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ARNOLD & SON トゥルービート再考、可視化された機構の価値(1/1)

ARNOLD&SON
Photographs by Masanori Yoshie
Text by Hiroyuki Suzuki

トゥルービート再考、可視化された機構の価値

 アーノルド&サンが擁するアイコンのひとつ「DSTB」。
シンプルな構成のトゥルービートセコンドをダイアル上に可視化させた大胆な設計には、現代でしか成し得なかった“ある理由”があった。

インストゥルメント・コレクション DSTB

アーノルド&サンでは珍しいフルローター自動巻きで、ステップ運針を実現させたモデル。鮮烈なブルーカラーは、2017年初頭に発表された新しいバリエーション。自動巻き(Cal.A&S6003)。32石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約45時間。SS(直径43.5mm)。3気圧防水。334万円。

 スイスレバー脱進機が生み出すスイープ運針をステップ運針へと変換するトゥルービートセコンド。この機構を載せた「DSTB」は、アーノルド&サンが展開するインストゥルメント・コレクションの代表機種である。同社ロイヤル・コレクションが、19世紀の英国様式に対するスタイリングオマージュだとするならば、インストゥルメント・コレクションは〝高精度〞へのオマージュ。ジョン・アーノルドの人生の後半は、息子とともに〝量産可能〞なマリンクロノメーターの製作に没頭したとされる。マリンクロノメーターが搭載するのはデテント脱進機であり、その運針は必ずステップ式となる。それを視覚的に再現したトゥルービートセコンドが、そのまま高精度へのオマージュとなる理由だ。

 DSTB(=ダイアルサイドトゥルービート)の付加機構は、その名の通りすべてベースダイアル上に配置されている。絶対的なパーツ数は抑えられているものの、英国様式の背の高いブリッジや、オフセットダイアル上に重なるサファイアクリスタル製ディスクのセコンドカウンターなど、厚み自体は決してコンパクトなものではない。これが搭載できた副次的な理由は、ボックスサファイアガラスの普及にある。時計自体にクラシカルな雰囲気を与えつつ、ダイアルから風防までの空間が大きくとれるボックスガラスがなければ、機構の搭載自体が難しかったはずだ。シンプルな構造でステップ運針を表現したDSTBは、古典的なディテールに彩られる半面、現代でなくては決して作り得なかった時計なのである。

 機構図が示す通り、DSTBの構成部品は非常にシンプルだ。しかし周辺部品まで含めると高さ方向のボリュームは相当なものになる。
これが搭載できた理由には、ボックスガラスの普及があったはずだ。

アーノルド&サン・フェア開催
会期:2018年1月12日(金)~21日(日)
会場:日新堂 大阪ヒルトンプラザ店
問い合わせ:☎06-6345-2211

Contact info: ブローバ相談室 0570-03-1390

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