トゥルーム / 自分仕様に育てる TRUME 第2弾

2018.02.04
M Collection TR-MB7005
 よりアクティブな外装デザインをまといつつ、内部にはセンサーフュージョンによる最先端技術を盛り込んだMコレクション。さらに、このTR-MB7005では、レザーバンドのエイジングやバンド交換という新提案が加えられ、いっそう魅力を増した。レザー・ナイロンバンド付属。高度・方位・気圧・ウェイポイント機能搭載。ライトチャージGPS衛星電波修正クォーツ。チタン(縦57.2×横45.9×厚さ15.5mm)。10気圧防水。24万円。背景のストラップはTR-MB7005に付属する交換用のコーデュラバリスティックナイロンバンド(上)と実際に使用してエイジングした独自の風合いを醸し出すホーウイーン社製クロムエクセルレザーバンド(下)。コーデュラバリスティックナイロンはナイロンの約7倍の強度を持つ耐久性に優れる繊維素材。
奥山栄一:写真 Photographs by Eiichi Okuyama
鈴木幸也(本誌):取材・文 Text by Yukiya Suzuki (Chronos-Japan)

 2017年9月、エプソンが“祖業”である時計製造へのさらなる注力を決断し、そのベンチャースピリットを強化する舞台として発売した自社ブランドTRUME(トゥルーム)。同社が創業以来、時計製造で培ってきた省・小・精(省エネルギー、小型化、高精度)の技術に、現在の主力である高度なセンサーと通信の最先端技術を融合させた第1弾は、小さなケースの中にGPSセンサー、気圧・高度センサー、方位センサーを内蔵し、さらに、外部のエクスパンデッドセンサーと接続することで、高度・方位・気圧に加え、紫外線量・温度・歩数・消費カロリーまで多岐にわたる計測機能をすべてアナログ針で表示するという、独創のアナログウォッチとして業界の注目を集めた。そのTRUMEの哲学はそのままに、機能と意匠を「引き算」の美学によって洗練させながら、エージングやバンド交換など、“自分仕様に育てる楽しみ”という新しい提案を盛り込んだ第2弾が早くも登場する。

「引き算」の美学がかなえた

 感性に訴える〝触りたくなる時計〞をコンセプトに、自社の開発力と技術力、それを可能にする人材と製造設備をフル活用し、エプソンの本領と言える独創性をいかんなく発揮したTRUME。その第1弾の熱情も冷めやらぬ2018年2月、早くもその第2弾が発売されることが発表された。時計本体と外部装置に、得意とするセンサー技術を可能な限り盛り込むことで、他社の追随を許さないほどの高機能・多機能を搭載した第1弾に対し、この第2弾では、「最先端技術でアナログウォッチを極めることを目指す」というコンセプトから、センシングテクノロジーを踏襲しつつ、使用するシーンにより重きを置き、いっそう長く飽きずに使える仕立ての良いスタイルと視認性を強く意識したディテールによってコレクションごとに味付けすることで、ラインナップを拡充。さらにプライスにも幅を持たせ、多くのユーザ
ーにそれぞれのスタイルに合ったモデルを提供することを可能にした。
 この第2弾は、ふたつのコレクションで構成される。「MARINE(マリン)/Yacht(ヨット)」からインスピレーションを得た「Mコレクション」と、都会をイメージした「CITY」の頭文字を取った「Cコレクション」である。ちなみに、第1弾は基本となるクロノグラフ機能に由来するスピードをクルマに象徴させた「LAND」の頭文字を取って「Lコレクション」と命名された。

TRUME第2弾では、その動きとともに、ダイアル上で最も目を引くセンター針のデザインも見直された。過剰な装飾を抑え、十分な長さと精緻なディテールを与えることで、独創のアナログウォッチにふさわしい機能性と判読性、美観を兼ね備えることに腐心したという。

暗所での判読性を考慮し、針はもちろん文字盤上のアワーマーカーにもルミナスライト(高輝度蓄光材)が塗布される。風防にはサファイアクリスタルが採用され、かつ反射を抑えるSARコーティングが施されるため、あらゆる角度からの視認性を担保しつつ、サファイアクリスタルによる堅牢性も兼ね備える。

セラミックス製ベゼルには、センター針用の100分割値が高精細レーザーで刻まれる。その書体には、新作Mコレクションのためにエプソンが独自にデザインしたT2フォントが採用される。この書体は、数字の大きさに対して見やすさを考慮し、かつ腕時計らしいツール感をも追求したものだ。

ヨットをイメージしたMコレクションは、都会での使用をコンセプトとしたCコレクションに対し、よりアクティブなデザインを目指したため、プッシャーの形状が、ケースになじみやすい流線形のオーバルシェイプに変更された。LコレクションとCコレクションには従来のラウンドシェイプが採用される。

プッシュボタンだけでなく、ケースサイド4時位置に装備される気圧・高度センサーも、第1弾のLコレクションに対し、より薄く、デザインが見直された。結果、プッシュボタンと併せて、ケースサイドがアクティブで軽快な印象になり、ヨットのテーマカラーのエンジの差し色もアクセントとして効いている。

海をイメージしたアクティブな腕時計を目指し、かつ機能性をも併せ持つMコレクションは、Lコレクション同様、ケース素材にチタンを採用するが、レザーバンドを標準装備するTRMB7005は、そのバネ棒とバネ棒パイプまで徹底的にチタン製
にこだわる。バネ棒パイプには「TITANIUM」と明記される。