブラックのファッショナブルなデザイン性と、実用性を兼ね備えたモデルと言えるだろう。

 ムーブメントは、METASによるマスタークロノメーター認定を取得した、ハイスペックなCal.MT5602-1Uを搭載する。優れた精度と耐磁性によって、高い実用性を誇る。


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