世界的なジェームズ・ボンドの日(Global James Bond Day)である2026年10月5日(月)、オメガから特別な“ボンドウォッチ”が2型発表された。「シーマスター ダイバー300M ジェームズ・ボンド&スペクター」である。今回“ボンドウォッチ”のみならず、彼と敵対する秘密組織、スペクターをモチーフとしたモデルも同時リリースされており、いずれも『007』の世界感を細部に宿した、特別感あふれる高級腕時計に仕上がっている。

Photographs & Text by Chieko Tsuruoka(Chronos-Japan)
[2026年10月5日公開記事]
新しい表情を見せたオメガの“ボンドウォッチ”
2026年10月5日(月)は、世界的なジェームズ・ボンドの日(Global James Bond Day)である。1962年、ボンドを主人公に据えたスパイ映画第一作目となる『007/ドクター・ノオ』がイギリス・ロンドンで公開されたことに由来するこの日に、オメガは新しい“ボンドウォッチ”をリリースした。「シーマスター ダイバー300M ジェームズ・ボンド&スペクター」である。

自動巻き(Cal.8806)。54石。2万5200振動/時。パワーリザーブ約55時間。SSケース(直径42mm、厚さ14.23mm)。300m防水。128万7000円(税込み)。2026年10月6日(火)より直営ブティックで発売開始後、順次、正規取扱店で発売。

自動巻き(Cal.8806)。54石。2万5200振動/時。パワーリザーブ約55時間。SSケース(直径42mm、厚さ14.23mm)。300m防水。128万7000円(税込み)。2026年10月6日(火)より直営ブティックで発売開始後、順次、正規取扱店で発売。
本作の最大の新しさは、ジェームズ・ボンドのほか、「スペクター」をモチーフとしたモデルも同時リリースされた点だ。
スペクターは悪の秘密組織であり、ボンド最大の敵とも称される。ボンドを形作るのが義務、規律、忠誠心という価値観だとしたら、スペクターが体現するのはボンドとは異なる本能、揺るぎない独立心、自らの目的を追求する意志、そして制約に縛られない自由である。オメガは、その本質において両者は対照的でありながら、必ずしも相反するものではないと定義し、この二面性をテーマに据え、本コレクションによって「人間の持つ異なる側面を探求」することを標榜。そして最後に、「あなたならどちらを選びますか?」という問いを投げ掛ける。
もっとも、今回の新作ボンドモデルとスペクターモデルに、デザイン・性能上における大きな違いは見られない。しかしその細部にそれぞれの世界感が落とし込まれており、見た目や所作からは「スパイ」あるいは「秘密組織」とは悟らせないボンド、スペクターそれぞれをテーマとするにふさわしい特別モデルとなっているのだ。
特徴的なベゼル、そして文字盤

新しい“ボンドウォッチ”も“スペクターウォッチ”も、ケースとブレスレットは共通だ。「シーマスター ダイバー300M」の特徴である、逆回転防止ベゼルやヘリウムエスケープバルブ、そして判読性の高い文字盤といった、ダイバーズウォッチに必要な意匠を有する一方で、面と曲線で構成された複雑なケースはサテン仕上げとポリッシュ仕上げがコンビネーションされており、高級腕時計の条件を満たす、手の込んだ作りが与えられている。ケースサイズは直径42mm、厚さ14.23mmと、決して小ぶりではないものの、この複雑なケース構造が手首に沿うようにも設計されていること、また、近年のオメガの傾向として、ラグからラグにかけての縦方向の全長が短いことから、手首回り14.7cmの女性である筆者にとっても装着感は良いと感じた。

そんなシーマスター ダイバー 300Mの美点を生かしつつ、本作の個性を際立たせているのが、ベゼルと文字盤だ。
“ボンドウォッチ”にはグレード5チタン製ベゼルが、“スペクターウォッチ”にはセラミックス製ベゼルが与えられているのだ。いずれも梨地仕上げのベースにダイビングスケールが浮き彫りになっており、ベースとスケールが同系色でありつつ、スケールの存在感が際立っていた。

文字盤のひと工夫にも注目したい。“ボンドウォッチ”にはレーザーエングレービングで波模様が描かれたブルーのアルミニウム文字盤が、“スペクターウォッチ”にはブラックのグレイン仕上げを施した文字盤が採用されており、シーマスター ダイバー 300Mのデザインコードは共通でありながらも、異なる表情を見せているのだ。

ケースバックからも楽しめる仕掛けが!
ムーブメントは3針ノンデイトモデルのシーマスター ダイバー 300Mと共通する、Cal.8806が搭載される。マスター クロノメーター認定の、高性能ムーブメントであることはご存じの通りだ。しかし、これまでの“ボンドウォッチ”同様、ケースバックからは特別モデルらしいギミックを楽しむことができる。
“ボンドウォッチ”の方は、ローターがおなじみのガンバレル仕様となっており、その中心には「007」のロゴが梨地の上にあしらわれている。

では一方の“スペクターウォッチ”はと言うと、スペクターの象徴である「デビルフィッシュ」型のローターがあしらわれているのだ。この意匠はこれまでの“ボンドウォッチ”には決してなかった仕様だ。

どちらのモデルもナイアードロックシステムが採用されており、ねじ込み式でありながら、そのケースバックはいつも正位置となる。
“ボンドウォッチ”はブルーの、“スペクターウォッチ”はブラックの特別ボックスに収められて販売されることも、ユニークな仕様として関心が引かれるだろう。
“ボンドウォッチ”と呼ぶにふさわしい特別モデル
ジェームズ・ボンドの日にオメガから新しくリリースされたふたつの“ボンドウォッチ” ──厳密には“ボンドウォッチ”と“スペクターウォッチ”は、『007』という作品にふさわしい特別モデルであると感じた。なぜならジェームズ・ボンドもスペクターも、かたやスパイ、かたや秘密組織と、素性をあらわにすることは決してなく、しかし観客はその所作や世界感にどっぷりハマることで傾倒していくという作品であり、「一見すると特別であることは分からないエレガンスをまといつつ、その細部には特別感が宿っている」という本作は、そもそもの作品と共通しているためだ。
もっとも、世界感にハマったればこそ、“ボンドウォッチ”と“スペクターウォッチ”、どちらを選ぶべきか迷ってしまうファンは少なくない。オメガはそんなファンのために、ふたつのモデルのセット販売も行うというので、予算に余裕のある方はぜひ検討してみてはいかがだろうか。



