ダニエル・ロートの初期作品を再現した「トゥールビヨン プラチナ」。稀代の時計師の仕事が蘇るタイムピース

2026.04.11

復活後、ダニエル・ロートの初期作品を現代の時計製造技術で忠実に再現してきた「ラ・ファブリク・デュ・タン ルイ・ヴィトン」。同アトリエの、後継者としての意志を新作モデルに見る。

ダニエル・ロート トゥールビヨン プラチナ

ダニエル・ロート「トゥールビヨン プラチナ」
ダニエル・ロートの初期作品を忠実に再現した「トゥールビヨン」の第3作。ロートの作品を大切にする一方で、装着感を高めるためにラグは下向きにカーブを描くように再設計されている。ムーブメントもオリジナルが搭載していたエボーシュではなく、ラ・ファブリク・デュ・タン ルイ・ヴィトンで内製されたものだ。手巻き(Cal.DR001)。19石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約80時間。Ptケース(縦38.6×横35.5mm、厚さ9.2mm)。30m防水。18万5000スイスフラン(税抜き)。
Photographs by Keita Takahashi
Edited & Text by Chieko Tsuruoka (Chronos-Japan)
[クロノス日本版 2026年3月号掲載記事]


稀代の時計師の “10年の仕事” を引き継ぐ

ダニエル・ロート トゥールビヨン プラチナ

ケースの6時側の見返し部分に、溝が設けられている。この溝は、トゥールビヨンのキャリッジの中心から伸びる長い秒針が通るためのスペースだ。かつてダニエル・ロート本人が手掛けた、オリジナルのトゥールビヨンモデルを再現している。針を短くするという妥協をせず、しかしケースを新たに作るコストを抑えた、ダニエル・ロート自身の工夫である。

 2023年、ルイ・ヴィトンの「ラ・ファブリク・デュ・タン ルイ・ヴィトン」が復活させたダニエル・ロート。ただ名前を使うのではなく、時計師ダニエル・ロートの技術やセンスまでもを引き継ぐという意志の下の復活だ。

 この意志は、新作「トゥールビヨン プラチナ」にも表れている。本作は、1988年にダニエル・ロートがブランドを創設し、その翌年に発表したトゥールビヨンモデルそのものと言ってよい。

 新作とともに来日した、ラ・ファブリク・デュ・タン ルイ・ヴィトンの流通責任者であるシルヴァン・ピノーは、ダブルエリプスケースと文字盤のギヨシェ彫りが再現に欠かせない代表的な要素だと語った。とりわけギヨシェからは、ブランド復活後、同アトリエにダニエル・ロートが実際に使っていた手動旋盤を持ち込んだほど、再現にあたっての格別な想い入れが感じられる。なお、ギヨシェの工程だけで、文字盤1枚につき約3日間が費やされる。「(文字盤には)多数のストライプが精緻にギヨシェ装飾されています。しかも、各ラインは旋盤で3回なぞられます。手間はかかりますが、機械仕上げにはないシャープなラインこそがダニエル・ロートの作品の特徴です」。

 復活後にトゥールビヨンモデルは18KYG、18KRG、プラチナ製がそろえられた。これから展開されるコレクションにも、このバリエーションが適用される。今後は、ダニエル・ロート自身がブランドを運営していた10年間にフォーカスした作品が再現される予定だ。文字盤ひとつとっても手間暇がかかるダニエル・ロートの仕事を蘇らせるのは、一朝一夕にはいかないだろう。しかし、稀代の時計師が歩んだ10年に立ち会えるのであれば、待ち望む時間もいとわない。



Contact info:アワーグラス銀座 Tel.03-5537-7888


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