小堺一機が語る、「魂がイエスと言った」直感を信じる時計選び

2026.09.18

時計専門誌『クロノス日本版』の編集長・広田雅将がTOKYO FMでパーソナリティーを務めるラジオ番組「BEST ISHIDA Presents クロノス日本版 Tick Tock Talk♪」。今回は小堺一機さん登場回のアフタートークを紹介する。

小堺一機さんが語る時計愛と最初のコレクション

 エンターテインメント界の第一線で活躍し続ける小堺一機さんは、時計愛好家としても非常に深い見識とユニークな美学を持っている。彼が時計の世界へ足を踏み入れた最初の1本は、アメリカのブランドであるグリュエンの「カーベックス」であった。腕のラインに優しく添う湾曲したケース構造とスイス製ムーブメントを備えた同作は、関根勤さんのスタイリストから譲り受けたという。

 続いて購入した2本目のタイムピースは、カルティエの反転式ケースを採用した稀少なヴィンテージモデルである。かつて関根勤や堺正章が愛用していた姿に魅せられ、偶然巡り会った古時計店で即決した。真鍮の上にラッカーを塗布した当時の文字盤は経年劣化によるひび割れが生じやすいが、彼の所有機には一切のクラックが存在せず、極めて良好なオリジナル状態を保持している。大ブレイクを果たした時期でありながら、王道のロレックスではなく小ぶりなアンティークを選択した点に、見栄や誇示とは無縁な彼独自の感性が表れている。

TOKYO FM「BEST ISHIDA Presents クロノス日本版 Tick Tock Talk♪」のゲストに小堺一機さんを迎えてのアフタートーク。撮影・編集:服部仁太郎

名機を惜しげもなく普段使いする独自の美学

 現在も日常的に愛用しているのが、カルティエの「タンク ア ビス」である。2006年の復刻仕様ではなく、世界でわずか100本のみ展開された極めて稀少な初期モデルである。アラビアン数字インデックスが並ぶ文字盤に引かれて入手した逸品だが、彼はコレクターズアイテムとして仕舞い込むことなく、日常の相棒として大胆に使いこなしている。

 さらに、同ブランドの最高峰ライン「CPCP(コレクション・プリヴェ・カルティエ・パリ)」に名を連ねる「トーチュ」のワンプッシュクロノグラフも所有する。複雑機構を搭載しながらも単一のリュウズで軽やかに操作できる点や、クラシカルで愛嬌のある表情に魅了されたという。稀少性の高さや市場価値にとらわれず、純粋な「好き」という感情に従って手にとる姿勢は、時計専門家をも唸らせる深みを感じさせる。

直感で選ぶ名品と長年愛用するファーストウォッチ

 小堺のコレクションにおける驚くべきエピソードのひとつが、ドイツ高級時計の最高峰であるA.ランゲ&ゾーネの「ランゲ1」初期型の取得である。青山にオープンした店舗を訪れた際、ブランド名すら知らなかった状態でありながら、熱意あふれる接客とデザインの美しさに心を動かされて購入に至った。今日では愛好家が喉から手が出るほど買い求める幻の初期モデルだが、彼にとっては計算なき直感的な出会いの結実であった。

 一方で、30歳で初めて購入したティファニーの薄型クォーツウォッチは、40年以上にわたり大切に愛用され続けている。文字盤の色合いに合わせてヒルシュ製の薄手な革ベルトを合わせ、絶妙な厚みの芯地を選ぶなど、細部にまで配慮が行き届いた1本だ。高価なレアモデルから思い入れのあるクォーツまで、自身が共感した製品をフラットに愛でる小堺の美学が貫かれている。

父親から受け継いだ原点と滲み出るダンディズム

 彼のモノ選びの根底には、かつて南極観測隊員として現地へ赴いた父親の存在がある。中学生のころ、帰国した父親から贈られたセイコーの観測隊支給モデルが、彼の時計に対する原体験となった。過酷な環境下でもユーモアを忘れなかった父親の生き様は、彼のパーソナリティや美意識に色濃く受け継がれている。

 世間のトレンドやステータスシンボルとしての流行に背を向け、「自分の心が動いたか」を唯一の基準として選ばれた時計群。使い込まれて刻まれた傷さえも味わいへと変えてしまう彼の佇まいには、ひけらかすことのない本物のダンディズムが漂っている。自然体でありながら揺るぎない軸を持つ姿勢こそが、エンターテイナー小堺一機さんの底知れぬ魅力の源泉といえる。

BEST ISHIDA Presents クロノス日本版 Tick Tock Talk♪ 番組詳細

 時計専門誌『クロノス日本版』編集長・広田雅将が、ゲストと深く熱い時計談義を繰り広げるプログラム。時計との出会い、思い入れのある1本などのエピソードを通して、ゲストの人となりやライフストーリーをひもといていく。

 なお、番組の最新放送回は、下記リンク radiko より視聴可能だ。

https://radiko.jp

番組Webサイト:https://audee.jp/program/show/300005808
メッセージフォーム:https://www.tfm.co.jp/f/ticktocktalk/message

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