ダイバーズウォッチの歴史における10のハイライト

FEATUREWatchTime
2019.05.02
Originally published on watchtime.com
Text by WatchTime

初期にはダイバーズウォッチは純粋に潜水時の相棒であり、ダイバーたちの潜水時間を正確に計測し、その命をつなぐものであったが、現代のダイバーズウォッチはそれとは別のものになりつつある。ファッションの要素であり、話題のひとつであり、ビーチリゾートやプールへ出かける際のがっしりとした連れとなったのである。この「ダイバーズウォッチの歴史における10のハイライト」では、本当の意味で防水性を持ったケースが現れた1920年代を起点として、ダイバーズウォッチの歴史をたどりながら、10のトピックスをお届けする。

1.ロレックス「オイスター」

Rolex Oyster
ロレックス「オイスター」 。Ref.679。1926年製。

 1926年、ダイバーたちが使用することを目的として作られた腕時計が出現した。そしてそれらの腕時計はリュウズを他の部分から遮断した。リュウズは時計のケースに水が入り込むポイントとして最初に挙がる箇所である。その年、ロレックスの創立者、ハンス・ウイルスドルフがねじ込み式リュウズ、同じくねじ込み式のケースバック、密封されたクリスタル製風防を持つオイスターケースを導入した。これが本当の意味で防水ケースと言えるものとなった。その1年後、ウイルスドルフはイギリスにおいて、ドーバー海峡を横断する初の女性スイマーとなるべく競っていた速記者のメルセデス・グライツに、その挑戦時にオイスター着用を依頼した。結果、彼女は女性初とはならなかったが、1927年10月7日、見事にドーバー海峡横断泳に成功し、その際、彼女が身に着けていたロレックスは時を刻み続けたのである。

2.パネライ「ラジオミール」プロトタイプ

ラジオミール

パネライ。「ラジオミール」のプロトタイプ。Ref.PAMPR004。1936年製。

 イタリア海軍がパネライに、現在「ラジオミール」と呼ばれるモデルに進化する時計の最初のプロトタイプの開発を依頼。30mの防水性能を持った時計は2年後に量産体制に入った。初期のラジオミールは、ロレックスによって作られたムーブメントと、このために開発された直径47㎜のクッションケースを備えていた。ネーミングは濁った水の中でも文字盤の視認性に貢献した自社開発の夜光塗料「ラジオミール」にちなんでいる。

3.ブランパン「フィフティ ファゾムズ」

フィフティ ファゾムズ

ブランパン「フィフティ ファゾムズ」、オリジナルモデル。1953年製。

 ブランパンが発表した最初のダイバーズウォッチ「フィフティ ファゾムズ」は、約100mの防水性能を持っていた(フィフティファゾムズとは300フィート、つまり91.5mを意味し、当時使われていた装備でダイバーが潜ることのできた最も深い水深である)。この時計は第2次世界大戦中に英国諜報部員であり、その後フランスの軍事潜水部隊のリーダーとなったボブ・マルビエ船長の依頼により作られたものである。彼はブランパンに、ブラック文字盤と大きなアラビア数字、クリアな表示、そして回転式ベゼルを備えた時計を作るよう依頼。マルビエ船長は後に、「我々が求めた文字盤上のマーカーは、羊飼いを導く星のようにあってほしかったのだ」と語っている。

4.パネライ/リュウズプロテクター

リュウズプロテクター

パネライが1956年に作り出した、リュウズ(クラウン)を保護するためのリュウズプロテクター。

 パネライはリュウズを保護するカーブしたブリッジの特許を持つ。現在ではルミノール・コレクションの証しともなっているこのブリッジは、ロッキング・カム・レバーを内蔵し、これによってリュウズがケースに対して押し付けられるようになり、リュウズがケースのパッキンにきつくフィットする。